京浜急行品川駅を地上化する工事の概要がわかりました。駅を現位置より約150mほど北に移設し、JR山手線のホームと並ぶ位置になります。泉岳寺方の引き上げ線も維持されます。京急品川駅はどう変わるのか、まとめてみました。
都市計画決定手続を開始
京浜急行品川駅は、京浜急行本線の泉岳寺~新馬場間の連続立体化工事で地上化されることが決まっています。このほど、連続立体化事業の都市計画決定に向けた手続きが開始され、工事の概要が明らかになりました。
連続立体化事業の資料によりますと、工事区間は泉岳寺駅から新馬場駅の間約1.7kmで、北品川駅付近を高架化するとともに、品川駅は現在の高架をなくし地上化します。
都市計画区間は、高架化区間を含む約2.0kmで、リニア中央新幹線の開業が予定されている2027年までの完成を目指します。
JRのホームと並ぶ位置に
資料に掲載された地図を見ますと、新しい京急品川駅は、現駅より150m程度北に移動し、JR各線の品川駅ホームとほぼ並ぶ位置になるようです。北品川駅の位置はあまり変わりませんが、少し南にずれるようです。
立体化により、京急本線は北品川駅から高架線でJR線を跨いでから地上の品川駅に下りる形になります。この区間のS字カーブは、線形が少し変わるものの、解消はされません。
京急品川駅は現在2面3線ですが、1線増えて2面4線となります。
まず1面2線を建設か
現在の京急品川駅とJR品川駅の間に2面4線のホームを入れるスペースはありません。
資料の標準横断図を見ると、新しい京急品川駅のホームは、現京急品川駅の真下に1面、その海側にもう1面設けられることがわかります。
そのため、最初に1面2線を現山手線ホーム西側にある留置線の位置に建設し、京急品川駅の下り線を仮移設し、その後、現在の京急品川駅を取り壊してから、その場所に残り1面2線を建設するという手順を踏むのでは、と考えます。
下り線だけ先に地上に移設し、高架の下り線部分を取り壊して、上り線を建設していく、という手順です。
山手線ホームは移設するか?
それにしても、現在の京急線高架を取り壊す前に、地上に京急線ホームを作るには、山手線ホーム西側の留置線スペースでは狭すぎるようにも思えます。まして、新しい京急品川駅の幅は約28m~39 mとされ、現在よりもかなり広くなります。
スペースを広げるなら、JR山手線ホームを海側にずらすしかありません。ただ、JR山手線ホームの移設の話はこれまで出ていませんし、都市計画範囲にも山手線ホームは含まれていません(下図の横に長い点線の範囲)。そのため、山手線ホームは現状が維持される可能性が高そうです。
柔軟なダイヤ設定が可能に
品川駅の泉岳寺方には引き上げ線が2線設けられます。この引き上げ線は、現在の京急線の高架下位置に設置されるようです。
具体的な工事手順は不明ですが、下り本線、上り本線、引き上げ線を、時期をずらしながら移設していくとみられます。
最終的に、京急品川駅は、2面4線の駅施設に2本の引き上げ線を有する形になり、これまでよりかなり柔軟なダイヤ設定ができそうです。
完成は楽しみですが、京急品川駅は、これから10年以上にわたる長い工事の季節に入ることになります。(鎌倉淳)