JR西日本が、「サイコロきっぷ」第3弾として「大阪発サイコロきっぷ」を発売します。旅の行き先がサイコロの出目で決まるという企画です。使いこなし方を研究してみましょう。
5,000円で博多往復も
「サイコロきっぷ」は、JR西日本のアプリ上でサイコロを振って、出た目によって行き先が決まるというきっぷ。2022年7月に第1弾、9月に第2弾が発売されました。その第3弾となる「大阪発サイコロきっぷ」が、2023年1月10日に発売開始となります。
発地は大阪市内で、着地(行き先)は加賀温泉、出雲市、湯田温泉、博多の4箇所です。出現確率は加賀温泉と出雲市が1/3ずつで、湯田温泉が2/9、博多が1/9です。
価格はエントリー料が4,500円、きっぷが500円の計5,000円。エントリーにはWESTERアプリが必要で、エントリーをすると、会員サポートページに「サイコロを振る」バナーが表示されます。バナーをタップすると、サイコロを振ったことになり、行き先が決定します。
エントリー料の払い戻しはできませんので、「サイコロの振り直し」はできず、自分の好まぬ行き先だったとしても受け入れるほかありません。
有効期間3日間
エントリー完了後、きっぷはすぐに購入できます。大阪市内から目的地への往復には新幹線・特急の指定席が利用できます。
利用期間は1/11~2/14の連続する3日間。青春18きっぷの利用期間終了直後に利用開始となりますので、格安の鉄道旅行にはちょうどいいタイミングかも知れません。
「サイコロきっぷ」はWESTERアプリでのみエントリー購入可能で、きっぷ購入後にe5489で列車の予約も済ませます。
きっぷの受け取り前なら列車の変更は28回まで可能です。きっぷの受け取り後の変更はできません。乗り遅れた場合に後続列車の自由席に乗ったりすることもできません(運賃のみ有効)。
有効期間は3日間です。3日間のうちに、大阪から上記の各駅まで往復しなければなりません。
「サイコロきっぷ」概要
サイコロきっぷの概要は以下の通りです。
■「サイコロきっぷ」概要
○エントリー期間
2023/1/10(火)〜2/5(日)
※一人1回のみエントリー可能
○発売期間
2023/1/10(火)〜2/12(日)
※利用開始日の1ヶ月前から当日まで発売
○利用期間
2023/1/11(水)〜2/14(火)の連続する3日間
※2/12(日)利用開始分まで発売
○価格
エントリー料 4,500円、きっぷ500円
「行き先不明のガチャきっぷ」
以上が、大阪発サイコロきっぷの概要です。「サイコロ」というネーミングが楽しさを演出しますが、要は4つの候補地が示されている「行き先不明のガチャ」きっぷです。
利用期間が長めに設定されていて、予約変更も実質自由など、行き先以外の制約は厳しくありません。それでいて割引率は高いという、お得なきっぷです。
各方面の割引率は以下の通りです。
博多と湯田温泉が81~82%割引とお得ですが、出現確率は2/9と1/9にとどまります。第1弾では、2回エントリーして2回とも同着地だった場合は、2回目の行き先を博多に変更することができましたが、今回のエントリーは1回限りです。
ということで、当記事では、鉄道やバスを乗り歩きながら観光もする旅行者に向けて、「大阪発サイコロきっぷ」を行き先別に活用する方法を研究してみます。設定された目的地に滞在するだけでも十分楽しめますが、そこから別のフリーきっぷを組み合わせて乗り歩けないか、という話です。
加賀温泉
加賀温泉へは、特急「サンダーバード」が利用できます。途中、福井駅で途中下車も可能です。特急利用は片道1区間だけなので、福井駅で途中下車した場合、福井~加賀温泉間は普通列車を利用します。
組み合わせたいきっぷの第一候補は、北陸おでかけtabiwaパス(1日2,450円)です。大阪~加賀温泉間を特急で一気に移動して、北陸エリアを乗り放題できます。
北陸おでかけtabiwaパスのフリーエリアは以下の通りです。遠く直江津まで行くことができます。
tabiwaパスは、モバイル専用チケットです。「tabiwa by WESTER」に登録して購入します。北陸おでかけtabiwaパスは土休日のみ有効で、3日前まで発売です。
ほぼ同じ機能の紙のきっぷとして、北陸おでかけパス(1日2,580円)もあります。フリーエリアは同じですが、価格が少し高いです。
金沢加賀tabiwaパスも狙い目です。金沢~大聖寺のJR線と、城下まち金沢周遊バス、加賀周遊バス「キャン・バス」 全線が2日間乗り降り自由で、2日間2,500円。加賀温泉に泊まって、金沢を観光するのにうってつけでしょう。
出雲市
出雲市へは、山陽新幹線と特急「やくも」が利用できます。途中、米子駅でも途中下車が可能です。特急利用は片道1区間だけなので、米子駅で途中下車した場合、米子~出雲市間は普通列車を利用します。特急利用の場合は、別途特急券が必要です(乗車券は有効)。
出雲エリアではJR線に乗り回れるフリーきっぷはありませんが、一畑電車には「1日フリー乗車券」(1,600円)がありますので、沿線めぐりに使って見るのもいいでしょう。
湯田温泉
湯田温泉は山口市内の温泉地です。「大阪発サイコロきっぷ」では、山陽新幹線と特急「スーパーおき」が利用できます。ただし、「スーパーおき」は運行本数が少ないので、新山口~山口間は普通列車を利用してもいいでしょう。新山口駅では途中下車が可能です。
山口県にもtabiwaのフリーきっぷがあります。「山口セントラルパス」(3,500円)と「山口ウエストパス」(3,200円)です。いずれも山口県のJR線と主要バス路線が2日乗り放題です。
セントラルパスは、萩津和野と秋芳洞周辺がフリーエリアです。
ウエストパスは、下関や長門市周辺などがフリーエリアです。
新山口駅はどちらのパスにもエリアに含まれていますので、「サイコロきっぷ」との相性は抜群です。
博多
博多へは、山陽新幹線を利用します。「のぞみ」「みずほ」も利用できます。5,000円のサイコロきっぷで、博多まで新幹線で往復できるのなら、あとは何をしてもお得です。
「旅名人の九州満喫きっぷ」(3日間11,000円)などで、九州旅行を楽しむのもよさそうです。
他の楽しみ方も
「サイコロきっぷ」の第1弾は2022年7月29日から10月31日までの期間で発売されました。大阪市内を発地として、着地が白浜、餘部、東舞鶴、倉敷、芦原温泉、尾道、博多の7箇所でした。
第2弾は9月16日から10月31日の利用期間で発売されました。広島市内を発地として、着地は博多、松江、姫路、金沢の4箇所でした。
再び大阪発着となった第3弾は、同じ大阪発着の第1弾と比べて行き先がやや遠く、お得感は増しました。一方で、エントリーは一人1回に限定され、2度目は博多を選べるという「特典」もなくなりました。
とにもかくにも往復5,000円、片道2,500円相当で、新幹線・特急を使った往復旅行ができるので、どこが行き先になってもお得なきっぷに違いありません。
ここでは現地のフリーきっぷと組み合わせる旅行法を提案してみましたが、もちろんその他の楽しみ方もあるでしょう。
早めにエントリーすれば、行き先が決まってから出発まで十分な時間があります。工夫次第で充実した旅ができそうです。(鎌倉淳)