2016年度の航空路線別利用者数をまとめてみました。世界有数の利用者数で知られる羽田-札幌線は安定の首位を保ったものの900万人を割り込みました。LCC拠点では成田路線の伸び率が高い一方で、関空発着は頭打ちの傾向が見られます。
全210路線の利用者数を公表
航空路線の利用者数は、国土交通省の「特定本邦航空運送事業者に関する航空輸送サービスに係る情報」で公表されています。日本の国内線全210路線の利用者数が全てわかるという重要な統計です。
その2016年度(2016年4月~2017年3月)の数字が、このほどまとまりました。利用者数順のランキングに並べて、50位までみていきましょう。
2016年度航空路線利用者ランキング
以下が、2016年度の国内航空路線利用者数ランキングです。( )内は前年度の数字です。
1位 羽田-札幌 8,944,884(9,016,082)
2位 羽田-福岡 8,237,449(8,158,953)
3位 羽田-那覇 5,547,248(5,246,047)
4位 羽田-伊丹 5,256,032(5,194,556)
5位 羽田-鹿児島 2,302,072(2,255,200)
6位 羽田-熊本 1,837,376(1,894,102)
7位 福岡-那覇 1,810,041(1,703,471)
8位 羽田-広島 1,802,682(1,650,381)
9位 成田-札幌 1,745,756(1,682,891)
10位 羽田-長崎 1,687,107(1,734,683)
11位 羽田-松山 1,479,562(1,414,329)
12位 羽田-宮崎 1,420,622(1,418,015)
13位 中部-札幌 1,353,316(1,266,880)
14位 羽田-関西 1,261,437(1,150,833)
15位 羽田-高松 1,230,575(1,198,546)
16位 羽田-大分 1,192,339(1,178,268)
17位 那覇-石垣 1,166,567(1,154,370)
18位 成田-福岡 1,157,606(1,125,687)
19位 羽田-北九州 1,157,447(1,162,074)
20位 関西-那覇 1,139,254(1,258,445)
21位 中部-那覇 1,135,269(1,017,058)
22位 伊丹-那覇 1,119,358(954,739)
23位 関西-札幌 1,116,210(1,218,797)
24位 那覇-宮古 1,077,797(1,048,422)
25位 伊丹-札幌 1,077,658(1,035,036)
26位 羽田-函館 1,044,155(1,108,582)
27位 羽田-神戸 1,043,641(932,615)
28位 羽田-小松 997,925(1,032,518)
29位 羽田-岡山 992,659(995,440)
30位 羽田-徳島 960,001(902,157)
31位 羽田-高知 939,167(898,448)
32位 成田-関西 900,921(835,250)
33位 羽田-山口宇部 871,762(846,138)
34位 羽田-旭川 868,273(836,226)
35位 成田-那覇 861,279(747,375)
36位 伊丹-仙台 816,469(801,049)
37位 羽田-秋田 787,414(792,406)
38位 中部-福岡 750,854(758,469)
39位 仙台-札幌 725,795(722,611)
40位 伊丹-鹿児島 653,514(645,303)
41位 羽田-出雲 575,354(556,592)
42位 羽田-帯広 566,523(550,652)
43位 関西-福岡 545,327(547,061)
44位 羽田-米子 538,385(515,956)
45位 羽田-青森 528,431(515,108)
46位 伊丹-松山 526,122(500,398)
47位 伊丹-宮崎 502,707(526,741)
48位 福岡-札幌 497,082(513,121)
49位 札幌-神戸 493,902(394,362)
50位 羽田-釧路 491,194(482,256)
東京-札幌・福岡が2大幹線
首位は羽田-札幌(新千歳)線です。894万人と圧倒的な利用者数ですが、前年度に達成した900万人を維持できませんでした。一方、成田-札幌線が174万人の9位に食い込んでいて、あわせれば東京-札幌線は1,000万人をゆうに超えます。
2位は羽田-福岡で823万人。こちらは成田-福岡の115万人(18位)を加えると938万人で、東京-福岡間全体で1,000万人には届かないものの、やはり圧倒的な輸送量です。東京-札幌と東京-福岡の2つが、日本の航空路線の2大幹線であることを再確認できます。
次いで、羽田-伊丹、那覇が500万人台で続き、200万人台の鹿児島線までがベスト5です。
上位は羽田路線が目立ちますが、羽田が絡まない路線で最上位に付けるのが7位の福岡-那覇線。九州と沖縄の流動の太さをうかがわせます。沖縄関連では17位に那覇-石垣線(116万人)、24位に那覇-宮古線(107万人)も登場。沖縄の航空需要の高さを見せつけました。
成田路線はほとんど増加
成田路線は札幌線、福岡線のほか、関西線、那覇線が50位以内にランクイン。51位以下も含めて、成田路線をピックアップしてみましょう。
9位 成田-札幌 1,745,756(1,682,891)
18位 成田-福岡 1,157,606(1,125,687)
32位 成田-関西 900,921(835,250)
35位 成田-那覇 861,279(747,375)
53位 成田-伊丹 469,094(448,908)
62位 成田-中部 362,841(338,461)
73位 成田-松山 250,871(262,777)
77位 成田-広島 211,111(198,047)
83位 成田-高松 184,113(225,964)
87位 成田-鹿児島 180,865(177,665)
89位 成田-熊本 176,865(187,234)
92位 成田-大分 169,064(189,159)
104位 成田-佐賀 128,485(115,612)
111位 成田-奄美 117,161(103,980)
125位 成田-仙台 100,951(86,393)
181位 成田-新潟 28,369(25,767)
190位 成田-函館 11,282(-)
松山、高松、大分線を除いて前年度から伸びており、成田LCCの成長がうかがえます。たとえば成田-札幌線はLCC登場前の2011年では31万人に過ぎませんでしたから、5年で5倍以上の急成長を遂げたことになります。
関西3空港の利用者比較
関西空港発着では、羽田-関西線(126万人)を除けば、関西-那覇線の113万人が最上位です。次いで関西-札幌が111万人となりました。
同じ近畿エリアの伊丹空港と比べると、伊丹-那覇が111万人、伊丹-札幌が107万人ですから、那覇、札幌路線に関しては、伊丹空港よりも関西空港の利用者がやや多いことになります。LCCの普及が理由でしょう。
関西空港と伊丹空港に、神戸空港も加えて比較をしてみましょう。51位以下の数字も含めています。
【札幌線】
23位 関西-札幌 1,116,210(1,218,797)
25位 伊丹-札幌 1,077,658(1,035,036)
49位 神戸-札幌 493,902(394,362)
【仙台線】
36位 伊丹-仙台 816,469(801,049)
67位 関西-仙台 337,927(305,086)
【成田線】
32位 関西-成田 900,921(835,250)
53位 伊丹-成田 469,094(448,908)
【福岡線】
43位 関西-福岡 545,327(547,061)
52位 伊丹-福岡 486,967(508,717)
【鹿児島線】
40位 伊丹-鹿児島 653,514(645,303)
71位 関西-鹿児島 258,683(308,666)
80位 神戸-鹿児島 195,423(112,960)
【那覇線】
20位 関西-那覇 1,139,254(1,258,445)
22位 伊丹-那覇 1,119,358(954,739)
55位 那覇-神戸 440,189(408,134)
関西空港と伊丹空港の比較では、那覇線、札幌線、福岡線が互角、仙台線と鹿児島線は伊丹が強いという印象です。逆にいえば、仙台線と鹿児島線は、まだ関空発着LCCの伸びしろがある路線に見えます。関西空港のLCC路線は全体に頭打ち傾向が見られますが、路線によってはまだまだ利用者が増えそうです。
神戸空港は、札幌線と那覇線で関西、伊丹両空港の半分くらいの利用者数です。発着枠の制約がある状況でこれだけの数字を残せるのですから、発着枠が広がれば、もっと利用者は増えそうです。
最大の伸び率を記録した路線
その他、利用者が前年度に比べて大きく増えた路線をいくつかピックアップしてみましょう。順位は全体の利用者数の数字で、( )内が前年度比伸び率です。
22位 伊丹-那覇 1,119,358(△16%)
27位 羽田-神戸 1,043,641(△11%)
35位 成田-那覇 861,279(△15%)
56位 福岡-宮崎 423,507(△193%)
67位 関西-仙台 337,927(△10%)
76位 神戸-茨城 214,758(△28%)
78位 羽田-宮古 203,974(△138%)
80位 神戸-鹿児島 195,423(△74%)
増加率1位は福岡-宮崎線。2016年4月に起きた熊本地震などの影響と思われます。こうした特異的な路線を除くと、羽田-宮古線の138%増が最高です。ANAが同路線を2016年3月に開設したのが理由と思われます。
新幹線開業の影響
一方、50位以下になりますが、利用者減少が大きかった路線も見てみましょう。撤退により利用者がゼロになった路線は除外してあります。
64位 羽田-富山 356,367(▲22%)
68位 神戸-長崎 272,152(▲17%)
71位 関西-鹿児島 258,683(▲16%)
83位 高松-成田 184,113(▲18%)
最大の利用者減となったのは、羽田-富山線。北陸新幹線開業の影響によるものとみられます。同路線は2014年度には78万人の利用者がありましたので、2年間で55%の大幅減となっています。
同じく北陸新幹線開業の影響を受けた羽田-小松線は、2014年度に163万人だった利用者が、2016年度に99万人にまで落ち込みました。こちらも2年間で約40%の減少となりましたが、2016年度に限れば前年度比3%減と踏みとどまりました。
また、北海道新幹線開業による利用者減が懸念された羽田-函館線は、2016年度で前年度比5%減にとどまり、大きな影響を受けていません。(鎌倉淳)
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