北海道中央バスが、「高速むろらん号」と「高速しゃこたん号」の運行を終了すると発表しました。最終運行日は2025年11月30日です。北海道の基幹的な高速バス路線の廃止は衝撃的です。
路線や便数の維持が困難
北海道中央バスは、「高速むろらん号」と「高速しゃこたん号」の2路線の運行を終了すると発表しました。理由は乗務員不足で、現在のバス路線や便数を維持することが困難となったことを挙げています。
最終運行日は2025年11月30日で、12月1日のダイヤ改正で姿を消します。
道南バスは告知なし
「高速むろらん号」は、札幌駅と室蘭観光協会前を結ぶ路線で、1日3往復を運行しています。
同じ区間を、道南バスが「高速白鳥号」として、1日5往復を運行しています。道南バスは、現時点で「高速白鳥号」について告知を出していません。
一方、「高速しゃこたん号」は札幌駅前と美国(積丹町)を結ぶ路線で、1日2往復の運行です。中央バスの運行終了により、路線そのものが廃止となる模様です。
半年前まで1日14往復
札幌~室蘭間の高速バスは、2025年3月まで、北海道中央バスと道南バスが、それぞれ7往復、合計14往復を運行していました。
しかし4月1日に大減便を実施し、北海道中央バスが3往復に、道南バスが5往復になったばかりでした。それから半年あまりで、北海道中央バスの3往復が消えてしまうわけです。
北海道の高速バスの基幹路線としては、あまりにもあっけない形で姿を消すことになり、衝撃的というほかありません。
並行するJRでは、2024年3月に特急「すずらん」の全車指定席化による実質値上げがおこなわれています。その影響で、高速バスの利用者が増えている様子もうかがえました。しかし、バス会社側は、従業員不足で手が回らないようです。
従業員数は微増
北海道中央バスの有価証券報告書によりますと、2025年3月31日現在の従業員数は1,399人、平均年齢は53.7歳、平均勤続年数は17.7年です。
1年前の2023年3月は、従業員数1,379人、平均年齢53.0歳、平均勤続年数18.6年となっています。つまり、1年間で従業員数が増え、平均勤続年数は短くなっているので、一定の従業員の補充ができていることが見て取れます。
ただ、平均年齢が1年で0.7歳高くなっているので、従業員の多くが50代後半以上であり、若手を少々採用しても、人手不足の懸念を解消するには至らないようです。
同社の有価証券報告書では「人手不足を解消することが大変に難しい状況」としつつ、「さらなる需要が見込まれる既存路線に対し、積極的に経営資源を投入していく方針」を掲げています。
この方針と、廃止時期を照らし合わせると、ウィンターシーズンに向け、インバウンド対応の運転士をひねり出すための苦肉の策にも感じられます。(鎌倉淳)