「ローカル路線バスの旅第25弾 福島・会津若松~秋田・由利本荘」に正解ルートはあったのか。さすがに徒歩が長すぎて

テレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」第25弾が放送されました。「ルイルイ」こと太川陽介と蛭子能収がローカル路線バスを乗り継ぐテレビ番組です。太川・蛭子のコンビは今回が最終回。マドンナは新田恵利でした。

第25弾の目標は、福島県会津若松市の飯盛山から秋田県の由利本荘市まで、路線バスを乗り継いで3泊4日で到達する、というものです。例によって、この正解ルートを検証してみましょう。

いつものことですが、以下はネタバレ100パーセントです。また、結果論100パーセントです。行ってない筆者が机上で語っているだけです。ご理解のうえ、お読みください。

※以下、掲載時刻は確認しましたが、今回のルート検証はことのほか複雑で、間違いや勘違いがあるかもしれません。その場合はご指摘ください。また、新ルートが見つかり次第、更新する場合があります。

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実際に旅したルート

第25弾で実際に3人が旅したルートは以下のようになりました。時刻表上の定刻をわかる範囲で示しています。

▽1日目
飯盛山下08:46→08:55若松駅前09:18→09:59寺町角→喜多方営業所11:40→12:25若松駅前14:38→15:40高坂→徒歩6km(実際は4km+送車)→行政センター前18:01→18:30大槻車庫前18:35→19:07郡山駅前

▽2日目
郡山駅前06:25→07:10太田熱海病院08:15→09:04本宮駅前09:30→09:41大玉村(大山字岩ヶ作交差点付近)→徒歩7km→12:10二本松駅入口13:18→14:16福島駅東口14:55→15:39藤田南→徒歩6.3km→18:02越河清水18:13→18:39白石駅(白石蔵王駅往復=略)

▽3日目
白石駅07:45→08:12蔵王町役場10:04→10:30村田営業所13:23→13:50川崎仲町・かわさきまち14:40→15:59仙台駅前16:35→18:53新庄駅前

▽4日目
新庄駅前08:35→08:53小川町→徒歩9km→10:55古口駅11:35→11:50草薙温泉→徒歩8.3km→狩川駅15:30→15:59余目駅前

余目駅には午後4時頃に到着し、まだ進めそうな時間ですが、先へ進むバス路線が見つからず断念。最終回ながら失敗に終わりました。

ローカル路線バスの旅第25弾
ローカル路線バス乗り継ぎの旅 第25弾 福島・会津若松~秋田・由利本荘
【出演者】太川陽介、蛭子能収、新田恵利
【ナレーター】キートン山田

初日の停滞が成否を分けた?

番組を見終わった方の多くは、「初日に郡山までしか行けなかったことが敗因ではないか」という印象を抱いたのではないでしょうか。初日の停滞感は最近のシリーズで比類なく、筆者も「ラーメン食べてて大丈夫かいな?」と番組に突っ込みを入れそうになりました。

では、初日はどうすれば良かったのでしょうか。調べてみましたが、これはかなり難題です。

会津若松を抜け出るには、大きく分けて3つの方向があります。東の郡山方面、北の米沢方面、西の新潟方面です。番組では、このうち米沢と新潟を最初の選択肢として挙げていましたが、どちらのバスルートも見つけられません。そのため、一行は消去法的に郡山を目指す形になりました。

実際のところ、米沢へバスで抜けるルートはありません。徒歩を組み合わせたとしても、実現性のあるルートは存在しないといっていいでしょう。

一方、新潟へ抜ける方法はあることはあります。ただ、長距離の徒歩を伴うため、見つけられたとしても、それを選んで進んだかは疑問です。それについては後述しましょう。

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最速で郡山に抜けていた

若松から郡山へ抜けるには、一行が旅したように、猪苗代湖南岸を経由するバス路線が基本となります。その点で、ルイルイ一行の選択は正しかったと言えます。

ただ、この路線は便数が少なく、若松駅前を06時25分に出た後は、12時53分発までありません。しかも、このバスは途中の原長谷川前止まりで、高坂まで行きません。

そのため、一行が仮に12時53分発のバスに気づいていたとしても、高坂までバスで到達できる便を待ったと思います。それが若松駅前15時40分発で、実際ルートで利用したバスです。

要するに、このルートを経由する限り、実際ルートより早く郡山に到達する手段は、事実上ありませんでした。つまり、一行は、猪苗代湖南岸ルートの最速で郡山へ抜けたわけです。

猪苗代方面へ向かっていたら

他のルートも検証してみましょう。

一行は、待ち時間を利用して、ラーメンを食べるために喜多方へ向かいます。そして、喜多方営業所で、11時発の猪苗代方面へのバスに乗り逃したことに気づきました。このバスに乗っていたら、もっと早く郡山に着けたのでしょうか。

▽1日目
喜多方駅11:00→12:41猪苗代駅14:40→15:20裏磐梯グランデコ東急ホテル16:25→18:10郡山駅

このように、実際ルートより1時間ほど早く郡山に着くことができますし、徒歩もありません。

ただし、このルートの「猪苗代駅~裏磐梯グランデコ東急ホテル」は、ホテルの運行する無料バスです。利用者は宿泊者に限る等の但し書きはありませんので、ホテルで飲食でもすれば、社会通念上の問題はクリアできるかもしれませんが、番組のルールとしては疑問が残るところです。

「裏磐梯グランデコ東急ホテル~郡山駅」のバスは、福島交通がスキーシーズンのみ運行する「郡山・裏磐梯線」です。有料なので路線バスとして利用して問題なさそうです。

グランデコ関連のバスは、12月1日より毎日運行されています。いずれも予約制で、当日空席があれば乗車できます。ロケ日は12月中旬の平日のようですし、スキー場は12月10日にはオープンしています。そのため、運行さえされていれば、乗車は可能だったとみられます。

もし、乗車不能の場合は、以下のように迂回になります。

▽1日目
喜多方駅11:00→12:41猪苗代駅14:48→15:08金の橋→徒歩0.9km→会津レクレーション公園15:08→15:40高坂(以下実際ルート)

猪苗代湖南岸を通る実際ルートに収斂します。

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磐梯熱海へ直接行けないか

少し先走りますが、実際ルートでは2日目の朝に磐梯熱海を目指します。地理に詳しい人なら、猪苗代湖北側を経由して、直接磐梯熱海に行く方法はないか、と考えるでしょう。

その場合は、猪苗代駅から、中ノ沢温泉方面へのバスを利用するという方法があります。中ノ沢温泉から11kmほど歩けば、石筵牧場という停留所から磐梯熱海方面へのバスにつながります。

ただ、1日目は磐梯熱海方面への終バスに間に合いません。そのため、中ノ沢温泉ルートでは、当日中に磐梯熱海に到達できず、実際ルートに比べてアドバンテージはありません。そもそも、冬季に11kmの峠越えは現実的ではありませんので、実現性に乏しいルートでしょう。

箕輪スキー場を経由すると

あるいは、猪苗代から115号線沿いに箕輪スキー場を目指す、というルートもあります。この場合、途中の高森までバスがあり、そこから箕輪スキー場まで5km歩けば、スキー場の無料シャトルバスに乗り継げます。箕輪付近の横向温泉の旅館に一泊すれば成り立つルートです。

▽1日目
喜多方駅11:00→12:41猪苗代駅16:28→17:18高森→徒歩5km→横向温泉

▽2日目
箕輪スキー場11:00→12:00福島駅西口

ルートとしてはつながりますが、スキー場の無料バスをどう考えるかという問題と、高森から箕輪まで冬の山道を夜に5kmも歩けるかという疑問があります。

なお、箕輪をスルーして土湯温泉まで歩けばかなりの時間短縮になりますが、高森のバス停から20km以上の道のりとなり、非現実的です。

現実的なルート取りで考えると、初日に東方向を目指した場合、郡山泊は避けられなかったとみられます。となると、若松から郡山方面を目指したのであれば、初日の停滞は「間違い」ではなかった、ということになります。

時間を持てあました一行が、喜多方ラーメンを食べにいったのは、「正解」だった、といえるかもしれません。

岳温泉へのバスを待っていたら?

2日目です。一行は初日の停滞を取り戻すべく早起きし、順調に本宮駅に到達します。ところが、本宮駅から岳温泉へ向かうとすると、次のバスは13時までありません。ここで一行は、岳温泉をパスし、7kmの徒歩で二本松への直行を決断します。

もし、本宮駅で岳温泉へのバスを待っていたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
本宮駅前13:00→13:29岳温泉14:40→15:07二本松駅前16:18→17:16福島駅東口17:35→18:19藤田南

▽3日目
藤田南→徒歩6.3km→越河清水07:30→07:56白石駅08:50→09:17蔵王町役場

2日目に白石まで到達することができません。ただし、3日目の朝、越河清水7時30分発のバスに乗れれば、蔵王町役場10時04分発の実際ルートに追いつきます。つまり、藤田南から越河清水のどこかで宿泊できていれば、実際ルートと同じ結果になるわけです。

ルイルイが本宮から二本松へ徒歩を選んだのは、時間短縮という見地では好判断だったといえます。が、先の情報を把握したうえで藤田付近の旅館に泊まれば、徒歩を減らすことができた、ともいえます。現実的には難しかったでしょうが。

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遠刈田温泉へのバスに乗っていたら?

2日目で気になったのは、白石駅で遠刈田温泉方面(ロイヤルホテル行き)のバスを見逃した点です。これに乗っていたらどうだったでしょうか。

▽2日目
白石駅18:51→19:26蔵王町役場前

このバスは遠刈田温泉のロイヤルホテルまで行きます。そのため、蔵王町役場ではなく、遠刈田温泉に宿泊してもいいのですが、わかりやすくするため、以下は実際ルートと同じ蔵王町役場での乗り継ぎで表示します。

蔵王町役場からは仙台への高速バス「仙台・蔵王町線」が出ています。このバスは途中の村田町役場までは一般道を走ります。そのためこの区間はルール上、利用できます。

しかし、3日目の朝に、このバスを利用しようとすると問題が生じます。宮城交通の時刻表には、「平日の遠刈田発→仙台行の、宮城蔵王ロイヤルホテル発6:23、7:08の便は、遠刈田~村田間のみのご利用はできません」とあります。遠刈田発の始発2便は、村田町役場までの区間利用ができないのです。

したがって、蔵王町役場から村田へ向かうには、「蔵王・村田線」の08時04分発まで待たなければなりません。

▽3日目
蔵王町役場08:04→08:30村田営業所

これでも実際ルートより2時間ほど早く村田に着くことができますが、村田から川崎仲町へのバスは13時23分までありませんので、実際ルートと同じになります。

青根温泉へ抜けられないか

それより先を急ぐルートはないのでしょうか。探してみると、以下のようなルートが見つかりました。

▽2日目
白石駅18:51→19:43ロイヤルホテル

▽3日目
ロイヤルホテル→徒歩4.2km→青根温泉09:15→10:09(川崎)中町・かわさきまち10:40→11:58仙台駅13:05→15:23新庄駅前

遠刈田温泉に泊まり、翌朝、青根温泉まで4.2kmを歩くという経路です。朝一番の元気なときの徒歩4km、と考えると可能に見えます。ただ、遠刈田温泉と青根温泉の標高差は200mくらいありそうで、蛭子さんでなくても大変そうです。

ルイルイ一行は、過去、このくらいの標高差は越えてきたことでしょう。しかし、季節は冬、そして東北です。雪道となると難しかったかもしれませんので、現実的に可能だったかは、なんともいえません。

あるいは、青根温泉の送迎バスにロイヤルホテルに来てもらう、という手もあります。過去の放送では、宿の送迎バスはルール上OKとされたケースがあります。

青根温泉ルートが使えるなら、新庄に15時過ぎに着くことができます。ただ、さらに先へ進めたかは微妙です。小川町へのバスはありますが、その先、古口に到達しても最上川交通のバスがなく、草薙温泉まで当日中に行けません。

古口付近に泊まれればいいですが、現実的には新庄泊まりを余儀なくされ、実際ルートに追いつかれたのではないかと想像します。

土曜日の壁

一行は川崎に到達してから挽回します。川崎から仙台への直通バスと、仙台から新庄への直通バスを乗り継いで、一気に新庄に到達しました。「今回は失敗かな」という雰囲気だった番組は、ここで「成功かも」の雰囲気に変わります。

そして、運命の最終日、一行は最上川に沿って酒田を目指しました。一行は、草薙温泉から4km歩いて清川駅に到達した後、余目に早く行けるルートを探すため、さらに4km以上歩くことを決断し、狩川駅に至ります。

しかし、新たな路線は見つからず、清川から乗ったとしても同じバスに乗り、余目で断念、という結果に終わりました。

平日なら、清川駅から鶴岡方面へ行くバスがあるのですが、この日は土曜日。余目から先へ行くバスは見当たりません。

余目で本当に終わりだったのか?

では、余目から先へは、本当に行けなかったのでしょうか。

このエリアは、土日運休のバスが多く、鶴岡~酒田間のバスも16時過ぎには終わってしまいます。そのため、余目駅から由利本荘へ向かうには、酒田市内まで歩くしかなさそうです。

▽4日目
余目駅→徒歩10km→イオン酒田南店20:00→21:43本荘駅前

このように、イオン酒田南店まで10kmを歩くことができれば、由利本荘へゴールすることが可能でした。

イオン酒田南店から本荘へのバスは、仙台~由利本荘を結ぶ高速バスの下道区間です。「仙台・蔵王町線」でも述べたとおり、高速バスでも下道区間のみで乗降できる場合は、ルール上、下道区間だけの利用が可能です。

今回の番組でも、「酒田から由利本荘へのバスがある」という旨のナレーションがありましたが、それはこの路線を指しているとみられます。

ただ、この日はすでに17kmも歩いています。さらに徒歩10kmはきついでしょう。1日27kmは、普通の人が歩ける距離とはいえません。

もちろん、体力さえあれば時間的にはゴールすることは可能でした。「失敗で終わるのもこの番組らしい」とルイルイは振り返りましたが、最後に10km歩いて、くたくたになってゴールしたとしても、この番組らしかった、と言えそうです。

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新庄からの別ルート

とまれ、余目でのサドンデス感を見ると、ルート取りが悪かったのでは、という気がしてきます。では、新庄から別のルートを検討してみましょう。新庄から北上して湯沢へ向かうルートです。

▽4日目
新庄駅前07:10→07:39金山病院前・金山病院07:46→08:17真室川駅09:54→10:45及位駅→徒歩13km→ 横堀駅前15:20→15:48湯沢営業所19:00→19:38横手バスターミナル

横手から由利本荘へはバスがあり、それに乗れれば本荘に到達できます。しかし、最終便は18時発。前夜に新庄泊では、このバスには間に合いません。つまり、及位から横堀まで、峠道を13km歩いても、横手で行き詰まったことになります。

ただ、及位から横堀までの13kmを約3時間で歩ききれば、以下のようにつながります。

▽4日目
新庄駅前07:10→07:39金山病院前・金山病院07:46→08:17真室川駅09:54→10:45及位駅→徒歩13km→ 横堀駅前13:50→14:18湯沢営業所15:00→15:38横手バスターミナル18:00→19:49本荘営業所

及位から横堀までは、雄勝峠といわれる難所です。この区間を冬季に時速4キロ以上で歩ききるのは困難とは思いますが、可能性としてはあり得るルートといえます。

あれこれ書きましたが、郡山経由で4日目に由利本荘に到着できる現実的なルートは見つかりませんでした。となると、初日に郡山を目指したこと自体が、間違いだったことになります。

「正解」は新発田ルート?

では、話を会津若松に戻しましょう。初日、ルイルイ一行が新潟方面を目指したらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
飯盛山下08:46→08:55若松駅前09:40→10:25坂下営業所13:20→14:00野沢駅前→徒歩12.8km→八ツ田17:45→18:04津川営業所

▽2日目
津川営業所11:45→12:25三川駅14:47→15:06新谷15:32→16:30新発田駅 17:46→18:35胎内市役所

▽3日目
胎内市役所→徒歩7.4km→坂町病院08:59→09:25下関09:50→10:33村上営業所12:03→13:02寒川13:05→13:23府屋駅前14:21→14:31伊呉野16:53→17:16温海営業所

▽4日目
温海営業所07:20→08:10庄内観光博物館(鶴岡)10:45→13:13本荘営業所

全体的に大きな峠越えをともなう徒歩がなく、比較的無理のないルートです。何よりも、4日間でゴールできるルートはほかに見当たらないので、「正解ルート」をあげるとすれば、この、新発田を経由するルートしかありません。

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「想定ルート」はあっても「正解ルート」はない?

ただ、初日に西会津町から阿賀町にかけて12kmもの徒歩があるため、会津若松を出るにあたって、選択しづらいルートともいえます。津川から新発田にかけてのバス情報を把握していれば選べたかもしれませんが、そうでなければ12kmの徒歩は長すぎて、初日にいきなり選ぼうとは思わないでしょう。

そもそも、12kmも連続で歩くコースを「路線バス乗り継ぎの旅」の正解ルートに挙げることにも躊躇があります。また、真冬に日本海側をたどるルート取りも難点です。天候が荒れれば、ロケ自体が続行できなくなった可能性もあったでしょう。そう考えると、これを「正解」と呼ぶことは難しい気もします。

要するに、第25弾には、「スタッフが想定したルート」はあっても、「正解ルート」なんてなかったのではないか、ということです。

想定ルートは郡山経由?

一行が実際に旅したルートは、最終日が平日なら、番組構成上、良くできていたルートだと思います。

序盤は停滞していた一行が、途中の長距離路線で挽回し、最後、余目駅前を16時30分に出るバスさえあれば、酒田で乗り継いで由利本荘にたどり着き、「奇跡のゴール!」を演出できたはずだからです。

その演出を支えたのが、「仙台・新庄線」です。これを利用することで、一行は一時的に劣勢を挽回しました。

この番組では、こうした長距離路線バスを日程後半に配置する傾向があります。逆転を演出するための位置づけとみられます。その意味で、今回の「仙台・新庄線」の利用はあらかじめ想定されていたとみていいでしょう。つまり、スタッフが最も想定していたルートは、郡山経由なのだと思います。

新庄に3日夜に到達することを「想定」し、4日目に新庄から湯沢へ向かい、雄勝峠を3時間で歩き切れればゴール、歩ききれなければ失敗、というあたりを考えていたのではないでしょうか。

逆算したらどうなるか

「実際ルート」をたどると、余目駅前を13時30分発のバスに乗るのがゴール成功の条件となります。それを満たす時刻表を逆算すると、2日目に本宮駅07時10分発のバスに乗る必要があることがわかります。

本宮は郡山のすぐ近くです。ならば、1日目に郡山駅で泊まらずに、少し先まで進んでおけば、何とかなるかもしれません。以下のようなルートを考えてみました。

▽1日目
郡山駅前19:40→20:01喜久田駅前

▽2日目
喜久田駅前→徒歩10km→本宮駅前07:10→07:39岳温泉08:01→08:25二本松駅前・二本松駅入口09:03→10:08福島駅東口11:00→11:43藤田南→徒歩6.3km→越河清水14:28→14:54白石駅16:37→17:04蔵王町役場17:30→17:50村田営業所18:02→18:19川崎仲町・かわさきまち18:40→19:59仙台駅前20:25→22:43新庄駅前

▽3日目
新庄駅前08:35→08:53小川町→徒歩9km→古口駅14:38→15:05草薙温泉

▽4日目
草薙温泉→徒歩8.3km→狩川駅07:44→08:18余目駅前09:45→10:35庄内交通バスターミナル(酒田)11:40→13:08本荘駅前

初日に喜久田駅まで行く、という点で現実感がありませんが、郡山経由でゴールするには上記のプランしか見つかりませんでした。喜久田から本宮まで10kmも歩きますし、これを「正解ルート」と言うつもりはありません。郡山経由でも、ゴールできなくはない、という程度のルートでしょう。

このほか、寒河江から月山を抜けるルートも検討しましたが、一般道を走る路線バスで乗り切ることはできなさそうです。

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新シリーズはルール変更があるか

さて、番組の最後で、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」の新シリーズが、2017年春にスタートすることが告知されました。太川・蛭子のコンビが卒業し、新しいメンバーが番組に登場してくるはずです。

新シリーズの注目点は、もちろん新コンビです。くわえて、ルールが変更されるかも気になります。

ローカルバスは日本全国で年々縮小しており、徒歩抜きで路線バスをつなぐことは困難になっています。したがって、番組を継続するのなら、ルール変更は避けられないはずです。それは、第25弾を見ても、痛いほど感じられました。

実際に、ルール変更が行われるのか、行われるとしてどんなルールになるのかはわかりません。回数を限ってのタクシー利用や、県境に限っての高速バス乗車を認める、といった方策が現実的と思いますが、厳しいルールがあってこその番組のおもしろさでもあるので、匙加減は難しそうです。

新メンバーや新ルールがどうなるのか。2017年春の新しい「ローカル路線バスの旅」にも期待したいところです。(鎌倉淳)

ローカル路線バス乗り継ぎの旅DVD

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