インドとネパールが、鉄道建設で合意しました。インド北東部の都市ラクサウルから、ネパールの首都カトマンズへ、約130kmの鉄道路線を建設します。ネパールへは中国からの鉄道建設計画もあり、実現すれば中印鉄道がカトマンズで接続する可能性も出てきました。
インド国境からカトマンズへ
インドとネパールの国際鉄道建設は、インドのモディ首相とネパールのオリ首相の間でおこなわれた首脳会談で合意したもので、2018年4月7日に公表されました。
インドの国境の都市ラクサウルからカトマンズを結ぶ新しい電化鉄道を、インドの財政的支援により建設します。ネパールの英字紙ヒマラヤンによりますと、「1年以内に予備調査を行い、詳細な報告書に基づき内容と資金調達について確定させる」とのことです。
両国の国境をまたぐ路線は他エリアでも計画されており、国際鉄道の運営について、インド・ネパールの共同作業部会ですでに話し合われています。現在は、列車運行のための要件について絞り込んでいるところだそうです。
開業時期などは見通せませんが、ラクサウルからカトマンズの距離は約130km。山岳地帯を抜ける路線なので難工事も予想されますが、距離としては長くないので、建設にそれほど時間はかからないかもしれません。
中国国境は2020年に鉄道開通
カトマンズへは、中国からの鉄道計画もあります。2016年3月に、中国を訪問したネパールのオリ首相が中国の李克強首相と会談し、中国とネパールを結ぶ鉄道路線の建設を提案、李首相も同意したと報じられました。
この提案は、中国のシガツェから国境の町キドンまで約250kmを結ぶというもので、2020年の完成を目指します。その先ネパール側のヒマラヤ山脈にトンネルを堀り、カトマンズへ線路を延ばし、さらにポカラ、パタンというネパールの三大都市を結ぶ構想もあります。
下図の上のほうにある大きな湖の西にキドンの町はあります。
キドンとカトマンズの直線距離は約120km。途中にはヒマラヤ山脈が横たわります。そこにトンネルを掘れるのかはわかりませんが、距離的にはそう長くありません。
「中印連絡鉄道」が実現
インドがネパールに対して、建設費を支援してまで鉄道を建設するのは、中国の計画に対抗する意味があります。
結果として、いままで鉄道網がほとんどなかったネパールに、中印両国から最新の鉄道路線が延びてくるわけです。実現すれば、カトマンズで中印両国の鉄道が接続し、北京からラサ、カトマンズを経てデリーまで、列車を乗り継いで旅ができることになります。チベット、ヒマラヤを横断する壮大な旅となるでしょう。
「そんな遠い未来の話、関係ないや」と思う方も多いでしょうが、最近の中国やインドの鉄道建設のスピードは、日本国内とは比較にならない速さです。
あなたの目の黒いうちに、ネパールを接点にした「中印連絡鉄道」が実現する可能性も、十分ありそうです。(鎌倉淳)