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四国横断新幹線

四国横断新幹線

四国横断新幹線は、岡山市から高知市に至る新幹線です。全国新幹線鉄道整備法における基本計画路線と位置づけられています。また、「四国新幹線」の計画とあわせて検討されることもあります。 詳細なルートは未決定で、着工の予定はいまのところなく、開業予定時期も未定です。(当記事の内容は、四国新幹線の記事と重複します) 四国横断新幹線の概要 四国横断新幹線は、岡山市から高知市に至る新幹線の基本計画路線です。瀬戸大橋を渡り、四国を南北に貫く新幹線計画です。総延長は約150kmです。 おおまかなルートとしては、山陽新幹線岡山駅から、瀬戸大橋線の児島駅に至り、瀬戸大橋を渡り宇多津駅に出て、そこから高知を目指します。 宇多津から高知への経路は未定ですが、最新の構想では、宇多津駅~四国中央市(伊予三島付近)までは四国新幹線(徳島~高松~松山)と線路を併用します。四国中央市から南に向かい、高知市に達します。四国中央~高知間は、四国山脈を貫くルートになります。 瀬戸大橋は鉄道道路併用橋となっていて、児島~宇多津間は新幹線が通るルートが確保されています。本州側の児島駅と、四国側の宇多津駅には、新幹線のホームを設置するスペースが確保されていて、いずれも駅前広場として使われています。   四国横断新幹線は、1973年に「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」に盛り込まれました。しかし、現在に至るまで、瀬戸大橋区間以外で建設へ向けた動きはなく、具体的なルートや途中駅などは一切未定です。 2014年に四国4県と四国経済連合会、JR四国などによる「四国の鉄道高速化検討準備会」が四国横断新幹線について建設費などを調査しました。それによりますと、四国横断新幹線を岡山~高知間で単独整備した場合、路線延長は143km、概算事業費は7,260億円(建設費は7,100億円、車両費160億円)となります。 整備後の所要時間は新大阪~高知間が92分で結ばれます。 この試算では、平均輸送密度は1日6,100人で、費用便益比は0.59にとどまるとしています。 十字型ルート このため、同準備会では、四国新幹線と四国横断新幹線とあわせた四国の県庁所在地を結ぶ新幹線網を提言。具体的には、四国横断新幹線の岡山~高知間と、四国新幹線の徳島~松山間を整備するというものです。 両新幹線の経路が重なる宇多津駅~四国中央市付近は線路を共用します。これを「十字型ルート」と呼びます。 十字型ルートは、四国横断新幹線の岡山~高知間全線と、四国新幹線の徳島~松山間を整備する計画です。最近では、「四国横断新幹線」「四国新幹線」と分けずに、この十字型ルートを四国全体の新幹線計画とし、「四国新幹線」と呼ぶことが多いです。 同準備会の試算によれば、四国新幹線十字型ルートの場合、路線延長は302km、概算事業費は1兆5700億円(建設費1兆5300億円、車両費410億円)です。 完成すれば新大阪~徳島が95分、新大阪~高松が75分、新大阪~松山が98分、新大阪~高知が91分で結ばれます。輸送密度は1日9,000人ですが、費用便益比は1.03になるとしました。 四国4県の方向性としては、この十字型ルートでまとまってきています。 駅位置 四国新幹線・四国横断新幹線の駅位置について、公式に発表されたことや、確定した事実はありません。ただ、国土交通省の「幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査」の令和元年度報告書では、四国新幹線をイメージしたケーススタディが掲載されています。下図は、その想定図です。 これを当サイトの独自解釈で四国新幹線十字型ルートに当てはめると、以下のようになります。括弧内は上表の仮定駅です。 ■瀬戸大橋・予讃ルート 岡山(A)~児島(B)~宇多津(C)~観音寺(D)~伊予三島(E)~新居浜(F)~伊予西条(G)~松山(H) ■高徳ルート 宇多津(C)~高松(I)~三本松(J)~徳島(K) ■土讃ルート 四国中央(E)~高知(L) 岡山~伊予三島・高松間が複線で、それ以外は単線。駅設備は松山、高松、徳島、高知、宇多津、伊予三島が2面4線で、それ以外は2面2線の構成です。 これはあくまでも、一つの仮定としての駅配置です。実際に建設するとなると、政治的な動きもあるでしょうし、駅数はもう少し増えるのではないか、と予想します。 県庁所在地駅の候補地 各駅の詳細な位置も未定ですが、2022年6月1日に、四国アライアンス地域経済研究会が各県庁所在地駅位置の候補地を発表しています。 「高松駅」は、JR高松駅、JR栗林駅、琴電伏石駅、高松空港の4案があります。古くから栗林駅が有力とされていますが、事業費と線形問題を克服できるなら高松駅もあり得るでしょう。 「松山駅」は、JR松山駅の高架化に際しスペースを確保してありますので、松山駅併設で決定です。その場合、線路は北方向から入ります。 「徳島駅」は、鳴門エリア、徳島空港、JR徳島駅の3案があります。将来的な紀淡海峡への延伸を考慮するなら鳴門エリアが有力ですが、当面の利便性を重視するなら徳島駅になるでしょう。 「高知駅」は、JR高知駅、JR後免駅の2案があります。利便性を考えるなら高知駅になりますが、建設費を縮減するなら後免駅もあり得るでしょう。 これらもあくまで民間団体の私案にすぎません。実際にどこに駅ができるかは、事業着手前に検討されることになるでしょう。 四国横断新幹線の沿革 1970年の全国新幹線整備法制定後、1973年11月15日に「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」に四国横断新幹線が盛り込まれました。いわゆる「基本計画路線」の一つです。 その後建設に向けた具体的な動きはほとんどありませんでしたが、2010年代に入り、地元自治体などが新幹線誘致に本腰を入れ始めます。「四国の鉄道高速化検討準備会」が設立され、2014年4月に「四国における鉄道の抜本的高速化に関する基礎調査」の結果をまとめました。 2017年7月6日にはオール四国で新幹線誘致を推進する新組織として「四国新幹線整備促進期成会」が発足しています。2022年6月1日には、四国アライアンス地域経済研究会が各県庁所在地の新幹線駅候補地を発表しています。 2023年には、徳島県の後藤田正純新知事が、岡山ルートの四国新幹線計画に対して支持を表明。四国4県が一致して十字型ルートを推進する方向でまとまりました。   四国横断新幹線のデータ 四国横断新幹線データ 営業構想事業者 JR四国 整備構想事業者 鉄道・運輸機構 路線名 四国横断新幹線 区間・駅 岡山市~高知市(基本計画) 徳島~高松~松山、岡山~宇多津、伊予三島~高知(十字型ルート) 距離 143km(基本計画) 302km(十字型ルート) 想定輸送密度 6,100人/日(基本計画) 9,000人/日(十字型ルート) 総事業費 7,300億円(基本計画) 1兆5700億円(十字型ルート) 費用便益比 0.59(基本計画) 1.03(十字型ルート) 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 第一種鉄道事業 種類 新幹線鉄道 軌間 1,435mm 電化方式 交流25,000V 単線・複線 未定 開業予定時期 未定 備考 全国新幹線整備法 四国新幹線の今後の見通し 新幹線の基本計画では、四国横断新幹線は岡山から宇多津を経て高知に至るルートです。本州と四国を結ぶ新幹線で、大きく分けて北半分の瀬戸大橋区間と、南半分の四国山地区間があります。 瀬戸大橋区間は利用者も多いので新幹線が必要とされますが、四国山地区間は多くの利用者を見込めません。四国に新幹線を建設する場合、岡山~宇多津~松山がメインルートになるとみられ、四国山地区間の建設の優先度は低いと言えます。 しかし、四国への新幹線実現を目指す四国4県が「四国新幹線」と「四国横断新幹線」をひとまとめにして、十字型のルートを当面の計画としたため、セットで建設運動が進められそうです。 現在の構想では、すでに新幹線の導入空間が確保されている瀬戸大橋を本四間のルートとし、宇多津で高松・徳島方面に分かれ、伊予三島で松山・高知方面に分かれる系統となります。全線建設しても建設費は1兆円程度という試算で、実現性としては基本計画路線のなかで上位にありそうです。 主力となるのは松山方面の予讃ルートでしょう。一方で、大阪方面からの経路が大回りになる徳島への路線や、長大な山岳トンネルを掘らなければならない高知方面への土讃ルートを、本当に作るのか、という疑問もあります。 一方で、高知方面については、土讃線(在来線)の山岳区間の設備の老朽化が激しいため、その更新をするくらいなら新幹線を作ったほうが効果的という指摘もあります。 十字型ルートは「オール四国」の形を整えるには適していますが、実際に事業着手するとなると、優先順位を付けざるをえません。そのため、岡山~松山・高松が優先着工されて、高知、徳島は後回しにされる可能性は否めません。
東九州新幹線ルート図

東九州新幹線

東九州新幹線は、福岡市から大分市、宮崎市を経て鹿児島市に至る新幹線計画です。全国新幹線鉄道整備法における基本計画路線と位置づけられています。 詳細なルートは未決定で、着工の予定はいまのところなく、開業予定時期も未定です。 東九州新幹線の概要 東九州新幹線は、福岡市から大分市、宮崎市を経て鹿児島市に至る新幹線の基本計画路線です。博多~小倉間を山陽新幹線と共用する場合、実際に建設するのは小倉~鹿児島中央間です。総延長は約390kmです。 おおまかなルートは、小倉から鹿児島まで日豊本線に沿う形です。しかし、具体的なルートや途中駅などは一切未定です。 実際に建設する場合、小倉駅で山陽新幹線からどう分岐するかが問題になります。市街地で分岐する場合は用地買収が困難なため、かつては北九州トンネルの博多方坑口付近で分岐することが想定されていたようです。 Googleマップを見ると、坑口付近には左右に分岐できるだけのスペースが確保されているようにもみえます。   実際に建設する場合の分岐位置がどこになるかは全く未定ですが、仮に北九州トンネル博多口坑口で分岐した場合、東九州新幹線は小倉から直方市、田川市付近を経て中津市に至るルートを採るとみられ、行橋市を中心とする京築エリアには駅ができないでしょう。 小倉駅東側で分岐する案もあり、その場合は京築エリアを経由でき、博多方面との直通運転もしやすいです。一方で、新大阪方面への直通運転はしにくくなり、北九州市の市街地に路線を建設する必要が生じます。 2016年報告書の概要 2016年に東九州新幹線鉄道建設促進期成会が公表した「東九州新幹線調査報告書」(野村総研調査)によりますと、完成した場合、小倉~大分間110kmが31分、大分~宮崎間170kmが48分、宮崎~鹿児島間100kmが29分で結ばれるとしています。小倉~鹿児島中央は108分です。 需要予測は、人口予測をすう勢通りとした場合、2060年の1日あたりで北九州~大分間が21,020人、大分~宮崎間が2,710人、宮崎~鹿児島間が9,950人です。全区間平均が9,950人と予測しています。 整備費用の総額は2兆6730億円と推計しています。福岡県内が3,050億円、大分県内が9,000億円、宮崎県内が1兆430億円、鹿児島県内が4,210億円です。費用便益比は、2060年から30年で0.88、50年で1.07です。 久大本線ルートの検討 2023年11月に大分県東九州新幹線整備推進期成会が公表した「東九州新幹線調査報告書」では、博多~大分間について、日豊本線ルートのほか、久大本線ルートについても検討しています。 日豊本線ルートは、博多~小倉間で山陽新幹線と共用し、小倉~大分間に新線を建設します。新線の距離は全長110kmです。久大本線ルートは、博多~新鳥栖間で九州新幹線と共用し、新鳥栖~大分間に新線を建設します。新線の距離は全長108kmです。いずれも途中駅は2駅と想定していますが、具体的な駅位置は示されていません。 想定される所要時間は、日豊本線ルート(小倉~大分)が31分、久大本線ルート(新鳥栖~大分)が32分です。博多~大分間は、日豊本線ルートが47分、久大本線ルートが46分とほぼ同じです。 新大阪~大分間は日豊本線ルートが156分、久大本線ルートが187分となり、久大本線ルートが30分以上長くなります。   概算事業費は、日豊本線ルートが8,195億円。久大本線ルートは事業費8,339億円と試算しています。いずれもキロ当たり80億円台と見積もっていますが、これは東北新幹線(八戸~新青森)や北陸新幹線(長野~金沢)などの数値を基にしているからで、直近の建設費の高騰は織り込んでいません。 1日の想定利用者数は、日豊本線ルートが23,972人、久大本線ルートが22,163人です。 費用便益比(B/C)については、社会的割引率4%の場合、日豊本線ルートが0.73%、久大本線ルートが0.71%となり、ともに基準となる「1」を上回りませんでした。一方、社会的割引率を2%にした場合、日豊本線ルートが1.27、久大本線ルートが1.23となり、「1」を上回ります。 九州横断ルートの検討 宮崎県は2024年2月に宮崎への新幹線ルートとして、これまでの「日豊線ルート」(小倉~大分~宮崎~鹿児島中央)のほか、「新八代ルート」(新八代~宮崎)と「鹿児島中央先行ルート」(鹿児島中央~宮崎)の調査を開始する方針を明らかにしました。 日豊線ルートで大分から建設するよりも、新八代や鹿児島中央からの路線を建設した方が早いのではないか、ということです。この結果については、2024年11月ごろに明らかにされる予定です。 東九州新幹線の沿革 1970年の全国新幹線整備法制定後、1973年11月15日に「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」に東九州新幹線が盛り込まれました。いわゆる「基本計画路線」の一つです。 その後、建設に向けた具体的な動きはほとんどありませんでしたが、2010年代に入り、大分県と宮崎県が中心となり、整備新幹線への格上げを求める声が上がりはじめます。前述したとおり、東九州新幹線鉄道建設促進期成会が、2016年3月23日に東九州新幹線に関する調査結果を公表しました。 2023年には、大分県が日豊本線ルートのほかに久大本線ルートについても調査し、上記の「東九州新幹線調査報告書」をまとめています。 ただ、いずれも調査段階で、建設に向けた具体的な進展はまだありません。   東九州新幹線のデータ 東九州新幹線データ 営業構想事業者 JR九州 整備構想事業者 鉄道・運輸機構 路線名 東九州新幹線 区間・駅 福岡市~大分市~宮崎市~鹿児島市 距離 約390km 想定利用者数 9,950人/日 総事業費 2兆6730億円 費用便益比 0.88-1.07 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 第一種鉄道事業 種類 新幹線鉄道 軌間 1,435mm 電化方式 交流25,000V 単線・複線 未定 開業予定時期 未定 備考 全国新幹線整備法 ※データは主に『東九州新幹線調査報告書』(2016)より 東九州新幹線の今後の見通し 東九州新幹線のうち、利用者が多いと予測されているのは博多~大分間です。一方、大分~宮崎間の在来線は、現状、ローカル線並みの利用者数しかいない区間もあります。このため、東九州新幹線を建設する場合、まずは博多~大分間が検討されるでしょう。 博多~大分間は、日豊本線ルート(小倉~大分)と久大本線ルート(新鳥栖~大分)の2ルートが検討されています。どちらになるかは決まっていません。 宮崎市へ新幹線を延ばす場合は鹿児島中央や新八代から建設したほうが費用もかかりませんし、人口の多い区間を通せます。 こうした事情から、今後、東九州新幹線の建設が具体化する場合でも、博多~鹿児島を一括で建設するという動きにはなりにくく、博多~大分と、宮崎~鹿児島中央から着手されるでしょう。宮崎~鹿児島中央のかわりに、新八代~宮崎というルートになる可能性もあります。 つまり、東九州新幹線は、実質的に「大分新幹線」と「宮崎新幹線」に分かれて検討される形になりつつあります。 いずれにせよ、まずは、在来線特急の混雑区間である小倉~大分の着手にこぎ着けられるかが、近い将来のポイントといえそうです。
九州横断新幹線

九州横断新幹線

九州横断新幹線は、大分市から熊本市に至る新幹線計画です。全国新幹線鉄道整備法における基本計画路線と位置づけられています。 詳細なルートは未決定で、着工の予定はいまのところなく、開業予定時期も未定です。 九州横断新幹線の概要 九州横断新幹線は、大分市から熊本市に至る新幹線の基本計画路線です。総延長は約120kmです。 おおまかなルートは、大分から熊本まで豊肥本線に沿う形です。仮に建設されるとすれば、竹田市、阿蘇市、大津町などを経て熊本市に至ると予想されます。熊本空港を経由するかもしれません。しかし、具体的なルートや途中駅などは一切未定です。 大分駅では、東九州新幹線や四国新幹線と接続します。これらの新幹線がすべて実現すれば、大阪から徳島、松山などを経て大分、熊本に至る国土軸となります。つまり、九州横断新幹線は、四国新幹線の延伸部分という性格も持ち合わせた路線です。 現時点では、整備新幹線への格上げを目指す調査などは行われていません。 九州横断新幹線の沿革 1970年の全国新幹線整備法制定後、1973年11月15日に「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」に九州横断新幹線が盛り込まれました。いわゆる「基本計画路線」の一つです。 しかし、建設に向けた具体的な動きはほとんどありません。 2010年代に入り、大分県では東九州新幹線の整備新幹線への格上げや、豊予海峡を渡る四国新幹線の建設を求める運動が始まりましたが、九州横断新幹線については調査すら行われていません。竹田市や阿蘇市といった地元自治体による建設運動もほとんどありません。   九州横断新幹線のデータ 九州横断新幹線データ 営業構想事業者 JR九州 整備構想事業者 鉄道・運輸機構 路線名 九州横断新幹線 区間・駅 大分市~熊本市 距離 約120km 想定利用者数 --日 総事業費 -- 費用便益比 -- 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 第一種鉄道事業 種類 新幹線鉄道 軌間 1,435mm 電化方式 交流25,000V 単線・複線 未定 開業予定時期 未定 備考 全国新幹線整備法 九州横断新幹線の今後の見通し 新幹線の基本計画路線のなかでも、もっとも建設に向けた機運の盛り上がっていない路線のひとつが九州横断新幹線です。この新幹線は、東九州新幹線が整備され、四国新幹線が大分まで全通して、初めて意味を為す路線です。 言い換えれば、東九州新幹線や四国新幹線より優先順位が劣るのは明らかなため、それらの整備予定すら立っていない現状では、九州横断新幹線の建設機運が盛り上がらないのは当然といえます。 残念ですが、当面、実現不可能な新幹線計画とみなさざるをえません。
秋田新幹線新仙岩トンネル

秋田新幹線新仙岩トンネル

秋田新幹線は、盛岡駅から大曲駅を経由して秋田駅を結ぶミニ新幹線です。厳密な分類では在来線で、田沢湖線と奥羽線の一部区間の愛称です。 秋田新幹線では、岩手・秋田県境の仙岩峠に新トンネルを掘削して、高速化を図る構想があります。 秋田新幹線新仙岩トンネルの概要 秋田新幹線は、盛岡~秋田127kmを結ぶミニ新幹線です。在来線の田沢湖線と奥羽線大曲~秋田間を標準軌にして東北新幹線と直通運転可能にした路線です。 秋田新幹線の最高速度は130km/hですが、仙岩トンネルを含む赤渕~田沢湖間は急曲線が多く、60-80km/h程度に抑えられています。さらに、この区間は雪、雨、強風などの自然災害の影響を受けやすく、遅延、運休が生じやすくなっています。 また、赤渕~田沢湖間には、築50年の橋梁が集中しており、架け替えの必要にも迫られています。しかし、この区間は急曲線が連続するため、架替時に仮線を作るなどの配線変更が困難です。したがって更新施工時には秋田新幹線の長期運休や、莫大な工事費、工期が必要になると見込まれています。 こうした課題を一気に解決するのが、赤渕~田沢湖間に長大トンネルを掘削する構想です。仙岩峠を貫く新トンネルのため、「新仙岩トンネル」と呼ばれています。   2009年には、JR東日本東北工事事務所が、「秋田新幹線の線区改善に関する一考察」という論文を土木学会に発表しました。それによりますと、新仙岩トンネルルートとして3案が比較され、このうち最長の12.4kmのトンネルとなる案を選定しています。 同案では、単線トンネルのほぼ中央に交換設備を設置します。 トンネル開通により、東京~秋田間の上下線の平均所要時間を7分短縮できるとしています。約7分の短縮により、東京~秋田間の鉄道シェアが約2.4%増加すると試算。年間9.4億円の増収効果を見込みます。   この案は「考察」に過ぎませんが、2017年には、JR東日本は赤渕~田沢湖間の18.1kmで約15kmの長大トンネルを含む新ルートを建設する計画を秋田県に伝達。2021年7月には、JR東日本と秋田県が覚書を交わし、実現に向け動き出しました。 新ルートでは、トンネルを用いた直線化により、最高速度を160km/hに引き上げます。覚書によると、概算事業費は700億円、工期は工事着手より11年程度です。完成すれば、東京~秋田間が7分短縮され3時間30分程度になる見通しです。詳細なルートなどは公表されていません。 秋田新幹線新仙岩トンネルの沿革 秋田新幹線の構想は、1984年に行われた田沢湖線高速化の調査にはじまります。その後、秋田県の建設運動がみのり、1992年3月に着工、1997年3月に開業しました。 秋田新幹線開業に際し、奥羽線・田沢湖線の高速化が図られ、最高速度130km/hでの運転が可能になりました。しかし、この速度で走れるのは秋田新幹線全体の約23%にすぎません。 なかでもネックとなっていたのが赤渕~田沢湖間の仙岩トンネルを含む区間でした。この区間は、冬季にたびたび輸送障害も生じており、2005年の豪雪では列車が運行中で立ち往生し、乗客が車内に缶詰め状態になるという事件も生じています。 こうした状況を背景に、2009年にJR東日本の東北工事事務所から、上述の「秋田新幹線の線区改善に関する一考察」という論文が土木学会東北支部で発表されました。仙岩峠に新しいトンネル掘るという構想です。 これはたんなる論文にすぎませんでしたが、その後、JR東日本は仙岩峠区間の新ルートに関し本格的な調査を開始します。2015年5月には、ボーリングなどの現地調査に着手。2017年11月に、秋田県に結果を説明しました。その内容は上述したとおりです。   2018年7月18日には、岩手、秋田両県の沿線7市町などで構成する「防災対策トンネル整備促進期成同盟会」が結成。老松博行・大仙市長が会長に就きました。 2019年1月の年頭記者会見で、佐竹敬久秋田県知事は東京~秋田間の新幹線での所要時間を3時間まで短縮できるとの考えを、JR側から示されたと明かしました。これは東北新幹線の360km/h運転を前提に、新トンネルを建設した場合の試算です。大曲駅のスイッチバック解消も踏まえた数字のようで、同知事はその解消にも意欲を見せました。 2021年7月26日には、秋田県とJR東日本が、「秋田新幹線新仙岩トンネル整備計画に関する覚書」を締結。相互に連携、協力しながら整備計画を進めることが決まりました。このとき、JR東日本は総事業費が約700億円、工期11年であることを正式に公表しています。 JR東日本は事業費の6割を負担する意向を示しています。残りの事業費は、国や地元自治体が負担することになりますが、その割合は決まっていません。 その後、秋田県とJR東日本が折半して調査を開始。調査は2023年度までおこなわれました。 2024年3月には、JR東日本と秋田県などが、「秋田新幹線と沿線地域の持続的発展プロジェクト」に関する連携協定を締結。新仙岩トンネルの実現に向け連携した取り組みをおこなうことが盛り込まれました。   秋田新幹線新仙岩トンネルのデータ 秋田新幹線新仙岩トンネルデータ 営業構想事業者 JR東日本 整備構想事業者 未定 路線名 秋田新幹線 区間・駅 赤渕~田沢湖 距離 約15km(現在は約18.1km) 想定利用者数 --日 総事業費 約700億円 費用便益比 -- 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 第一種鉄道事業 種類 普通鉄道 軌間 1,435mm 電化方式 交流20,000V 単線・複線 単線 開業予定時期 未定 備考 -- 秋田新幹線新仙岩トンネルの今後の見通し 秋田新幹線新仙岩トンネルの建設を推進しているのは、事業者であるJR東日本です。仙岩峠区間は自然災害の影響を受けやすく、遅延が生じれば東北新幹線までダイヤ乱れが波及します。 また、橋梁を含む鉄道施設の老朽化は進んでおり、近い将来の設備更新は避けられません。現橋梁の架け替えには約120億円の費用がかかると見積もられていて、JRとしては、山間部の橋梁を架け替えるくらいなら、トンネルを掘って保守費用を減らした方がいい、という判断になっているのでしょう。 もちろん、秋田県もトンネル建設推進に前向きです。ただし、新トンネル区間となる赤渕~田沢湖間は、岩手・秋田両県の県境にあり、新トンネルの建設には岩手県の協力も不可欠です。 その岩手県は費用負担を警戒して、現時点では積極的な姿勢を見せていません。岩手県も後ろ向きではなさそうですが、いまのところ建設運動はJR東日本が中心で、秋田県が後押ししている印象です。 秋田県とJR東日本が前向きで、岩手県も反対しない計画ですので、新トンネルはいずれできるでしょう。ただ、700億円という事業費は巨額で、昨今のインフレを踏まえるともっと高騰する可能性もあります。JR東日本が6割の負担をしたとしても、残りの4割を国や県がどう分担するのかの議論は残ります。 国土交通省の補助金の枠組みとしては「幹線鉄道等活性化事業費補助」があり、これを活用すれば、国と地方自治体がそれぞれ2割ずつを負担することになります。ただ、実現には施設を整備・保有する第三セクターの設立が必要など、枠組み作りから始めなければなりません。岩手県が、どの程度の負担に応じるかも焦点になります。 こうした枠組みを整えたうえで、事業化から完成まで10年以上かかります。そのため、開業まで相当の時間がかかるのは間違いなく、早くても2040年ごろになりそうです。 なお、秋田新幹線の線形改良については、大曲駅のスイッチバックを解消する構想もあります。これについては、秋田新幹線計画時にも検討されました。しかし、短絡線を作る場合、大曲駅の移転を伴うため、地元の反対が強く、実現に至りませんでした。 いまも構想は残りますが、具体的な計画はありません。ただ、東京~秋田間の所要時間を3時間にするためには、大曲の改良は不可欠です。それもあってか、2019年に佐竹敬久・秋田県知事が前向きな姿勢を見せており、今後進展があるかもしれません。
山形新幹線米沢トンネル

山形新幹線米沢トンネル

山形新幹線は、福島駅から山形駅を経由して新庄駅を結ぶミニ新幹線です。厳密な分類では在来線で、奥羽線の一部区間の愛称です。 福島・山形県境の板谷峠に新トンネルを掘削して、高速化を図る構想があります。それが「米沢トンネル」です。 山形新幹線米沢トンネルの概要 山形新幹線は、福島~新庄間148kmを結ぶミニ新幹線です。在来線の奥羽線を標準軌にして東北新幹線と直通運転可能にした路線です。 山形新幹線の最高速度は130km/hですが、板谷峠を越える福島~米沢間は急勾配、急曲線が多く、最高速度が55km/h以下に抑えられている区間もあります。さらに、この区間は雪、雨、強風などの自然災害の影響を受けやすく、遅延、運休が生じやすくなっています。 こうした問題を解決するために、福島~米沢間に長大トンネルを掘る計画があります。2017年11月にJR東日本が山形県に伝えた概要によりますと、トンネル延長は23.1km、新線の総延長は庭坂~関根間24.9kmとなります。 事業化する場合、設計に5年、工期19年、事業費が2,300億円と見積られています。実現すれば、東京~山形間の所要時間は10分程度短縮される見込みです。 このトンネルは、庭坂駅の西から、関根駅の東までを一気に貫くものです。23.1kmのトンネルが実現すれば、在来線トンネルとしてはぶっちぎりで日本最長になります。新幹線用のトンネルとしても、日本有数の長大トンネルになります。 山形新幹線米沢トンネルの沿革 山形新幹線の構想は、1981年に設置された「山形県総合的交通体系整備問題調査会」で調査されたのが最初です。同調査会が、1983年に「県都(山形)新幹線の導入構想」として提言しました。その後、1988年8月に着工、1992年7月に開業しました。1999年12月に新庄までの延伸が実現しています。 しかし、開業後も、板谷峠を挟む福島~米沢間が輸送のネックとなっており、大雨や豪雪により輸送障害が頻繁に生じてきました。そのため、この区間に長大トンネルを掘り、輸送の安定と高速化を図る声が地元を中心に生まれました。 山形新幹線機能強化検討委員会が設けられ、2002年度には、知事への政策提言として、約21kmのトンネルを掘ることで、16分の時間短縮が可能という試算も出されています。しかし、事業費が840億円とも見積もられ、実現しませんでした。 その後、山形県の要請を受け、2015年に、JR東日本が山形新幹線の運休や遅れにつながる大雨、豪雪対策について、抜本的な対策について調査することを表明。2017年11月29日に、JR東日本が山形県に調査結果の概要を説明しました。これが板谷峠の新トンネル構想で、新ルートの総延長24.9km、トンネル延長は23.1kmという計画が明らかになりました。総事業費1,500億円、工期は15年と試算されています。 山形県とJR東日本は、2021年度から2022年度にかけて共同で地権者調査などを実施。2022年10月にはJR東日本と山形県が「山形新幹線米沢トンネル(仮称)整備計画の推進に関する覚書」と「山形県内の鉄道沿線の活性化等に関する包括連携協定」を締結。2022年度から2024年度にかけて両者が共同で地質調査を実施してきました。 調査結果は2025年3月11日に公表され、地質については「大幅な計画変更の必要性は認められなかった」としながらも「物価高騰や働き方改革の影響により事業費が増加し工期も延伸せざるを得ない」として、事業費の800億円上乗せと工期の4年間の延伸が明らかになりました。 2024年度予算では、山形県が「山形新幹線新トンネル整備基金」を創設し、5億円の積立てを開始しています。   山形新幹線米沢トンネルのデータ 山形新幹線米沢トンネルデータ 営業構想事業者 JR東日本 整備構想事業者 未定 路線名 山形新幹線 区間・駅 福島~米沢(在来線は庭坂~関根) 距離 約24.9km 想定利用者数 --日 総事業費 約2,300億円 費用便益比 -- 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 第一種鉄道事業 種類 普通鉄道 軌間 1,435mm 電化方式 交流20,000V 単線・複線 未定 開業予定時期 未定 備考 -- 山形新幹線米沢トンネルの今後の見通し 山形新幹線の米沢トンネルは、2017年までの調査で、総事業費1,500億円、さらにフル規格新幹線が通れる断面にする場合は1,620億円、工期15年と試算されました。その後、2025年2月に、物価高騰などを理由に、2,300億円に上振れることが明らかになっています。フル規格新幹線断面にする場合は、さらに上乗せされますが、金額は明確でありません。工期は19年に伸びました。 山形新幹線の当初事業費(福島~山形間)が630億円にすぎなかったことを考えると、新トンネルはいかにも巨額です。冬季にも輸送が安定するとはいえ、2,000億円以上を投じて10分程度の時短にすぎないならば、費用対効果は厳しいといえます。 この計画は、奥羽新幹線ともリンクしています。フル規格で建設すれば、新トンネルはフル規格の奥羽新幹線の一部区間として活用できます。そのため、事実上の奥羽新幹線着工という側面も併せ持ちます。そうした意味を持つ区間なためか、吉村美栄子知事山形県知事は、フル規格での建設に前向きです。 同区間は自然災害の影響を受けやすく、遅延が生じれば東北新幹線までダイヤ乱れが波及します。それが解消できるため、JR東日本も新トンネルの建設には前向きです。しかし、トンネル建設による時短効果で得られるJRの受益が小さいため、費用負担に関しては、最小限に留めたいところでしょう。 こうしたことから、米沢トンネルの事業化には、費用負担を含む事業スキームの確定が大きなポイントになります。地質調査など事業化に向けた調査は2024年度に完了し、想定ルートで大きな問題がないことが明らかになりました。今後は、事業スキームの協議が国、県、JR東日本の間でおこなわれます。 山形県では、「部分的・段階的に高速化や安定性向上に資する整備を行うことで高速鉄道の整備を図る手法の検討について、政府に働きかけていく」としており、今後は、政府に新たな補助金の創設などを求めていくようです。 JR東日本、山形県とも事業化に向けて前向きなため、米沢トンネルはいずれ実現するとみられます。ただ、事業費が大きく、工期も19年程度と長く、開業時期がいつになるかは見通せません。早くても2050年ごろになることでしょう。 なお、米沢トンネルが完成した場合の既存線の扱いについては明確に決まったことはありません。ただ、新線が短絡線という性格を持つ以上、トンネル開通時には既存線は廃止になる可能性が高く、その場合、板谷、峠、大沢の各駅も廃止になる可能性が高いでしょう。
日ハムボールパーク新駅

北海道・東北地方の新駅

北海道・東北地方の新駅設置計画をまとめました。ある程度設置が具体化してきた新駅を中心に、位置や開業予定時期をご紹介します。 JR千歳線「日ハムボールパーク新駅」 千歳線・上野幌-北広島間(北海道北広島市)。プロ野球球団の北海道日本ハムファイターズが、新本拠地としているきたひろしま総合運動公園に隣接する新駅です。正式駅名は未定です。2023年を予定する球場開設にあわせた開業をめざすと報じられましたが、当面は北広島駅の拡張で対応し、新駅設置は延期となりました。 2023年2月には、JR北海道が資材高騰などの影響で建設費用が当初の計画より4割ほど増加した最大125億円となる建設計画を北広島市に提示。北広島市は合意できず、設計や配線の変更も含め工費の圧縮をJRに求めました。 これを受け、新駅位置を少しずらして建設する案をJR北海道が提示。建設費は約3割圧縮した85~90億円となりました。北広島市がこれを受け入れ、2023年10月26日に建設で合意。開業予定は2028年夏です。
村岡新駅

関東地方の新駅

関東地方の新駅設置計画をまとめました。ある程度設置が具体化してきた新駅を中心に、位置や開業予定時期をご紹介します。 JR東海道線「村岡新駅」 JR東海道線・大船-藤沢間(藤沢市)。1985年に廃止された湘南貨物駅跡地の新駅計画です。住所は藤沢市村岡東で、TSUTAYA村岡店付近です。 整備費用は155億円です。請願駅なので、基本的には神奈川県、藤沢市、鎌倉市が費用負担をします。2018年12月27日に県と両市が費用負担に合意。県が30%、2市がそれぞれ27.5%ずつ、JR東日本が15%を負担します。2021年2月8日に、駅設置が正式決定しました。 「村岡新駅」は仮称で、正式駅名は未定。2019年度に新駅概略設計に着手し、2020年1月に事業実施の決定を最終判断しました。2024年5月20日に「工事等の施行に関する協定書」を締結。同年秋に着工です。JRは施工期間を約8年としており、開業は2032年ごろを想定しています。 東葉高速線「海老川新駅」 東葉高速鉄道東海神~飯山満間。海老川上流地区のまちづくりの一環として、メディカルタウンに新駅を設置。海老川を渡った東側付近で、「海老川新駅(仮称)」と呼ばれています。 ...
上所駅

中部地方の新駅

中部地方の新駅設置計画をまとめました。ある程度設置が具体化してきた新駅を中心に、位置や開業予定時期をご紹介します。 JR越後線「上所駅」 越後線新潟~白山間。上所(かみところ)地区の和合線西跨線橋西側付近に新駅を設けます。対向式2面2線です。既存の地下道を通路とし、ホーム階へのエレベーターを整備。 駅前広場を除いた事業費は約27億円で、請願駅のため全額を新潟市が負担します。 2022年2月7日に新潟市とJR東日本が「越後線白山・新潟間(仮称)上所新駅設置等に関する基本協定」を締結。2025年春の開業を目指します。 駅名は市の意向を踏まえ、JRが決めるという取り決めで、2023年6月1日に「上所駅」と正式に決まりました。1日あたり2,300人(乗降客数4,600人)の利用を想定。 ハピライン福井「しきぶ駅」 武生~王子保間のほぼ中間に設置。紫式部ゆかりの市紫式部公園から、東に約800メートルに位置します。2024年2月8日に、駅名が「しきぶ駅」に決定。2025年春開業予定。 ハピライン福井「福井~森田間新駅」 北陸新幹線開業後の並行在来線に設置予定の新駅。福井~森田間に設置。2022年12月22日に、近町踏切地点が最適という旨の報告書が公表されました。高木町付近で、福井駅の北3.7kmくらいの場所です。詳細は未定です。 名古屋市地下鉄東山線「柳橋新駅」 東山線名古屋~伏見間。構想自体は古くからあり、構造的にも建設できるようになっています。河村市長が2021年の市長選で、改めて建設を公約。調査が進められています。2024年度までに結論を出す予定で調査を実施し、2025年2月に、凍結(事実上の断念)という結論になりました。
手柄山公園新駅

近畿地方の新駅

近畿地方の新駅設置計画をまとめました。ある程度設置が具体化してきた新駅を中心に、位置や開業予定時期をご紹介します。 JR大和路線「奈良・郡山間新駅」 JR大和路線(関西本線)奈良~郡山間(奈良市)。同区間を高架化し、途中の八条地区(大安寺近く)に新駅を作ります。周辺では奈良市の副都心と位置づける「八条地区プロジェクト」が計画され、新駅はその玄関口となります。 場所は済生会奈良病院の近くです。開業予定は2028年度です。正式駅名は未定。 JR山陽本線「姫路・英賀保間新駅」 山陽本線姫路-英賀保間(姫路市)。同区間にはスポーツ・文化施設が集まる手柄山中央公園があり、市が公園の再整備計画を進めるなかで、設置をJRに働き掛けてきました。同公園の再整備計画案では、ひめじ手柄山遊園がある北西部エリアを2025年度までに整備する目標を掲げており、駅も計画に合わせて開業できるよう、JR西日本に要望しています。 これを受け、JR西日本は2021年1月14日に、駅設置を正式表明。姫路駅から1.8km、英賀保駅から2.8kmの兵庫県姫路市西延末に、相対式ホーム2面2線の駅を設置すると明らかにしました。ホームは12両対応で、旅客上家は6両対応です。橋上駅舎で、エレベーター基(各ホーム1基)を備えます。 開業予定は2026年春。正式駅名は未定ですが、「手柄山公園」などの名称が有力でしょう。   大阪メトロ中央線「森之宮新駅」 JRメトロ中央線の森之宮検車場内に新駅を設置します。あわせて、森ノ宮~森之宮検車場間の側線を営業線として旅客化します。 場所は森之宮検車場の北端付近です。大阪城東部地区の再開発で、大阪公立大学のキャンパスなどが近くに設置されます。 新駅の開業予定は2028年春です。正式駅名は未定。「大阪公立大学前」などの名称が有力でしょう。   JR京都線「島本・高槻間新駅」 JR京都線(東海道本線)島本-高槻間(高槻市)。島本-高槻駅間は約5.3km離れており、京都~大阪間では駅間距離が最も長く、両駅の中間点付近、萩之庄1丁目周辺に新駅を検討しています。イオン高槻店の北200m付近です。 2019年4月以降、高槻市とJRによる勉強会を開催し、新駅設置の可能性を検討しています。市は、道路整備や公共施設の配置などまちづくりについても調査を進めています。開業予定、駅名などは未定です。   阪急神戸線「武庫川新駅」 阪急神戸線武庫之荘-西宮北口間。武庫之荘駅から約1.6km、西宮北口駅から約1.7kmの、武庫川橋梁上に新駅を設置する計画です。武庫川橋梁は2004年に架け替えられましたが、複線の旧橋梁の両側に単線橋梁を配置したため、上下線の間に広い空間があります。新駅はこの空間を活用し、2面2線のホームを設置します。 改札口は武庫川の両岸に設けます。どちらの改札も、歩行者と自転車によるアクセスを基本としていて、駅前広場や周辺道路の整備は当面おこないません。 2021年9月に、兵庫県、尼崎市、西宮市、阪急電鉄の4者で構成する「武庫川周辺阪急新駅に関する検討会」が、事業の具体化に向けて連携した取組みを進めることで合意しました。 2022年11月に、4者が基本合意書に署名し、設置が事実上決まりました。開業目標は2032年(2031年度末)です。整備費は約86億円で、2026年度の着工します。
琴電新駅

中国・四国地方の新駅

中国・四国地方の新駅設置計画をまとめました。ある程度設置が具体化してきた新駅を中心に、位置や開業予定時期をご紹介します。 高松琴平電鉄琴平線「太田~仏生山駅間新駅」 高松琴平電鉄(ことでん)琴平線の太田~仏生山間に予定されている新駅です。太田駅の南約450mです。東西に貫く県道太田上町志度線(整備中)との交点に作られます。 太田~仏生山間では複線化も予定されており、2026年度完成の予定。複線化とあわせて新駅が同時期にできる見込みです。

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