近畿日本鉄道が、次世代の新型観光特急の投入を発表しました。2013年の伊勢神宮式年遷宮に合わせて伊勢志摩観光をてこ入れする切り札的存在として開発された豪華車両です。運行開始は2013年3月21日に決まりました。年間14万人の利用を見込んでいます。
新型特急列車の愛称は「しまかぜ」。系列は未定です。6両編成2編成が製造され、1編成の定員は138人。これ、通勤電車なら1両で収まるくらいの数ですから、いかにゆったりした豪華列車がわかるでしょう。開発・製造に、近鉄は約37億円を投じます。
「しまかぜ」の名称は志摩に吹く風のさわやかさをイメージして命名されました。これにちなんだロゴマークも制作されます。
1・6号車は大きなガラスで見晴らしの良い展望車両です。2・5号車は一般席で、3号車がカフェ車両。カフェ車両は近鉄伝統の2階建て構造になっていて、上下階ともカフェです。4号車はグループ席車両で、グループ用の個室は寝台車以外で日本最大の広さという和風個室・洋風個室を各1室揃えます。グループ旅行に適したサロン席もあり。一般席の車内の座席はすべて3列配置で、シートピッチは125cmと、従来の特急より格段に広くなっています。シートには本革を使用し、電動レッグレストも装備。鉄道車両では初めて、シート背もたれにエアクッションを設置しています。いまや豪華座席に必須のコンセントも当然備えています。
車内では専属アテンダント(接客係)が4名乗車し、軽食や飲料の販売、記念乗車証の配布などのサービスを行います。沿線の名産品を用いた軽食や弁当、沿線の地ビール、ワイン、日本酒、ジュース、地元でしか味わえないオリジナルスイーツも販売するそうです。
運行区間は大阪難波~賢島間および近鉄名古屋~賢島間で、水曜日を除く毎日1往復運行。春休みや夏休み、ゴールデンウィーク、年末年始などの繁忙期には、水曜日も運行されます。
大阪難波・賢島間の停車駅は大阪難波駅、大阪上本町駅、鶴橋駅、大和八木駅、伊勢市駅、宇治山田駅、鳥羽駅、鵜方駅、賢島駅。所要時間は約2時間30分。名古屋・賢島間の停車駅は近鉄名古屋駅、近鉄四日市駅、伊勢市駅、宇治山田駅、鳥羽駅、鵜方駅、所要時間は約2時間10分です。
時刻表もすでにアウトラインが固まっていて、以下の通りです。
・大阪難波10:40頃→賢島13:10頃(土休日は大阪難波10:20頃→賢島12:50頃)
・賢島16:00頃→大阪難波18:30頃
・近鉄名古屋10:20頃→賢島12:30頃
・賢島15:40頃→近鉄名古屋17:50頃
これまでの近鉄特急同様、運賃と特急料金が必要ですが、「しおかぜ」ではさらに、特別車両料金も必要になります。乗車キロ80kmまでで700円、81~140kmで800円、141~180kmで1,000円、181km以上で1,100円です。JRでいう「グリーン料金」と考えればいいでしょう。全区間乗り通した場合の合計金額(運賃・特急料金・特別車両料金)は、大阪難波~賢島間(営業キロ176.9km)4,810円、近鉄名古屋~賢島間(同144.8km)4,480円。和風個室・洋風個室を利用する場合は別途、1室1,000円の個室料金が必要となります。
近鉄では、現在、「しまかぜ」の座席展示を実施しています。10月4日まで大阪上本町駅の地上コンコースで展示されており、着席体験も可能です。東京での展示も予定されていて、10月6~7日に東京・明治公園で開催される「鉄道フェスティバル」で、座席展示が行われます。