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神戸市バス「運転キロ23%減」の衝撃。26年度、減便と路線再編で

黒字路線も大減便

神戸市営バスは、2026年度に運転キロを23%削減します。利用者の多い主力路線を含め、幅広い路線で減便を実施するほか、路線再編もおこない、系統を統合・削減します。背景には市バス事業の危機的な状況があります。

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1日平均3万キロに

神戸市は、2026年度の神戸市バスの事業計画とダイヤ改正の概要を明らかにしました。

2026年度の市バスの1日平均の運転キロは30,638kmで、前年度の39,719kmから23%の減少となります。

神戸市バスの近年の運転キロ(予算策定時)は、2023年度が44,827km、2024年度が42,710km、2025年度が39,719kmとなっていて、漸減傾向ながら削減率は数パーセントにとどまっていました。

ところが2026年度は一気に30,638kmと、20%以上も運行規模を削減するわけで、「大なたを振るう」数字であることが見て取れます。

神戸市バス

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輸送人員は1%減

運転車両数は392両で、前年度の421両から7%削減します。

輸送人員は157,541人で、前年度から159,357人から1.1%の減少を見込みます。

運行規模の縮小に比して輸送人員の減少率が低いので、混雑の悪化が予想されます。

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六甲・摩耶の急行系統を休止

運行規模縮小の具体案といえる、4月1日ダイヤ改正の概要も明らかにしました。4路線の運行を休止し、25路線で便数を削減します。削減率は平日約11%、土曜約15%、休日約14%です。

運行休止となるのは、急行106系統、急行18系統、23系統、新港町系統の4路線です。

急行106系統はJR六甲道から阪急六甲を経て六甲ケーブル下に至る路線で、1日10便を全休。急行18系統は三宮駅から新神戸駅を経て摩耶ケーブル下に至る路線で、土休日のみ運行している3便を全休します。

これらの2系統は、六甲山・摩耶山へのアクセス向上を目的とした急行便ですが、神戸市では「利用者僅少に伴い当面の間運行を休止」としています。

23系統は西神中央駅前~西神工業会館~西神中央駅前で、土曜日に4便が運転されているだけでした。新港町系統は三宮駅前~新港町~三宮駅前で、平日に10便が運転されていましたが、こちらも「利用者僅少」を理由として休止します。

神戸市バス路線図
画像:神戸市バス路線図

 

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黒字路線で大減便

減便については、主力系統の2系統(JR六甲道~阪急六甲~三宮神社)が平日314便から283便となり10%減。土休日290便から243便となり、16%の大幅減便です。

16系統(阪神御影~六甲ケーブル下)は平日252便から224便となり11%減。土休日は196便から164便となり、16%の大幅減便です。36系統(阪神御影~鶴甲団地)も、平日249便から232便となり7%減。土休日147便から138便となり6%の減便です。

2系統は鉄道空白地帯の山麓線を走り、市バス最大の1日約16,000人が利用する黒字路線です。16系統と36系統は神戸大学へのアクセス路線で、こちらもそれぞれ8,000人程度が利用する黒字系統です。

黒字の基幹路線が大幅減便の対象になったのは、便数が多いゆえに減らしやすいからとみられます。とはいえ、利用者の多い路線での減便だけに、混雑の悪化が懸念されます。

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北神線の並行路線が大幅減便

64系統(三宮駅ターミナル前~箕谷~神戸北町)の減便も目立ちます。平日211便から174便となり、18%の減少。土曜日は177便から139便となり、21%の減少。日祝は148便から138便となり、7%の減少です。

64系統は、市営地下鉄北神線に並行しています。地下鉄北神線は2020年に市営化され、運賃が値下げされて利用者が増えています。いっぽう、64系統は2019年度に約8,500人の利用者が、2024年度は約6,100人に減少しています。

かつては黒字路線でしたが、現在は赤字に転落しています。約20%という大幅減便は、そうした事情が反映しているのかもしれません。

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須磨エリアでは路線見直し

須磨エリアでは、8月に路線見直しをおこなう予定です。複数の系統が重複するなど、非効率な運行となっている路線をシンプルな系統へ統合・再編します。運転士や車両を効率的に運用するのが目的です。

神戸市では、2024年度に兵庫・長田エリア、2025年度に東灘・灘エリアの路線見直しを実施しており、須磨エリアの見直しは、これらに続くものです。

須磨エリア路線見直し
画像:神戸市

 
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81系統に整理

こうしたダイヤ改正・路線見直しにより、2026年度の神戸市バスの運行系統は、86路線から81路線に整理されます。

路線見直しは、ひよどり台・しあわせの村エリアなどで、2027年4月にも実施される予定です。

他社との共同運行も拡大します。神姫バスと新たに1系統を共同運行とするほか、8系統で拡大します。

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営業所も再編

市バスの営業所体制を再編することも明らかにしました。現在の8営業所1支所体制を、2027年度から4営業所3支所体制にします。中央南営業所と垂水支所を廃止し、魚崎営業所と松原営業所、西神営業所を支所に格下げします。

営業所体制の再編について、神戸市では「市バスの運行効率を高め、管理コストの逓減をはかるため」としています。ただ、垂水支所については、跡地を売却する予定で、債務削減に充当する目的もあるようです。

神戸市バス再編
画像:神戸市交通局令和8年度予算説明書

 
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危機的な状況

神戸市では、バス事業を管轄する自動車事業会計について、累積資金不足により「危機的な状況」と訴えています。

公営企業の健全度を示す資金不足比率は19.4%となっていて、経営健全化団体に指定される20%に近い水準です。市バス事業は地下鉄事業から資金援助を受けているため、実質的には、すでに経営健全化基準を超過しているとみることもできます。

また、借金を示す企業債残高は101億円に達していて、バス事業の経営改善と借金返済は、待ったなしの状況になっています。

2024年10月には運賃改定を実施しました。今回の運行規模の大幅縮小も、こうした事情を背景にしています。これまでの路線整理もあって、2025年度の単年度収支は均衡レベルまで回復しました。黒字基調を維持するのが今後の課題です。

人口減少が進むなか、長期傾向としてバス利用者の増加は期待できず、運転士確保も難題です。そのため、今回の減便はまだ序の口で、将来的に、さらなる減便や路線整理がおこなわれる可能性もありそうです。(鎌倉淳)

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旅行総合研究所タビリス代表。旅行ブロガー。旅に関するテーマ全般を、事業者側ではなく旅行者側の視点で取材。著書に『鉄道未来年表』(河出書房新社)、『大人のための 青春18きっぷ 観光列車の旅』(河出書房新社)、『死ぬまでに一度は行きたい世界の遺跡』(洋泉社)など。雑誌寄稿多数。連載に「テツ旅、バス旅」(観光経済新聞)。テレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」ルート検証動画にも出演。