ANAが、2028年度から変更する「ANAスーパーフライヤーズカード(SFC)」の制度を再修正すると発表しました。年間決済額が300万円未満でもANAラウンジを利用できるようにしますが、スターアライアンスでの扱いが「シルバー」に下がる点は変わりません。
300万円未満は「SFC LITE」
ANAスーパーフライヤーズカード(SFC)は、ANAの上級会員「プラチナ」「ダイヤモンド」の資格を得た人などが入会できるクレジットカードです。いったん入会すれば、その後に上級会員資格を失っても、カードを保有し続けることで上級会員に準じたサービスを受けられます。
ANAは2026年4月、SFCの制度を2028年度から変更すると発表しました。ANAカードとANA Payを合わせた年間決済額が300万円以上なら「SFC PLUS」、300万円未満なら「SFC LITE」とするのが基本です。
SFC PLUSではスターアライアンス・ゴールドを維持し、従来とほぼ同様のサービスを受けられます。一方、当初発表されたSFC LITEではANAラウンジを利用できないことになっていました。
これに利用者から多くの意見が寄せられ、ANAは6月から制度を再検討。9月29日に、ラウンジの利用条件などを再修正することを明らかにしました。

混雑時以外はラウンジ利用可
再修正により、SFC LITEでも国内線のANAラウンジや共用ラウンジを利用できることになりました。ただし、年末年始やゴールデンウィーク、出発便が集中する時間帯など、混雑が予想される場合は利用できないことがあります。
SFC LITE会員向けには、国内線ANAラウンジの事前予約制度も導入します。予約枠には限りがあり、一部のラウンジなどは対象外です。詳細は2027年度中に発表します。
国際線では、ANAグループ運航便を利用する場合、羽田、成田、ホノルルのANAラウンジを利用できます。
そのほか、ANAグループ運航便を利用する際の優先チェックイン、手荷物受け取りの優先、手荷物許容量の優遇、専用保安検査場の利用、優先搭乗などはSFC LITEでも引き続き対象になります。
スターアライアンスは「シルバー」
一方、SFC LITEのスターアライアンスでのステータスは、現在の「ゴールド」から「シルバー」に下がります。この部分は4月に発表された制度改定から変わりませんでした。
現在のSFC会員は、全員がスターアライアンス・ゴールドとして扱われています。そのため、ANA以外の加盟航空会社を利用する場合も、対象ラウンジ利用や優先チェックイン、優先搭乗、手荷物の優先受け取りなどの対象になります。
これに対し、スターアライアンス・シルバーの共通特典は、予約時の空席待ちと空港での空席待ちの優先などにとどまります。SFC LITE会員がスターアライアンス加盟他社を利用する場合、ラウンジ利用、優先チェックイン、優先搭乗、手荷物の優先受け取りなどは原則として対象外になります。
つまり、SFC LITEでもANAグループ運航便を利用する際の空港サービスは多くが残りますが、スターアライアンス加盟他社を利用する際の上級会員向け特典は、ほとんどなくなってしまいます。
SFC会員は2019年比1.5倍
制度改定の背景には、SFC会員の増加があります。日本経済新聞によると、SFC会員数は2019年比で約1.5倍に増えていて、2025年度には主要空港の国内線ラウンジ利用者の約6割をSFC会員が占めるに至り、夕方を中心に満席が常態化するなど、混雑が深刻になっていました。
そのため、ラウンジの利用制限をせざるを得なくなり、カード利用額で会員を区切り、300万円未満の会員のラウンジの利用権を制限した、というわけです。
カードの利用金額で会員資格を区切ることは、海外のエアラインでは珍しいことではありません。ANAでは200万円など別の基準も試算したものの、ラウンジの混雑を十分に解消できず、300万円が最も合理的と判断したと説明しています。
一方、スターアライアンスのゴールド資格保有者には、ラウンジの利用権があります。そのため、利用制限を設けた対象会員にゴールドを付与するわけにいかなくなり、シルバーに格下げせざるを得なくなりました。結果として、300万円未満のSFC会員には、スタアラ各社で受けられるサービスがほとんどなくなってしまった、というわけです。
ANAの責任
とはいえ、SFCは、カードを保有し続けることで上級会員に準じたサービスを受けられる制度として、利用者の人気を博してきました。その結果、会員規模は6年間で1.5倍に増え、ラウンジの混雑も深刻になったわけです。
こうした制度を設計、運営してきたのはANA自身です。そのため、今回の再修正では、自社便で提供するサービスについては大幅な縮小を避けたものとみられます。一方、スターアライアンス各社のサービスについては、スタアラの制度上の問題もあり、維持しきれなかったということです。
ちなみに、ANAグループ運航便への搭乗で100万ANAライフタイムマイルに到達しているSFC会員は、年間決済額にかかわらずSFC PLUSとなります。100万ANAライフタイムマイルは東京・ニューヨーク75往復程度に相当しますので、長期間にわたる搭乗実績については、年間決済額とは別に評価する仕組みを残した、ということのようです。
旅行者への影響は
新制度は2028年4月1日に始まります。最初の判定期間は2026年12月16日から2027年12月15日で、この期間のANAカードとANA Payの決済額によって2028年度の区分が決まります。
今回の再修正により、年間決済額が300万円未満でも、ANAグループ便を利用する限り、SFCの空港サービスの多くはこれまで通り使えることになりました。国内線を中心に利用する場合、混雑時にラウンジを利用できないことが目立った変更点です。
一方、海外旅行でスターアライアンス加盟各社を利用する場合は、ゴールドからシルバーへの「格下げ」により、サービスは大きく低下します。
加盟各社のラウンジだけでなく、優先チェックイン、優先搭乗、手荷物の優先受け取りなども原則として利用できなくなるわけで、ANA以外のスターアライアンス各社を使う機会が多い旅行者にとっては、SFCの利用価値そのものを考え直す機会になりそうです。(鎌倉淳)
























