日本航空が、2015年度から法人税を納税することになりそうです。これは、会社更生法を適用された企業が最長7年間、法人税の納税を免除される特例について、政府・与党が2014年度末で廃止する方針を固めたためです。日本経済新聞が報じました。
この特例廃止はJALのみに適用されるものではありませんが、事実上JALを狙い撃ちにした措置のようです。
8.10ペーパーの期限は2016年度末まで
JALは業績好調ですし、法人税納税は当然という考え方もあるでしょう。とはいえ、来年度まで3か月に迫ったこの時期に、いきなり免税措置をなくします、という変更は、行政としてどうかと思わなくもありません。
また、免税措置を終了するなら、「日本航空への企業再生への対応について」という国土交通省航空局のとりまとめ、いわゆる「8.10ペーパー」がどうなるのか、という点にも注目せざるをえません。8.10ペーパーはJALが再上場にするにあたり作られたもので、「公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切に歪められていないか」を監視する内容です。これが作られた背景には、免税措置がJALに有利に働きすぎている、という批判があったためです。
となると、免税措置が廃止されるならば、8.10ペーパーも効力を失ってよいように思えますが、はたしてどうなるのでしょうか。8.10ペーパーの期限は2016年度末までで、あと2年残っています。JALはあと2年間、経営の手足を縛られながら税金を納め続けるということになるのかもしれません。
航空会社間の競争環境を歪めているのは?
8.10ペーパーの存在は、スカイマークの経営再建にも影響します。スカイマークがJALのみとの共同運航ができなかった背景には、8.10ペーパーがあるからです。もし8.10ペーパーが廃止されれば、2015年4月からJALのみと共同運航が可能になる理屈です。しかし、これも理屈通りにいくのでしょうか。
朝令暮改、という言葉がこれほどぴったり当てはまる事例は、なかなかありません。航空会社間の競争環境を不適切に歪めているのは、ほかならぬ政府・与党ではないか。こう考えてしまうのは、筆者だけでしょうか。