京王電鉄は、2018年春に新型車両50両を導入し、有料の座席指定特急の運転を開始すると発表しました。新型車両は5000系と名付けられ、10両編成で、5編成が製造されます。運行スタイルは東武東上線「TJライナー」と同じです。注目の停車駅はどうなるのでしょうか。
クロス/ロングシート転換座席を導入
京王電鉄が有料座席列車を導入することは、2015年5月のIR情報で明らかにしていましたが、その記述は「有料座席列車の導入の検討」というだけで、それ以上の情報は何もありませんでした。今回、1年近い検討期間を経て、その具体像を京王電鉄が発表したわけです。
発表によりますと、導入される新型5000系は10両編成で、5編成が製造されます。2×2列のクロスシートをロングシートに切り替えられる座席配置で、東武東上線の「TJライナー」で使われている50090系と似た形になります。
夕方から夜間の帰宅ラッシュ時には、クロスシート車として新宿発の座席指定特急として走ります。その他の時間帯は、追加料金のかからない通常の車両として運行します。要するに、東武東上線の「TJライナー」方式です。ただし、朝ラッシュ時の上りでは座席指定特急は運転されません。
座席定員は大幅減か
各車両にベビーカーや車いす向けのスペースも設けます。無料のWi-Fiや電源コンセント、空気清浄機も装備。画像を見ると、コンセントは各座席のアームレストに設置されるようです。
座席もゆったりしているように見えますし、快適性の高い車内になりそうです。ただし、座席定員は大幅に減るとみられます。
車両の製造はJR東日本子会社の総合車両製作所が手掛けます。同社が製造しているほかの鉄道会社の車両と車体や一部の部品を共通化し、製造コストを抑えます。プレスリリースに記述はありませんが、車両形状からみて、サスティナが採用されるのではと推測します。
新宿発20分間隔で運転か
さて、注目は運用と停車駅でしょう。発表によりますと、座席指定列車は平日・土休日の夜間帰宅時間帯に、新宿発・京王八王子行きと新宿発・橋本行きで運行するとのこと。要するに、通勤ライナーとして運転されます。
5編成の投入ですから、八王子行きと橋本行きを交互に20分間隔で運行可能でしょう。その場合、両方面40分間隔での運転となります。
明大前、調布は通過か
停車駅を勝手に予想してみましょう。参考になるのは、他社の通勤ライナーです。多くの会社で、ライナー系の列車は最優等列車の停車駅をベースにしながら、都心側の途中駅が通過になっています。京王もそれに倣うなら、特急停車駅をベースに、明大前、調布は通過で、八王子系統は府中から、橋本系統は京王稲田堤からの停車になるでしょう。
以下、特急の停車駅をたどるとすれば、八王子系統は、新宿、府中、分倍河原、聖蹟桜ヶ丘、高幡不動、北野、京王八王子です。また、橋本系統は、新宿、京王稲田堤、京王永山、京王多摩センター、南大沢、橋本となります。
ただ、最初は停車駅を絞って利用状況の様子を見る可能性もあります。その場合は、八王子系統は分倍河原、北野が通過になるかもしれませんし、橋本系統は京王稲田堤、京王永山は通過になるかもしれません。
料金は未定ですが、短距離路線ですから、300円程度に収めるのではないでしょうか。
高尾山行きは設定なし
ところで、せっかくの新鋭車両ですが、クロスシートでの運用は夕方ラッシュ時のみとなりました。京王電鉄には高尾山という観光地がありますので、土日の観光特急としての運用もあるかと期待しましたが、今回は見送られたようです。
京王電鉄社内で、高尾山への有料特急設定が検討されていることは、過去に報じられています。そのため、今後、利用状況を見極めた上で、高尾山へのライナーが運行される可能性は残されていると思いたいところ。
気になるのは、有料特急運転にともなって、既存の特急が減便にならないか、という点です。旅客へのサービス向上を狙うなら、有料特急は純増で対応してほしいところです。(鎌倉淳)