JR東日本は、秋田新幹線の次世代車両と新たな新幹線専用検測車を並行して開発していることを明らかにしました。秋田新幹線の次世代車両は「E11系」となる模様で、最高時速は320km/h。札幌延伸に備えて開発中の最高速度360km/hの車両と速度があわないため、札幌方面の列車とは併結しない可能性もありそうです。
「E11系」と社長が明かす
JR東日本は、新たな新幹線専用検測車として「E927形」を開発すると発表しました。線路や電車線(架線)を点検する車両で、2029年度に導入します。
この車両は、秋田新幹線E6系の次世代車両をベースにしたものです。JR東日本の喜㔟陽一社長は、記者会見で「E6系の後継でありますから、E11系になると思います」と述べ、次期秋田新幹線車両が「E11系」となる見通しも明らかにしました。
最高速度が異なり併結できない
E927形の最高時速は320km/hです。E11系については発表がありませんが、E927形と同性能であるならば、E11系の最高時速も320km/hとなります。
一方、JR東日本では、北海道新幹線札幌延伸に備えて、最高速度360km/hの「ALFA-X」(E956形)を製造して、試験を実施しています。そのため、札幌延伸後の東北・北海道新幹線の速達列車は360km/h運転をする見通しです。
E11系の最高速度が320km/hならば、東北・北海道新幹線の速達列車と併結できません。すなわち、札幌延伸開業後、秋田新幹線の列車は、東京~札幌間を結ぶ速達列車と併結できないことになります。
E10系との併結を想定
ただし、東北新幹線では、次世代車両としてE10系を開発中で、2030年度の営業開始を目指しています。E10系の最高速度は320km/hです。
秋田新幹線のE11系は、E10系との併結を想定しているでしょうから、360km/hの性能は必要なさそうです。そのため最高時速を320km/hにとどめているのでしょう。
E10系は東北新幹線内での運用を想定していて、北海道新幹線札幌延伸に備えた車両ではありません。札幌延伸開業時期が見通せないなか、E5系の更新という当面の課題に備えた車両です。E11系は、E10系と併結できれば用が足りるということです。
最速達種別が誕生か
東京~札幌間は、飛行機と競合することもあり、東北・北海道新幹線では最高速度の向上に手を尽くしています。そのなかで、秋田新幹線との併結による、盛岡駅での作業のための数分停車は、当然削減の対象となり得ます。
すなわち、北海道新幹線札幌延伸開業後、東京~札幌間直通列車と秋田新幹線が併結しないことは、十分に予想されます。
その際、東北新幹線系統の列車種別がどうなるかは、興味深いところです。「E10系はやぶさ」+「E11系こまち」のほかに、「札幌直通360km/h列車」という、最速達種別が新設されるのでしょうか。(鎌倉淳)