相模鉄道いずみ野線の延伸計画が、ついに動き出しそうです。2012年6月11日に、神奈川県と藤沢市、慶応大学、相模鉄道でつくる「いずみ野線延伸の実現に向けた検討会」が素案を発表しました。それによりますと、藤沢市の相鉄いずみ野線湘南台駅から慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)までの約3.3キロについて、単線鉄道と2つの新駅を建設する必要があるとするものです。
いずみの線が直通運転
建設費は、総額約436億円。国と自治体が3分の2を補助金として拠出し、残り3分の1を公的資金などで調達することを想定しています。この3分の1は鉄道事業者、つまり相鉄が運行利益などから施設使用料として返済します。資金が無利子調達でき、運行経費の圧縮なども実現すれば、「30年以内に黒字化し、事業採算性を確保できる」と結論づけています。
延伸区間内には、2つの新駅が造られます。SFCから徒歩圏内の場所と、湘南台駅から約1.9キロの中間地点です。延伸区間は単線のため、この中間駅で列車交換をします。運行する電車は10両編成で、相鉄いずみ野線の車両がそのまま直通します。湘南台駅―SFC前の所要時間は5分。利用者数は1日約2万5800人を見込んでいます。
倉見駅延伸計画が結実
この延伸計画は、もともと相鉄が湘南台から平塚までの路線免許を持っていたことから、ずいぶん前から構想されていたものの一部です。平塚までの延伸は、採算性から絶望的とみられていますが、途中の相模線倉見駅付近までは真剣に検討されています。というのも、神奈川県が、倉見駅付近に東海道新幹線の新駅の誘致をしているからです。
現状では新幹線新駅の実現可能性は低いですが、中央リニアが完成すれば東海道新幹線の線路容量が空くので、新駅建設の可能性はあります。そのため倉見までの約8キロを延伸する計画は生き残っていて、それについてこの検討会が2010年から議論を続けてきました。それが、今回のSFCまでの延伸計画に結実した、ということです。
相鉄では現在、都心直通プロジェクトとして、JR線武蔵小杉駅方面と東急線日吉駅方面への直通のための工事を行っています。JR線とは2015年に、東急線とは2019年に直通開始予定です。いずみ野線の延伸が実現する頃には、当然これらのプロジェクトは完成していますので、いずみ野線とJR湘南新宿ラインや東急東横線、目黒線が一本の線路でつながることになります。
三田線に直通乗り入れも
ところで、東急目黒線は都営地下鉄三田線に直通乗り入れしていますので、なんと三田まで線路がつながります。つまり、
三田から日吉を経てSFCまで一本の線路でつながる!
という、なんだか慶應義塾のための計画のように思えますが、気のせいでしょうか。
実際、相鉄線と東横線がつながれば、いずみ野線から目黒線への直通運転が行われる可能性は高く、三田からSFCまで一本の電車で行けるようになる時代は到来するでしょう。
では、それはいつか、ということですが、開業時期は未定です。でも、それでは愛想がないのでちょっと考えてみましょう。延伸距離はわずか3キロ。土地買収の難易度も低い郊外での工事です。ならば、予算さえ付けば、建設にはそう時間はかからないと思われます。ということで、開業は2025年度頃と勝手に予想しておきます。中央リニアよりも早くできたらいいですね。