JR西日本が、北陸エリアの路線が乗り降り自由になるデジタルチケット「tabiwa 周遊パス」を発売します。内容をみていきましょう。
アプリで販売
JR西日本は、同社の観光型MaaS『tabiwa by WESTER』アプリ内で、北陸エリアのJRや私鉄などが乗り放題になる周遊パスを新たに6種類発売します。
『tabiwa』は、これまでせとうち観光ナビ『setowa』として運用してきた取り組みを、北陸エリアに拡大して名称を変更したものです。瀬戸内、北陸両エリアで、周遊パスなどのデジタルチケットを販売したり、鉄道・タクシー・ホテルの予約などの機能を提供します。
新たな対象エリアとなった北陸エリアでは、以下の6つの周遊パスを発売します。
・北陸おでかけtabiwaパス
・とやま周遊2dayパス
・金沢加賀tabiwaパス
・金沢能登tabiwaパス
・越前tabiwaパス
・小浜線tabiwaパス
内容を順に見ていきましょう。
北陸おでかけtabiwaパス
北陸エリアのJR線と第三セクター線が乗り放題になるきっぷです。直江津~青郷にかけての広いエリアの普通列車に1日乗り放題です。料金券を購入すれば、特急列車にも乗車できます。ただし、新幹線には乗れません。
■価格:おとな2,450円、こども980円
■有効期間:1日間(土日祝日限定)
■利用期間:2022年12月1日~2023年3月26日(土日祝限定)
※利用日1か月前10時から有効開始日3日前まで発売
■フリーエリア:JR北陸線金沢~敦賀、小浜線敦賀~青郷、越美北線越前花堂~九頭竜湖、七尾線津幡~七尾、氷見線高岡~氷見、城端線高岡~城端、高山線富山~猪谷、大糸線糸魚川~中土、IRいしかわ鉄道金沢~倶利伽羅、あいの風とやま鉄道倶利伽羅~市振、のと鉄道七尾~和倉温泉、えちごトキめき鉄道市振~直江津
北陸エリアで販売されている「北陸おでかけパス」のtabiwa版です。北陸おでかけパスは 2,580円(こども1,030円)ですから、少しだけ価格が安く設定されています。
とやま周遊2dayパス
富山・高岡エリアのJR線と第三セクター線などの普通列車自由席と市内電車が2日間乗り放題です。富山地鉄の宇奈月・立山方面は含まれていません。
■価格:おとな1,520円、こども760円
■有効期間:2日間
■利用期間:2022年12月1日~2023年4月1日(3月31日利用開始分まで発売)
※利用日1か月前10時から有効開始日当日まで発売
■フリーエリア:JR氷見線高岡~氷見、城端線高岡~城端、高山線富山~越中八尾、あいの風とやま鉄道富山~高岡、富山地方鉄道富山港線、市内軌道線、万葉線全線
富山・高岡エリアの鉄道を乗り歩くには便利なパスです。宇奈月温泉や立山方面に向かうには、別途きっぷが必要です。
金沢加賀tabiwaパス
北陸線の金沢~大聖寺間の普通列車自由席が乗り放題。また、金沢エリアの城下町周遊バスと、加賀周遊バスなどが乗り放題になります。それに加えて、兼六園や金沢城などにも入館できます。
■価格:おとな2,500円、こども1,330円
■有効期間:2日間
■利用期間:2022年12月1日~2023年4月1日(3月31日利用分まで発売)
※利用日1か月前10時から有効開始日当日まで発売
■フリーエリア:JR北陸線金沢~大聖寺、北陸鉄道城下まち金沢周遊バス、西日本JRバス金沢駅兼六園口~山の上、加賀周遊バス「キャン・バス」全線
観光施設としては、成巽閣、武家屋敷跡野村家、懐華樓、兼六園、金沢城公園(菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門)に入館できます。金沢の定番観光地の入館料と市内の周遊バスが含まれているので、金沢観光をして、加賀温泉エリアに宿泊する場合に便利なパスです。
金沢能登tabiwaパス
金沢から七尾、穴水に至るJR線・第三セクター線の普通列車自由席が乗り放題。さらに、北鉄奥能登バスの全路線(特急線の一部を除く)にも乗り放題です。そのほか、和倉温泉などの観光施設の入館料がセットになっています。
■価格:おとな3,260円、こども1,630円
■有効期間:2日間
■利用期間:2022年12月1日~2023年4月1日(3月31日利用開始分まで発売)
※利用日1か月前10時から有効開始日当日まで発売
■フリーエリア:JR七尾線津幡~七尾、IRいしかわ鉄道金沢~津幡、のと鉄道七尾~穴水、北鉄奥能登バス全路線。ただし、輪島特急線(金沢駅西口~穴水此の木)、珠洲特急線(金沢駅西口~穴水駅前)、珠洲宇出津特急線(金沢駅西口~穴水駅前)は利用不可。
観光施設としては、和倉温泉お祭り会館と花嫁のれん館の入館料が含まれます。能登半島を公共交通機関で周遊するのに便利なパスです。「奥能登まるごとフリーきっぷ」(2日間3,000円)に金沢~七尾間の鉄道線が付いている形で、それよりも低価格です。
越前tabiwaパス
北陸線の福井エリアと越美北線全線の普通列車自由席が2日間乗り放題。京福バスの大野線と一乗谷東郷線も乗車できます。それに加えて、10月にオープンしたばかりの一乗谷朝倉氏遺跡博物館と朝倉氏遺跡を見学できます。
■価格:おとな2,500円、こども1,200円
■有効期間:2日間
■利用期間:2022年12月1日~2023年4月1日(3月31日利用開始まで発売)
■フリーエリア:JR北陸線南今庄~牛ノ谷、越美北線越前花堂~九頭竜湖、京福バス 大野線全線、一乗谷東郷線全線
一乗谷朝倉氏遺跡博物館と朝倉氏遺跡(復原町並)の入館料も含まれています。これらの施設には、JR越美北線または京福バスで訪れることができます。
小浜線tabiwaパス
小浜線敦賀~東舞鶴間の普通列車自由席が2日間乗り放題。それに加えて、沿線の観光施設で食事や体験ができます。
■価格:おとな2,200円、こども1,500円
■有効期間:2日間
■利用期間:2022年12月1日~2023年4月1日(3月31日利用開始分まで発売)
※利用日1か月前10時から有効開始日当日まで発売
■フリーエリア:JR小浜線 敦賀~東舞鶴
沿線の日本海さかな街での食事や、若狭国吉城歴史資料館など、6箇所の観光施設の入館料(飲食料)も含まれています。
お得なパスは?
北陸エリアの「tabiwa 周遊パス」は、それぞれ性格付けが異なります。「北陸おでかけtabiwaパス」と「とやま周遊パス」は、観光施設の入館料が含まれていないぶん低価格で、鉄道乗りつぶしに向いているフリーきっぷです。
「金沢能登tabiwaパス」は、奥能登周遊に向いているパスです。金沢市内から能登半島エリアまでのアクセスが含まれるため、金沢を拠点に能登観光をする方にはお得でしょう。観光施設の入館料も含まれていますが、フリーエリアの広さからみれば、おまけ程度といえます。
「金沢加賀tabiwaパス」は、加賀温泉に泊まって金沢市内を周遊する旅行者にターゲットを絞ったパスです。金沢市内の有名観光地のチケット代が含まれているのでお得感があります。加賀温泉エリアに泊まるのなら狙い目でしょう。
「越前tabiwaパス」は、福井エリアの新たな観光の目玉となった一乗谷朝倉氏遺跡博物館を訪れる旅行者にターゲットを絞ったパスです。ついでに越美北線を乗りつぶすなら最適でしょう。
「小浜線tabiwaパス」は、含まれている観光施設の数が多く、他の「tabiwa周遊パス」と趣が少し異なります。小浜線沿線の観光タイアップ企画的なきっぷのように感じられます。
いずれのフリーパスも、使い方によってはきわめてお得です。自分の旅のスタイルにあわせて使い分けるとよさそうです。
なお、全てのパスは『tabiwa by WESTER』アプリで発売されるデジタルチケットです。アプリをダウンロードすれば誰でも購入できます。駅の窓口などでの発売はありません。(鎌倉淳)