第一航空が沖縄からの撤退を決めました。運休中の那覇~粟国線の再開を断念し、2018年6月にも沖縄事務所を閉鎖します。これにより、同社による就航が計画されていた、波照間島への路線も幻に終わりそうです。
2009年に沖縄参入
第一航空は大阪府八尾市の航空会社で、おもにチャーターフライトや遊覧飛行をなどを行っています。2009年に琉球エアコミューターが撤退した那覇~粟国線を継承し、不定期航空事業に参入しました。
その後、那覇~沖永良部~徳之島線の運航も担い、2013年には石垣~多良間、石垣~波照間への参入検討を表明。波照間線については、2015年10月をメドに就航することが固まりました。
しかし、運航乗務員の訓練が遅れたうえ、同年8月に粟国空港で11人が負傷する着陸失敗事故が発生。那覇~粟国線が長期運休し、その影響で、石垣~波照間線の就航も延期になっています。
粟国線から撤退
2018年1月に、ようやく那覇~粟国線の運航が再開。しかし、同路線はもともと赤字で、沖縄県などの補助を受けて運航していましたが、2018年度の赤字補助の金額が折り合わず、4月から再運休しています。
琉球新報2018年4月28日付によりますと、2017年12月の県離島航空路線確保維持協議会で、第一航空が提示した2018年度の赤字見込み額約2億6000万円が「過大」とされ認められず、同社は約1億8000万円に下げて県に再提示したものの、これも認められませんでした。
そのため、第一航空は那覇~粟国線の存続を断念。6月末に沖縄事務所を閉鎖し、沖縄からの撤退を決めたということです。
新ターミナル建設も
沖縄事務所を閉鎖する以上、かつて計画されていた石垣~波照間線の就航の可能性もなくなったといえます。沖縄タイムズ2018年4月28日付は、「計画のあった石垣―多良間、石垣―波照間の2路線の就航も『資金繰りが厳しい』として運航を否定」と報じており、沖縄からの全面撤退と表現しています。
波照間空港は日本最南端の空港で、かつて琉球エアコミューターが定期便を運航していました。しかし、2007年12月に撤退し、後を受けたエアードルフィンも2008年11月に撤退しています。それから約10年にわたり、航空路線が存在しない状態が続いています。
波照間空港では、第一航空の就航を見越して2015年には新ターミナルも建設しましたが、いまのところ、定期航空事業には使われていません。現在の波照間空港は、緊急輸送などの離着陸が行われているのみです。
滑走路延長も議論
八重山新報2018年1月12日付によりますと、波照間空港では、琉球エアコミュータの使用機材(DHC8-Q400)が就航できるように、滑走路を現在の800mから1200~1500mに延長する検討もあるようです。
しかし、第一航空の小型機(DHC-6-400)ですら就航に至らなかったのですから、より大型となる機材の就航は容易ではなさそう。
日本最南端の空港として知られる波照間空港ですが、定期路線の運航再開は、なかなか見通せません。(鎌倉淳)