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鉄道新線「次の開業候補」を総ざらい。未着手の有力路線はココだ!

大都市圏の地下路線が検討中

2026年が幕を開けました。新春特集として、開業見通しのある鉄道新線計画をまとめています。この記事では、着工には至っていないものの、事業着手が間近の路線や、着手の可能性が高い「次の着工候補」の有力路線についてみていきましょう。

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これからできる鉄道新線を総まとめ。あの路線の進捗状況は?

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都営地下鉄大江戸線大泉学園町延伸

事業着手が間近となっているのが、都営地下鉄大江戸線の延伸計画です。大江戸線放射部の終点光が丘駅~大泉学園町までの約4.0kmです。

計画では、途中駅として、土支田、大泉町、大泉学園町の3駅を設置します。大泉学園町駅は、西武池袋線大泉学園駅から北2kmほど離れた位置です。

2025年10月に東京都が現在の検討状況を公表しました。それによりますと、概算事業費 は約1,600億円、利用者数は1日約6万人の増加などと見込まれ、費用便益費や収支採算性で基準を満たす可能性があるという試算が示されました。

今後は、沿線まちづくりなどの具体化を図りながら、都と練馬区の費用負担の協議などが進められることになります。

開業予定時期は公式には示されていませんが、報道各社の取材によれば2040年ごろを見込んでいるとのこと。

現時点で事業着手に至っていませんので、事業着手が決定し、環境アセスに3年、建設に10年かかるとすれば、2040年ごろというのは、順調に進んだ場合の見通しでしょう。

大江戸線には、大泉学園町~東所沢間8.6kmの延伸計画もありますが、こちらは事業化のメドが立っていません。

大江戸線延伸
画像:大江戸線延伸ニュース第17号
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都心部・臨海地域地下鉄

都心部・臨海地域地下鉄(臨海地下鉄)は、東京駅や銀座地区と晴海・有明地区を結ぶ新線計画です。2022年11月25日に東京都が事業計画を発表しました。

臨海地下鉄の区間は東京駅~有明・東京ビッグサイト間の約6.1kmです。途中に新銀座、新築地、勝どき、晴海、豊洲市場の5駅を設けます。

東京駅をつくばエクスプレスと共有し、同線と直通運転する計画もあります。

2024年には、整備主体として鉄道建設・運輸施設整備支援機構、営業主体として東京臨海高速鉄道が参画する方針が決まりました。これにより、臨海地下鉄は、りんかい線(新木場~大崎)と同一事業体で運営されることが、事実上決まりました。

東京都では2040年までの開業を目指すしています。しかし、2025年には大きな動きがみられませんでした。

工事には最低10年は必要とみられ、事業化決定から開業まで15年程度はかかりそうです。したがって、2040年開業を目指すなら、そろそろ事業計画をまとめなければならない時期です。

ただ、東京都の鉄道計画としては、大江戸線延伸が先になっていて、臨海地下鉄はそれに続く扱いになっているようです。したがって、2040年開業には黄信号が灯っているようにも感じられます。

臨海地下鉄
画像:中央区パンフレット

 
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つくばエクスプレス東京駅延伸

つくばエクスプレスは、開業以来、東京駅への延伸構想があります。

かつて計画だけの話でしたが、臨海地下鉄と東京駅を共用する構想が浮上して、実現への動きが出てきました。

区間は秋葉原~東京間の約2km。具体的に決まったルートはありませんが、臨海地下鉄と東京駅を共用するのであれば、東京駅は日本橋付近に設置されます。その先、臨海地下鉄に乗り入れて、有明方面へ直通する形になるでしょう。

2024年12月に東京駅までの延伸を目指す期成同盟会が、沿線1都3県の12自治体で結成されました。2025年6月には、運営会社の首都圏新都市鉄道に延伸の要望書を提出しています。

ただ、延伸区間のほとんどは千代田区ですが、期成同盟会に千代田区は加わっていません。また、小池百合子都知事も、つくばエクスプレス延伸には、あまり熱心ではない様子です。

小池知事は、都内の他の鉄道計画は積極的に推進しているので、つくばエクスプレスに対する無関心な様子が際立ちます。つくばエクスプレスを東京駅に引き込んでも、東京都のメリットが少ないからかもしれません。

建設区間の自治体が前向きにならないと、鉄道建設は難しいのが実情です。したがって、都と千代田区の動きが見えない段階で、開業時期を見通すことはできません。

つくばエクスプレスには、つくばから先、土浦方面への延伸計画もあります。ただし、こちらは事業性に難があり、実現へのハードルは高そうです。

つくばエクスプレス東京駅延伸
画像:国土地理院地図を加工
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横浜地下鉄ブルーライン新百合ヶ丘延伸

横浜市営地下鉄ブルーラインは、あざみ野~湘南台を結ぶ40.4kmの路線です。あざみ野から先、新百合ヶ丘まで約6.5kmを延伸する計画があります。2019年1月23日に、横浜市と川崎市が事業化を決定しました。

あざみ野~新百合ヶ丘間に4駅を設置します。嶮山(あざみ野ガーデンズ付近)、すすき野、ヨネッティ王禅寺付近です。終点、新百合ヶ丘駅では小田急線と接続します。

開業目標は2030年とされていますが、2025年末時点で工事に着手しておらず、後ろ倒しされるのは確実です。

2025年6月2日の横浜市議会下水道河川・水道・交通委員会で、横浜市交通局長は「事業化の判断以降、コロナに直面して鉄道事業が変化をしたり、東京オリンピックを契機に物価の高騰も顕著になっている」と、事業が進まない理由を説明しました。

そのうえで、「いま、川崎市とも協議しながら事業計画を再度作り直している。事業許可が得られたらすぐにでも事業に着手できるように、もろもろの設計の深度化を今年度も続けている」と状況を説明しました。

要約すると、需要予測が低くなりそうなうえ、事業費の高騰にも直面していて、着工条件を満たせるように再検討している、ということのようです。延伸を諦めたわけではなさそうですが、実現へのハードルが高くなっていることがうかがえます。

横浜市営地下鉄ブルーライン新百合ヶ丘延伸
画像:横浜市報道発表より
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埼玉高速鉄道岩槻延伸

事業着手直前で足踏みをしているのが、埼玉高速鉄道の岩槻延伸です。2021年6月には、清水勇人市長が「2023年度中に鉄道事業者に対する要請を行う」と市議会で表明。事業化への準備を進めることを明らかにしました。

しかし、その後の調査で、建設費が860億円から1300億円に膨らむことが判明。7年とされていた工期も、18年程度となるとしました。これにより、当面の事業着手は見送られ、計画の再検討を迫られていました。

さいたま市では、2025年11月に、延伸区間の中間駅にかんするまちづくり方針の改定案を公表しました。これを踏まえて、2025年度中に速達性向上事業に関する計画の素案をまとめ、埼玉高速鉄道へ事業実施要請をする構えです。

都市鉄道等利便増進法に基づいて鉄道事業者が延伸を国に申請する際は、事前に地元自治体が事業者に事業化を要請する手続きが必要となります。その手続きを2025年度中(2026年3月まで)におこなうということです。

このため、順調にいけば、そう遠くない将来に事業着手が決まります。工期を18年とすれば、2040年代半ばには開業する可能性がありそうです。

埼玉高速鉄道延伸図
画像:さいたま市

 
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京阪中之島線九条延伸

大阪では、京阪電鉄が中之島線を九条方面に延伸する方針を明らかにしています。夢洲に建設が予定されている統合型リゾート(IR)へのアクセス路線として整備する構想で、建設区間は中之島~九条間の2.1kmです。

2025年8月に、大阪府市より新たな試算が公表され、事業費は約660億円とされました。

試算を受け、京阪HDの平川良浩社長は、報道機関の取材に対し「着工すれば3年で開業できる」(毎日新聞8月26日付)、「2037年までには開業させたい」(産経新聞同日付)と答え、実現に意欲を示しています。

本当に660億円、3年で作れるのであれば、2037年開業は実現可能でしょう。ただ、現時点で、着工に向けた具体的な計画は明らかにされていません。

京阪中之島線延伸
画像:国土地理院地図を加工

 
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JR桜島線夢洲延伸

JR桜島線は、西九条駅から桜島駅まで4.1kmを結ぶ路線です。「JRゆめ咲線」とも呼ばれます。

これを舞洲を経て夢洲まで延伸する計画があります。桜島駅~舞洲駅~夢洲駅の約6kmです。

2025年8月に公表された『夢洲アクセス鉄道に関する検討について』(大阪府市)によれば、JR桜島線延伸の建設費は約2,850億円、想定輸送人員は94,400人です。

開業すれば、大阪~舞洲の所要時間が約20分、新大阪~舞洲が約25分、京都~舞洲が約64分となります。

試算を受け、JR西日本の倉坂昇治社長が産経新聞のインタビューに対し、桜島線の延伸開業時期を「2030年代がターゲット(目標)になる」との考えを示し(産経2025年9月8日付)、建設に前向きな姿勢を見せました。

いまのところ、事業着手に向けた明確な動きはありませんが、夢洲の統合型リゾート(IR)着工を受け、JR桜島線も着工が現実的になってきたといえそうです。

JR桜島線、京阪中之島線延伸
画像:「夢洲アクセス鉄道に関する検討について」令和7年8月大阪府・大阪市

 

 

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阪急電鉄なにわ筋・新大阪連絡線

近畿地方の有望路線として、阪急電鉄のなにわ筋・新大阪連絡線も挙げられます。

大阪駅うめきた地下ホームから十三を経て新大阪に至る阪急の新線計画で、大阪うめきた~十三がなにわ筋連絡線、十三~新大阪間が新大阪連絡線です。

阪急なにわ筋・新大阪連絡線について詳細な計画内容が明らかにされていません。なにわ筋線との同時開業を目指す方針とされてきましたが、阪急阪神HDの嶋田泰夫社長が、日本経済新聞のインタビューに対し、同時開業は難しいという認識を示しました。

同紙によれば、嶋田社長は「北陸新幹線の新大阪延伸の詳細が見通せない現状では事業化は難しい。費用対効果を最大化するためにも焦る必要はない」(2025年9月25日付)と発言しており、北陸新幹線の新大阪延伸の見通しが立ってから、事業着手する方針を明らかにしました。

北陸新幹線新大阪延伸については後述しますが、作るにしろ作らないにしろ、見通しが立つにはもう少し時間がかかりそうです。となると、阪急のなにわ筋・新大阪連絡線についても、実現のメドが立つのは先のことになりそうです。

阪急なにわ筋・新大阪線
画像:阪急阪神ホールディングス中期経営計画(2024年3月期決算説明会資料)

 

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鉄道新線「次の開業候補」を総ざらい〔2〕 期待値の高い路線はココだ!

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