kamakura
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東京メトロ半蔵門線松戸延伸
東京メトロ半蔵門線は渋谷~押上間を結ぶ地下鉄ですが、これを松戸方面まで延伸する計画があります。半蔵門線は東京11号線と表記されるので、「東京11号線延伸」とも呼ばれます。
東京11号線は、かつて深川扇橋(清澄白河付近)止まりの計画でしたが、1985年の運輸政策審議会答申第7号で、計画区間が錦糸町~押上~松戸へ延長されました。これにより、半蔵門線松戸延伸計画が国のお墨付きを得た形となりました。
答申に従って、半蔵門線は2003年に押上まで開業しています。しかし、押上~松戸間について着工への具体的な動きはありません。それでも2016年国土交通省交通政策審議会答申198号には、押上~四ツ木~松戸間が盛り込まれ、計画自体は生き残っています。
東京メトロ半蔵門線松戸延伸の概要
東京メトロ半蔵門線(東京11号線)は、渋谷~押上間を結ぶ地下鉄です。これを四ツ木を経て松戸まで延伸しようとうのが、半蔵門線の松戸延伸計画です。
並行して東京メトロ有楽町線(東京8号線)の亀有方面への延伸構想もあります。このふたつの地下鉄の延伸構想について、沿線となる江東区、墨田区、葛飾区、松戸市などでは、「地下鉄8・11号線促進連絡協議会」を結成して建設を促しています。
それらに掲載された地図を見ると、半蔵門線延伸は押上~四ツ木~金町~松戸という経路で、金町~松戸間はJR常磐線に沿う形となっています。住吉~押上~四ツ木間は8号線(有楽町線)と11号線(半蔵門線)が線路を共用し、四ツ木で8号線が亀有方面、11号線が松戸方面へと分岐する構想です。
ただし、東京メトロは自力で建設する意思を示しておらず、現時点では正式決定した路線計画はありません。
東京メトロ半蔵門線松戸延伸の沿革
地下鉄半蔵門線(東京11号線)は、1978年8月1日に渋谷~青山一丁目間で開業しました。その後路線を延ばし、2003年3月19日に押上まで延伸開業。この時点で、東京メトロは、半蔵門線を「全線開業」と表現しています。
したがって、東京メトロとしては、半蔵門線は渋谷~押上間で完成という認識を持っていて、これを延伸する計画はありません。それでも、半蔵門線の松戸延伸が議論されるのは、運輸省・国土交通省の答申に記載されて続けているからです。
最初が1985年の運輸政策審議会答申第7号です。その次にあたる2000年の運輸政策審議会答申第18号では「東京11号線の松戸延伸」を「目標年次(2015年度)までに整備着手することが適当である路線」と位置づけました。また、「必要に応じ、松戸から千葉県北西部方面への延伸の可能性を検討する」とも記しています。
2004年に営団地下鉄が民営化され東京メトロになると、同社は副都心線を最後に新線建設を行わない方針を表明します。しかし、2015年7月10日、東京都は『広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫』を公表。そのなかで、半蔵門線松戸延伸を「整備について検討すべき路線」のひとつとして残しています。
これを受けた2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、半蔵門線松戸延伸について「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」と位置づけました。
同年7月に交通政策審議会が公表した『鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果』によれば、総事業費は3800億円。想定輸送密度は35,000人程度で、費用便益比は0.3、累積資金収支は黒字転換しないという結果になっています。
東京メトロ半蔵門線松戸延伸データ
東京メトロ半蔵門線松戸延伸データ
営業構想事業者
未定
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都営大江戸線大泉学園町延伸
都営地下鉄大江戸線は、都内を回る環状部と、都庁前~光が丘間の放射部で構成されます。このうち、放射部の終点光が丘駅から、大泉学園町や東所沢まで延伸する計画があります。これが大江戸線の延伸計画です。
大江戸線は東京12号線と表記されるので、「東京12号線延伸」とも呼ばれます。大泉学園町までの事業化に向けた準備が進められていますが、開業予定時期は未定です。
都営地下鉄大江戸線延伸の概要
都営地下鉄大江戸線(東京12号線)のうち、都庁前~光が丘間の放射部を、大泉学園町を経て東所沢まで延伸しようというのが、大江戸線の延伸計画です。
区間は大きく二つに分かれます。光が丘~大泉学園町間の練馬区内と、大泉学園町~東所沢間の埼玉方面です。このうち、練馬区内の光が丘~大泉学園町間の整備が先行しています。
光が丘~大泉学園町
光が丘~大泉学園町間4.0kmについては、すでに導入空間となる道路(都市計画道路補助230号線)の整備が進んでいます。この整備が完了すれば、地下鉄建設への障害はなくなります。
想定されている駅は、土支田駅(仮称)、大泉町駅(仮称)、大泉学園町駅(仮称)の3駅です。
土志田駅は、地蔵通りとの交点付近で、高松幼稚園西バス停前に駅前広場予定地が確保されています。
大泉町駅は、外環道との交点付近で、もみじやま公園の南側です。
終点の大泉学園町は、大泉学園通りとの交点付近で、ヤマダデンキの横に駅前広場予定地が確保されています。西武池袋線大泉学園駅から北2kmほど離れていますので、西武線とは接続しません。
2016年に交通政策審議会が公表した「鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果」によれば、光が丘~大泉学園町の想定輸送密度は49,200~50,300人/日。総事業費は900億円とされました。費用便益比は2.0~2.1で、累積資金収支は19年で黒字に転換します。
大泉学園町~光が丘
大泉学園町~東所沢間はまだ構想段階です。
2019年3月に公表された「都市高速鉄道12号線延伸に向けた基礎調査報告書」によりますと、基本ルートの距離は約8.6km。大泉学園町~東所沢の所要時間は約13分です。
想定されている駅は、新座中央、清瀬北部、東所沢の3駅です。
具体的な駅位置は、新座中央駅は新座市馬場付近を想定しています。清瀬北部駅は旭が丘団地付近です。
東所沢駅は、武蔵野線東所沢駅に隣接し、同線と接続する構想です。
基本ルートは地上区間が2.9km、地下区間が5.7kmの約8.6kmで、総事業費は1273 億円です。高架橋主体にした場合は1142 億円、全線地下にした場合は1464 億円です。
基本ルートのほかに、経由地の異なる南側経由ルートも想定されています。大泉学園町から東所沢までを直線的に結ぶルートで距離は約8.1kmと短く、総事業費は1121 億円に抑えられます。
ただし、南側経由ルートの場合、路線が西武池袋線側に寄りすぎて鉄道不便地域の解消につながらないため、報告書では否定的なニュアンスで扱われています。
2016年に交通政策審議会が公表した「鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果」によれば、大泉学園町~東所沢の想定輸送密度は28,200~28,800人/日。総事業費は1400億円とされました。費用便益比は0.8~0.9で、累積資金収支の黒字転換は見込めません。
東所沢までの事業性には難があるため、大泉学園町から新座市内まで一駅のみ延伸し、新座市内に車両基地を設ける案もあります。
いずれの区間も、実際に建設された場合、運営は大江戸線の既存開業区間である東京都交通局が担うとみられます。開業予定時期は未定です。
都営大江戸線延伸の沿革
2000年の運輸政策審議会答申第18号では、光が丘~大泉学園町間について「2015年までに整備着手することが適当である路線」とされました。また、大泉学園町~武蔵野線方面間については、「今後整備について検討すべき路線」として位置付けられました。
2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では、光が丘~大泉学園町~東所沢間の延伸が「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」として答申されています。
この答申を受け、東京都は2020年度「鉄道新線建設等準備基金」を創設。大江戸線延伸は対象6路線の一つに入りました。
2023年2月21日には、東京都の小池百合子都知事が都議会で、大江戸線の大泉学園延伸について検討会を設置することを表明。事業化に向けて、収支採算性などを調査することを明らかにしました。これにより、大泉学園町までの延伸は実現へ向け、一歩を踏み出しました。
一方、東所沢までの延伸に関しては、沿線自治体が2018年度に「都市高速鉄道12号線延伸に向けた基礎調査」をおこない、報告書を2019年3月に公表しました。
この調査は延伸に向けた課題を整理した段階で、概算整備費などは示したものの、費用便益比などには踏み込んでいません。
都営大江戸線延伸データ
都営大江戸線延伸データ
営業構想事業者
東京都交通局
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都心部・臨海地域地下鉄
都心部・臨海地域地下鉄は、東京の臨海部~銀座~東京駅を結ぶ地下鉄構想です。東京駅からつくばエクスプレスに乗り入れる形が想定されています。
2022年11月に東京都が事業計画を発表しました。開業予定時期は2040年ごろです。
都心部・臨海地域地下鉄の概要
都心部・臨海地域地下鉄(臨海地下鉄)は、東京臨海部と銀座・東京駅を結ぶ地下鉄計画です。2022年11月25日に東京都が事業計画を発表。2040年頃の完成を目指すことになりました。
東京駅(八重洲口)から有明・東京ビッグサイトまでの約6.5kmを結ぶ計画です。途中に新銀座、新築地、勝どき、晴海、豊洲市場の5駅を設けます(駅名はいずれも仮称)。
ルートは東京駅から銀座付近までが外堀通りで、みゆき通りから築地市場跡を経て、晴海通りの一本西側の道路を南下し、環状2号線に移って有明に至るようです。東京~有明の所要時間は約10分です。
臨海地下鉄の駅位置
中央区の『令和5年度地下鉄新線検討調査 報告書』によれば、東京駅は八重洲口の呉服橋交差点付近に設置し、八重洲地下街や半蔵門線三越前駅と接続します。
新銀座駅は銀座西2丁目交差点付近に設置し、丸ノ内線銀座駅や有楽町線銀座一丁目駅と接続します。
新築地駅は築地市場跡の再開発に対応する形で設置します。大江戸線築地市場駅とも接続します。大江戸線とは勝どき駅でも接続します。
豊洲市場と有明・東京ビッグサイト駅は江東区にあるので、中央区の報告書には記載がありません。
つくばエクスプレス、羽田空港アクセス線とも接続検討
つくばエクスプレスと、JR羽田空港アクセス線臨海部ルートとの接続も検討しています。つくばエクスプレスとは東京駅で接続します。つくばエクスプレスが秋葉原~東京間を建設し、そこに乗り入れます。
羽田空港アクセス線への接続については、臨海地下鉄の有明・東京ビッグサイト駅から、りんかい線に乗り入れる連絡線を作り、りんかい線経由でアクセス線に直通する形が検討されているようです。
整備主体は鉄道・運輸機構、営業主体は東京臨海高速鉄道を想定します。開業予定は未定ですが、東京都では2040年までに開業したいとしています。
総事業費と費用対効果
交通政策審議会が2021年7月にまとめた答申第371号『東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について』の参考資料によると、都心部・臨海地域地下鉄を新銀座~国際展示場間で作った場合、総事業費は2,600億円、輸送密度は4万6400人~4万7200人、費用便益比(B/C)は0.7、累積資金収支は36~38年で黒字化します。
まだ、つくばエクスプレスと直通し、秋葉原~東京~新銀座~国際展示場間で作った場合、総事業費は6,500億円、輸送密度は9万8900人~10万2100人、B/Cは1.5~1.6、累積資金収支は18~19年で黒字化します。
一方、2022年に都が発表した「事業計画案」によれば、東京~国際展示場間の総事業費は約4,200~5,100億円、B/Cは1以上、累積資金収支は30年以内に黒字になるとされました。地下高速鉄道整備事業費補助または都市鉄道利便増進事業費補助を活用する想定です。
都心部・臨海地域地下鉄の沿革
東京臨海地域への地下鉄導入に関して、最初に検討を開始したのは中央区です。東京オリンピックやその後の再開発計画により、都心・臨海部間の交通需要の増大が懸念されたことから、2014年度に地下鉄導入の検討調査を開始しました。2015年3月に『都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査』の報告書をまとめ、同年6月区議会に報告しています。
この報告書では、銀座駅付近(新銀座駅)と国際展示場駅付近(新国際展示場駅)の4.8kmを結ぶ計画で、晴海通りと環状2号の地下などを通る2ルートが検討されました。
「Aルート」が晴海通りと環状2号線の間の道路を通り、「Bルート」はおおむね晴海通り地下を通ります。 途中駅は、新築地駅、勝どき・晴海駅、新市場駅の3駅か、勝どきと晴海の両方に駅を設置する4駅の案でした。
この調査では、国際展示場から先、台場を経て中央防波堤を経由して羽田空港に至る構想案も示されています。将来的に中央防波堤が開発されることを考慮したものとみられます。
その後、東京都が2015年7月10日に発表した『広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫』で、臨海地域地下鉄構想が盛り込まれ、「整備について検討すべき路線」とされました。
2016年4月の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、常磐新線(つくばエクスプレス)東京駅延伸との一体整備が提案されました。これは、臨海地下鉄だけでは盲腸線となり、事業性に難があるためです。
2019年1月23日に公表された築地市場跡地の再開発素案でも臨海地下鉄の計画が記されています。
2019年4月5日には、小池百合子知事が記者会見で臨海地下鉄について、「都心部と臨海部とのアクセス強化に資する路線で、重要性については都しても認識している。臨海地域での開発動向なども勘案しながら、臨海地域全体の交通アクセスの充実に努めていきたい」などと述べました。「整備方針は固まったものでない」としながらも、「調整を進めつつ、前へということになろうかと思います」と、前向きな姿勢を示しています。
2021年3月には、『令和2年度地下鉄新線検討調査委託報告書』が公表されました。この報告書では、起点は新銀座ではなく新東京で、東京駅八重洲口に駅を建設する案となっています。さらに、秋葉原までのルート案も示されました。途中駅は、勝ちどきと晴海をあわせた「勝ちどき・晴海駅」を採用しています。新銀座~新国際展示場間の所要時間は7.5分、毎時15本の運転本数を想定しました。
需要予測では、ケース1(新銀座~新国際展示場)で1日15万2,300人、ケース2(秋葉原~新東京~新国際展示場)では37万1,400人と推計しました。ケース2の利用者数がかなり多いのは、つくばエクスプレス利用者の東京駅利用を含んでいるからとみられます。
事業費はケース1が2,690億円、ケース2が3,310億円とされました。累積資金収支の黒字化と費用便益比は、ケース1で16年1.3、ケース2で11年1.9とされました。
2021年7月には、交通政策審議会が答申第371号『東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について』を公表。都心部・臨海地域地下鉄に関しては、「常磐新線延伸(TX)との接続も含め、事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべき」とされました。
そして、2022年11月25日に、小池知事が定例会見で事業計画を正式発表。東京駅(八重洲口)~有明・東京ビッグサイトまでの計画を明らかにしました。「勝ちどき」と「晴海」駅は分離された案となり、概算事業費は4,200億円~5,100億円となっています。収支採算性は30年以内に黒字転換し、費用便益比は1を超えるとされましたが、その詳細は明らかにされていません。
2024年2月2日には、小池知事が定例会見で事業主体を発表。整備主体を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構とし、営業主体を東京臨海高速鉄道とする方向で合意したという内容です。今後、臨海地下鉄は、この3者で検討を進めることになります。
都心部・臨海地域地下鉄データ
都心部・臨海地域地下鉄データ
営業構想事業者
東京臨海高速鉄道
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都心直結線
都心直結線は、京成押上線押上駅から、新東京駅(丸の内)を経て、京浜急行泉岳寺駅までを結ぶ地下新線の計画です。京成押上線、京急本線と相互直通運転をおこないます。新東京駅以外の中間駅は設けず、都心から成田空港と羽田空港を直結する目的の路線です
都心直結線の概要
都心直結線は、成田空港と羽田空港の都心アクセスを改善するために構想された路線です。路線名は「都心と空港を直結する」という意味です。
計画では、押上駅から泉岳寺駅まで約11kmを大深度地下で結びます。途中駅は新東京駅(丸の内仲通り直下)のみです。
押上駅において京成電鉄と、泉岳寺駅において京浜急行電鉄と、それぞれ相互直通運転を行います。それにより、東京都心(丸の内)-成田空港を30分台、東京都心-羽田空港を20分台、成田空港-羽田空港を50分台で結ぶことを目標としています。
2009年には、国土交通省により『成田・羽田両空港間及び都心と両空港間の鉄道アクセス改善に係る調査結果概要』が示されました。それによりますと、新東京駅-空港第2ビル駅が約37分、新東京駅-羽田空港駅が約22分、空港第2ビル駅-羽田空港駅は約59分で結ぶとしています。
運行本数は日中毎時6本、ピーク時には毎時最大10本程度を想定しています。
2016年の答申198号『鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果』によれば、都心直結線の総事業費は4,400億円、輸送密度は123,800~126,300人/日、費用便益比は1.1、累積資金収支は16~17年程度と見積もられています。
都心直結線の沿革
都営浅草線分岐案
2000年1月の運輸政策審議会答申第18号で、東京1号線(浅草線)の東京駅接着と浅草橋駅付近の追い抜き線の整備が「目標年次(2015年度)までに整備着手することが適当な路線」として盛り込まれました。これが都心直結線の原型で、当初は浅草線を分岐して東京駅に引き込む計画でした。
同じ時期に行われた運輸省・国土交通省の都市鉄道調査では、成田方は日本橋駅から、羽田方は宝町駅と東銀座駅の中間からそれぞれ分岐して八重洲通り地下に向かうルートが検討されました。東京駅の位置として、八重洲地下街直下、大丸東京店直下、JR線ホーム直下、総武快速線・横須賀線ホーム直下の4ケースが検討されています。
しかし、最も建設費の安い八重洲地下街直下でも、40年以内の累積資金収支が黒字にはならないとの結果となりました。
2001年5月には、国土交通省が『首都圏の空港アクセス緊急改善対策』を公表。空港アクセスの抜本的な改善策として、成田B案ルート(成田スカイアクセス線)を整備し、都営浅草線の東京駅接着と追い抜き線の整備について、2年をメドに検討するとされました。これを受け、同年11月「都営浅草線東京駅接着等の事業化推進に関する検討委員会」が発足しています。
検討委員会は、2003年5月に『都営浅草線東京駅接着等の事業化推進に関する検討調査結果のとりまとめ』を発表。八重洲地区再開発と一体整備する案を有力としました。一方、浅草橋駅に追い抜き設備を設けることは難しく、蔵前駅を2面3線に改良することを検討するとしています。
都心直結線計画の誕生
2007年6月には、交通政策審議会航空分科会による答申『今後の空港及び航空保安施設の整備及び運営に関する方策について 〜戦略的新航空政策ビジョン〜』が公表され、羽田・成田両空港間の移動の円滑化が盛り込まれました。これにより、都心直結線は両空港間の直通列車が運行可能な案が検討されることになり、浅草線の東京駅引き込み案は事実上廃案となっています。
2008年11月に「成田・羽田両空港及び都心と両空港間との鉄道アクセス改善に係るワーキンググループ」を設置。2009年5月に、その検討結果として『成田・羽田両空港及び都心と両空港間の鉄道アクセス改善について』が公表されました。ここでは、押上駅~泉岳寺駅短絡線整備(新東京駅経由)が検討ルート案に選定されています。これがいわゆる「都心直結線」です。
このとき、新東京駅の位置については、丸の内側(丸ノ内線直下)と八重洲側(八重洲通り直下)が比較され、丸の内側の方が需要が大きいとされました。
2011年には『成田・羽田両空港間及び都心と両空港間の鉄道アクセス改善に係る調査結果概要』を公表。概算工事費を約3,500億円超とし、需要見通しは1日あたり約22万人としました。ラッシュ時の運行本数は泉岳寺駅~押上駅間で10本とし、都営浅草線経由の列車が24本から18本に減るとしました。
まとめると
経緯が長いので簡単にまとめると、都心直結線は、そもそも成田空港アクセスの改善を目指した路線として構想されました。
都営浅草線を日本橋や宝町付近から分岐して東京駅に引き込み、あわせて浅草線の浅草橋駅付近に待避線(追い抜き線)を設けて優等列車を走らせるという計画でした。成田空港アクセス線の建設計画とセットで立案され、東京駅から都営浅草線、成田空港アクセス線を経て成田空港に至る高速列車を走らせようという大構想でした。
しかし、都営浅草線の高速化には限界があり、八重洲口接着には巨費がかかると判断され、浅草線分岐案は行き詰まります。かわりに浮上したのが都心直結線で、羽田・成田両空港間を短時間で直結する鉄道が構想されたわけです。
2013年度から国土交通省による予算で当路線に関する調査費が計上され、2016年4月20日の交通政策審議会答申198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として、トップで盛り込まれました。
ただ、その後、都心直結線の建設に向けた動きはみられません。
都心直結線データ
都心直結線データ
営業構想事業者
未定
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つくばエクスプレス東京駅・土浦延伸
つくばエクスプレス(TX)は、現在、秋葉原駅が起点ですが、これを東京駅まで延伸する計画があります。さらに、臨海地下鉄へ乗り入れて、銀座から晴海を経て、有明・東京ビッグサイトまで直通運転する構想もあります。
2016年国土交通省交通政策審議会答申198号に「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として盛り込まれました。
また、終点つくばから土浦駅までの延伸計画もあります。いずれも開業予定時期は未定です。
つくばエクスプレス東京駅延伸の概要
つくばエクスプレスは計画段階では「常磐新線」と言われ、東京駅が起点とされました。しかし、東京駅まで乗り入れるとなると難工事でお金がかかりすぎるため、秋葉原駅を起点として建設され、現在に至っています。東京駅まで延伸する構想は今も残っています。
現在の計画では、つくばエクスプレス東京駅は、都心部・臨海地域地下鉄(東京駅~新銀座~有明・東京ビッグサイト、未開業)の東京駅と共用する構想です。実現すれば、つくばエクスプレスは、秋葉原から東京駅八重洲口まで延伸し、そこから臨海地下鉄に乗り入れて、銀座、晴海を経て臨海副都心の有明までつながることになります。
臨海地下鉄は事業計画が公表され、東京駅の位置は呉服橋付近が想定されていることが明らかになっています。ここに乗り入れるとすれば、つくばエクスプレスの東京駅も呉服橋付近となります。
ただし、いまのところ、つくばエクスプレスの東京駅延伸については、公表された事項はありません。駅位置やルートも未定です。したがって、つくばエクスプレスの東京駅延伸の事業化、着工時期などは見通せません。
2016年に交通政策審議会が公表した「鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果」によれば、東京~秋葉原間の想定輸送密度は61,600~65,100人/日。総事業費は1,400億円とされました。費用便益比は1.2で、累積資金収支は21~23年で黒字に転換します。
つくばエクスプレス土浦延伸の概要
つくばエクスプレスにはつくば~土浦間の延伸計画もあります。2023年3月に公表された調査結果によりますと、つくば~土浦間は直線距離で約8.4km。詳細なルートは検討されておらず、途中駅などの情報はありません。
開通すれば、土浦~東京間が約65分で結ばれます。1日あたり8,600人の利用を見込み、輸送密度は7,800人/日を想定します。概算事業費は1,400億円です。費用便益比は0.6で、採算性は年間3億円の赤字です。
東京8号線の直通構想
つくばエクスプレスの延伸ではありませんが、東京8号線という計画路線が、つくばエクスプレスに乗り入れる構想があります。八潮~越谷レイクタウン~野田市間に新線を建設し、八潮駅でつくばエクスプレスに接続します。
実現すれば、つくばエクスプレスの「野田支線」といった位置づけになります。詳細は「東京8号線」の項目をご覧ください。
つくばエクスプレス延伸の沿革
つくばエクスプレスの原型は「常磐新線」です。1985年7月の運輸政策審議会第7号答申では、「2000年までに整備すべき路線」として、東京駅を起点に北千住を経由して守谷町南部までが盛り込まれました。さらに将来は筑波研究学園都市までの路線延長を検討する、とされました。これが「常磐新線」です。
その後、1988年11月の常磐新線整備検討委員会「基本フレーム」取りまとめでは、秋葉原~筑波研究学園都市間を第1期工事とすることが決まりました。第2期線としていた守谷町~筑波研究学園都市間が第1期区間に格上げされた一方で、秋葉原~東京駅間は先送りとなっています。
1994年に秋葉原~筑波研究学園都市間を着工。同区間は2005年に開業しました。
東京駅延伸については、2000年1月の運輸政策審議会第18号答申で、「今後整備について検討すべき路線」の一つとして、東京~秋葉原間が盛り込まれました。2005年度から2006年度にかけて、『運輸政策審議会第18号答申の鉄道・運輸機構等によるフォローアップ調査』が行われ、東京駅の位置や需要調査などが実施されました。
このときの調査では、東京駅の位置は丸の内側仲通り地下、丸の内線東京駅と三田線大手町駅の中間を想定していました。
この調査では、秋葉原~東京駅間約2kmを大深度トンネルでつなぎ、建設期間約6年、概算事業費1,000億円と想定しました。東京駅は1面2線の島式ホームとされ、秋葉原~東京駅間に駅は設けられない計画でした。
しかし、この計画はまったく進みませんでした。巨額の建設費のほか、丸ノ内仲通り地下に駅を設けても、JR線との連絡が不便で利用者が伸び悩むと懸念されたことが影響したようです。
その後、東京都が2015年7月10日に発表した『広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫』では、つくばエクスプレス東京駅延伸は「整備について検討すべき路線」とされました。
これを受けて、2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、都心・臨海部地下鉄構想とつくばエクスプレス延伸との一体整備および直通運転が「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として盛り込まれました。
これにより、つくばエクスプレスの東京駅延伸は、臨海地下鉄構想との一体整備が検討されることになりました。臨海地下鉄は2022年に東京都が事業計画を発表。東京駅を八重洲口に置く方針を明らかにしました。ただし、つくばエクスプレスの東京駅延伸には大きな進展がみられません。
一方、茨城県内の延伸については、2022年度に茨城県が予算を計上して調査を開始。2023年に『TX県内延伸に関する提言書』が公表されました。調査では、筑波山、水戸、茨城空港、土浦の4方面が延伸先候補として挙げられ、このうち費用便益比や収支採算性で優位な土浦方面が選定されました。
つくばエクスプレス延伸データ
つくばエクスプレス延伸データ
営業構想事業者
首都圏新都市鉄道
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新金貨物線旅客化
新金貨物線(しんきんかもつせん)は、JR新小岩信号場とJR金町駅を結ぶ総武線の貨物支線の通称です。
近年、新金貨物線を経由する貨物列車は激減しており、1日数往復が走るのみ。そのため、この路線を旅客化して活用しようという構想があります。これが、新金貨物線の旅客化です。
新小岩駅~金町駅間の7.1kmに、普通鉄道もしくはライトレール(LRT)を走らせる計画です。
新金線旅客化の概要
新金貨物線の歴史は古く、大正15年に新小岩操車場とともに建設されました。以来、東京臨海部と千葉方面との貨物輸送を担う路線とされてきました。
しかし、武蔵野線、京葉線の開業後、ほとんどの貨物列車が南流山~西船橋~蘇我間を経由するようになったため、新金貨物線を経由する列車の本数は激減。2018年時点で、1日に定期貨物列車が4往復、臨時貨物列車が1往復、その他に回送列車が走るのみです。そのため、旅客列車を走らせる余裕は、ダイヤ上は十分にあります。
こうした状況で、地元葛飾区が旅客化への調査をすすめています。同区の2018年度「新金貨物線の旅客化検討資料」によりますと、旅客化が検討されている区間は、新小岩駅~金町駅の7.1km。現状は電化単線で、複線化用の空間が確保されています。旅客化の検討では単線のままで、途中駅に交換設備を設ける想定です。
旅客化の前提として、貨物列車の運行が存続すると考えます。そのうえで、旅客列車の車両は通常の電車とライトレール(LRT)の2案を候補としています。
途中駅は、10駅及び7駅の2案があります。
10駅の場合は、新小岩、東新小岩、奥戸、細田、南高砂、高砂、北高砂、新宿、西金町、金町の各駅を設置します。7駅案では、10駅案から南高砂、北高砂、西金町の3駅が省かれます。資料には明記されていませんが、10駅案がライトレール、7駅案が普通鉄道を想定しているとみられます。
新小岩駅と金町駅は、総武線、常磐緩行線との乗り継ぎを考慮した位置を想定します。所要時間は10駅で22分、7駅で17.7分と計算されました。
運転本数と需要予測
新金貨物線を旅客化した場合、1日あたりの運転本数は、片道84本と試算されています。ピーク時毎時6本、オフピーク時は毎時4本です。5時~0時までの19時間運行とし、ピーク時は朝夕各2時間です。
全線開通時の需要予測は、10駅案が1日38,400人、7駅案が36,600人となっています。新金線がモデルの一つと考える東急世田谷線の輸送人員が、1日57,541人(2016年度)ですので、全線開業で3分の2程度、部分開業では半分以下となります。
周辺鉄道への影響については、新金線旅客化により、JR新小岩駅で11,000人、JR金町駅で3,000~4,000人程度の乗降客増を予測しました。
一方、競合する形となる京成電鉄では利用者が減少します。京成高砂駅で9,000~10,000人、青砥駅で7,000~8,000人の乗降客減を予想しています。
京成高砂駅の乗降人員(2017年度)は104,223人、青砥駅は50,364人ですので、1割程度の利用者が新金線に流れるわけで、京成としては大きな打撃です。
概算事業費と単年度収支
全線開業の概算事業費は ライトレール車両で250億円、電車で200億円と想定しています。事業枠組みは上下分離を想定していますが、詳細は決まっていません。
単年度収支については、7駅案で約2.7億円~▲2.9億円、10駅案で約3.2億円~▲2.4億円と試算しています。この収支には、減価償却費や諸税、借入金の償還費などは含みません。
国道6号線踏切問題と段階整備
新金貨物線旅客化の最大のハードルは、国道6号線との交差です。これを踏切とすれば、国道に大渋滞が生じます。そのため、検討では、踏切ではなく交通信号とする方向で調査されました。道路側の交通信号にあわせて旅客列車を通過させることで、道路交通への影響を抑えます。
過去に鉄道(軌道ではない)に道路信号を設けた例はないようですが、「鉄道信号と道路信号を連携させる」形で問題ないとの国交省の見解を得て、鉄道事業法で運行することができる見通しが立っています。
ただし、交通信号とした場合、ダイヤ乱れが起こりやすいという課題があります。単線で毎時6本も運行し、貨物列車まで残したら、ダイヤ回復は難しくなります。
そのため、葛飾区では、国道6号との交差部分の整備を先送りし、まずは交差のない新小岩~新宿間での開業を目指す方針になっています。
2022年2月には、青木克徳・葛飾区長がJR東日本、国土交通省、都などと検討会を発足させる方針を表明。第一期(新小岩~新宿)と第二期(新宿~金町)の段階的整備をおこない、2030年頃の第一期開業を目指すと宣言しました。
段階整備の需要予測では、7 駅開業案は約25,300人/日、10 駅開業案は約20,700人となりました。そのため、駅数の少ない7駅案による、新小岩~新宿間先行整備が有力となっています。
それでも、全線開業に比べると、6割程度の利用者数になってしまいます。
新金貨物線旅客化の沿革
葛飾区には南北をつなぐ鉄道交通軸がありません。このため、地元・葛飾区で、新金貨物線の旅客化を求める声は古くからありました。葛飾区では新金貨物線の旅客化に関する調査検討を1993~1994年度と、2003年度にそれぞれ実施しています。
このときの調査検討では、国道6号線との交差、貨物線との併存、事業採算性が課題として列挙されました。いずれも難題なため、葛飾区では、新金貨物線の旅客化について「長期構想路線」として位置づけ、事実上、先送りしてきました。葛飾区の都市計画マスタープランでは「周辺の動向を見守りながら、南北交通の充実を図るストック材として活用方法を検討していく」という記述になっています。
その後、沿線開発が進んだことから、2018年度には、みたび葛飾区が旅客化に向けて基礎的な調査を行いました。その調査結果が2019年3月にまとまり、区議会で公表されました。その概要は上記の通りで、克服すべき課題は、以前の調査検討と大きくかわっていません。
なかでも大きな問題は国道6号線との交差問題ですが、葛飾区では調査を継続し、結果として交差しない新小岩~新宿間の先行開業を模索することになりました。2019年度からは年10億円を積み立てる「新金貨物線旅客化整備基金」も創設。10年で100億円を積み立てる目標を掲げ、事業を強く推進する姿勢を見せています。
こうした準備の後、2022年2月には、青木克徳区長がJR東日本、国土交通省、都などと検討会を発足させる方針を表明。第一期と第二期の段階的整備をおこない、2030年頃の第一期開業を目指すと宣言しました。
なお、2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』には、新金貨物線の旅客化は含まれていません。
新金貨物線旅客化のデータ
新金貨物線旅客化データ
営業構想事業者
未定
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新空港線(蒲蒲線)
新空港線は、東急蒲田駅と京急蒲田駅を連絡し、羽田空港へのアクセス向上を実現する空港連絡鉄道の構想です。ふたつの蒲田駅を結ぶことから、「蒲蒲線」と呼ばれることもあります。
東急多摩川線を延伸し、東急蒲田駅から京急蒲田駅の地下を経由し、京急大鳥居駅に至る計画です。このうち東急蒲田~京急蒲田間について、2030年代の開業を目指して事業が進められています。
新空港線の概要
第1期区間
新空港線は、東急多摩川線の矢口渡駅付近から、東急蒲田駅、京急蒲田駅付近の地下を経由して、京急空港線大鳥居駅に至る鉄道新線計画です。
大鳥居駅で東急多摩川線と京急空港線をつなぎ、羽田空港までの直通運転も模索されています。
大田区の案では、第1期として東急矢口渡駅~京急蒲田駅(地下)を狭軌で建設し、東急多摩川線の全列車が京急蒲田の地下新駅まで乗り入れます。
矢口渡~京急蒲田間の距離は約1.7km。この区間に地下路線を建設します。矢口渡~東急蒲田0.9kmが既存線(東急多摩川線)の地下化、東急蒲田~東急蒲田間0.8kmが地下新線整備という位置づけです。
第1期のルートと運転計画
2022年10月に公表された『蒲田駅周辺地区基盤整備方針』には、新空港線の想定ルートが記されています。蒲田駅東口駅前広場南側から区道を東進します。
2022年に6月に公表された『新空港線及び沿線まちづくり等の促進に関する協議の場における検討結果』によりますと、京急蒲田駅は、駅南側の区道直下に地下駅を設ける予定で、京急蒲田駅での乗り換え時間は約6分です。東急多摩川線の蒲田駅も地下化され、JR線との乗り換え時間は5分20秒かかります。
2016年度の大田区の調査によれば、田園調布~羽田空港間が2回乗り換えで約30分、中目黒~羽田空港間が2階乗り換えで約37分になります。
開業後の運転計画は未発表ですが、東急多摩川線のすべての列車が京急蒲田駅まで乗り入れるとみられます。東急多摩川~京急蒲田間の所要時間は13分程度です。
総事業費と採算性
2022年6月の調査結果によりますと、1日あたり約5.7万人が利用し、うち航空旅客が約1.5万人、都市内旅客が約4.2万人となっています。
総事業費は1,360億円です。費用便益比は2.0、累積資金収支黒字転換年数は17年で、ともに国が新線建設に対して補助をおこなう基準をクリアしています。
新空港線は上下分離で建設され、大田区と東急電鉄が出資する「羽田エアポートライン」が鉄道施設を保有する第三種鉄道事業者となります。羽田エアポートラインから鉄道施設を借りて運行する第二種鉄道事業者が東急電鉄となる見込みです。
開業時期は未定ですが、着工までの準備に5年、建設に10年と見積もると、2030年代後半になりそうです。
第2期
新空港線の第2期は京急蒲田~大鳥居間です。大鳥居駅で接続し、東急多摩川線と京急空港線が直通運転を実施します。
ただし、東急多摩川線は狭軌(1067mm)、京急空港線は標準軌 (1435mm) と軌間が異なるため、現在の車両では乗り入れることはできません。
そのため、京急空港線を複数の軌間に対応する三線軌条にする方式と、フリーゲージトレインを導入する方式が想定されています。
直通運転が実現すれば、東京メトロ副都心線・東横線・目黒線方面からの直通列車を東急多摩川線経由で運転し、渋谷や新宿などから羽田空港まで乗り換えなしで直結できます。
ただし、第2期はまったくの構想段階で、実現に向けた動きはありません。
新空港線の沿革
新空港線(蒲蒲線)の調査が始まったのは1987年です。地元大田区が東西鉄道網の整備に関する調査を開始しました。1989年には、『大田区東西鉄道網整備調査報告書』を公表しています。
その後、2000年1月の運輸政策審議会答申第18号で「京浜急行電鉄空港線と東京急行電鉄目蒲線を短絡する路線の新設」が盛り込まれ、2015年までに整備着手することが適当である路線と位置づけられました。
2006年1月には、大田区が『大田区東西鉄道「蒲蒲線」整備計画素案』をまとめました。さらに、関係各社による勉強会なども立ち上げました。しかし、このときは事業化には至りませんでした。
東京都が2015年7月10日に発表した『広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫』では、蒲蒲線は「整備について検討すべき路線」とされました。「優先的に整備を検討すべき路線」には入らなかったので、優先順位としてはやや下に位置づけられた形です。
これを受けた2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として盛り込まれました。
答申では、「矢口渡から京急蒲田までの事業計画の検討は進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべき」とされました。
一方、大鳥居までの延伸については、「軌間が異なる路線間の接続方法等の課題」があるとされました。
答申後も大田区は事業へ向けた活動をつづけ、2022年6月6日に、大田区と東京都が「新空港線(矢口渡~京急蒲田)整備事業について」合意しました。
この合意により、国交省の都市鉄道利便増進事業の補助を利用し、国、自治体、事業者がそれぞれ3分の1ずつを負担するスキームが固まりました。大田区が事業を推進する主体となり、地方負担分の負担割合を東京都3割、大田区7割と決めました。
2022年10月14日には、整備主体となる羽田エアポートラインが設立されました。大田区が61%、東急電鉄が39%を出資しています。
新空港線のデータ
新空港線データ
営業構想事業者
東急電鉄
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メトロセブン・エイトライナー
メトロセブン・エイトライナーは、環七と環八という環状道路の地下に鉄道を通そうという計画です。葛西臨海公園-亀有-赤羽-荻窪-田園調布の約60kmを結びます。
国土交通省では、両路線をあわせて「区部周辺部環状公共交通」という名称で呼んでいます。開業予定時期は未定です。
メトロセブン・エイトライナーの概要
メトロセブンとエイトライナーは、東京都心から約10km圏を走る環状鉄道計画です。メトロセブンが「環七」、エイトライナーが「環八」の地下を走り、両線は赤羽で接続します。導入空間の道路が異なるため「セブン」「エイト」と別の名称になっていますが、実質的に同一路線に近いと言えます。総距離は約60kmです。
メトロセブンは、葛西臨海公園(JR京葉線)-葛西(メトロ東西線)-一之江(都営新宿線)-東新小岩(JR総武線新駅)-青砥(京成本線)-亀有(JR常磐線)-六町(つくばエクスプレス)-西新井(東武伊勢崎線)-赤羽(JR東北線)を結びます。全長は約29kmです。
エイトライナーは、赤羽(JR東北線)-志村三丁目(都営三田線)-東武練馬(東武東上線)-平和台(メトロ有楽町線)-練馬春日町(都営大江戸線)-練馬高野台(西武池袋線)-井荻(西武新宿線)-荻窪(JR中央線)-高井戸(京王井の頭線)-八幡山(京王線)-千歳船橋(小田急線)-二子玉川(東急田園都市線)-等々力(東急大井町線)-田園調布(東急東横線)の約31kmです。
エイトライナーは、さらに蒲田を経て羽田空港に至るという構想もあります。田園調布-羽田空港間は、東急多摩川線、蒲蒲線(計画中)、京急空港線が担うことになりますが、それを含めれば、葛西臨海公園-羽田空港の総延長74kmという壮大な鉄道路線になります。
そもそもエイトライナーとメトロセブンは、それぞれの沿線自治体が推進する別の計画でしたが、1997年に両促進協議会が連携することを確認。「エイトライナー・メトロセブン合同促進大会」を開くなどして、協力して建設を推進しています。そのため、導入空間の道路名が違うだけで、実質的には一つの路線です。国土交通省の交通政策審議会答申第198号でも、両路線をまとめて「区部周辺部環状公共交通」と呼んでいます。
答申198号では「事業性に課題」としたうえで、「需要等も見極めつつ中量軌道等の導入や整備効果の高い区間の優先整備など整備方策について、検討が行われることを期待」としています。
これを受け、沿線自治体では、整備方法や需要予測について調査を継続しており、次期答申(30年ごろ)への記載を目指しています。
需要予測についていえば、2011、2012年度の調査では、エイトライナーの世田谷区、杉並区区間では1日80,000人を超える利用者が見込めるいっぽう、メトロセブンの多くの区間では40,000人以下にとどまっています。
当初は、東急多摩川線への乗り入れも考慮して普通鉄道の計画が基本でしたが、事業費が高額になりすぎることと、輸送力が過剰なため、より小規模な輸送機関(中量輸送機関)が検討の軸になっています。スマートリニアメトロのほか、モノレール、新交通システム、LRT、BRTが検討されています。
これまでの調査によりますと、事業費は地下鉄の場合で約1.1兆~1.5兆円。スマートリニアメトロで8,133~9,823億円、モノレールで1兆5,379~1兆8,475億円、新交通システムで1兆3,931~1兆6,816億円、LRTで3,110億円、BRTで1,230億円と概算されています。
メトロセブン、エイトライナーとも事業化はされておらず、開業予定時期などは未定です。2030年ごろに予定されている次期交通政策審議会答申へ向けて、調査が継続されています。
メトロセブン、エイトライナーの沿革
エイトライナー構想の出発点は、1986年5月に大田区、世田谷区、杉並区によって発表された「新交通システム」計画です。その後、練馬区、板橋区、北区も加わって、1993年に「エイトライナー構想」として結実しました。1994年には、エイトライナー促進協議会を設立しています。
メトロセブン構想の出発点はよくわかりませんが、同じく1994年に、足立区、葛飾区、江戸川区の3区により環七高速鉄道(メトロセブン)促進協議会が設立されました。
1997年に、メトロセブン、エイトライナーの両促進協議会は連携することを宣言。赤羽駅を結節点として周辺部環状鉄道として建設を推進していくことになりました。
2000年の運輸政策審議会答申第18号では、葛西臨海公園-赤羽-田園調布間が「今後整備について検討すべき路線」とされました。
2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」として盛り込まれました。その後、沿線自治体で構成するメトロセブン促進協議会とエイトライナー促進協議会とが、合同で調査を継続しています。
メトロセブン、エイトライナーデータ
メトロセブン、エイトライナーデータ
営業構想事業者
未定
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多摩都市モノレール延伸
多摩モノレール(多摩都市モノレール)は、多摩センター~上北台間約16kmを結ぶ路線です。
全体構想は約93kmに及び、上北台~箱根ヶ崎間、多摩センター~町田間、多摩センター~八王子間などの延伸計画があります。
多摩モノレール延伸の概要
1981年に発表された『多摩都市モノレール等基本計画調査報告』によれば、多摩モノレールの構想路線は約93kmとされます。
町田~多摩センター~上北台~箱根ヶ崎の南北軸と、是政~唐木田~八王子の東西軸を中心に、八王子~箱根ヶ崎間や、八王子~立川間などが構想路線に含まれています。このうち、開業しているのは、南北軸の多摩センター~上北台間のみです。
残る区間のうち、箱根ヶ崎、町田、八王子の3方面への延伸計画が、2016年の交通政策審議会答申198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』に記載されました。これらの3路線は、今後、開業の可能性があります。
順に見ていきましょう。
箱根ヶ崎延伸
多摩モノレールの上北台~箱根ヶ崎間の「箱根ヶ崎延伸(箱根ヶ崎ルート)」は、事業化が決定しています。上北台から西折れて新青梅街道に入り、JR八高線箱根ヶ崎に至る約7kmの区間です。
沿線には鉄軌道のない武蔵村山市があり、モノレール延伸を悲願として熱心な建設運動を続けてきました。導入空間となる新青梅街道の拡幅が進んでいて、完成すればモノレール用地がすべて確保されます。
こうした状況の進展を受け、東京都は2020年1月に事業化を正式決定。2022年10月に都市計画決定素案が公表されました。建設費は約800億円です。
箱根ヶ崎延伸では、新たに7つの駅を設けます。東大和警察署付近、村山病院北交差点付近、本町1丁目交差点付近、三ツ木交差点付近、武蔵村山高校付近、瑞穂石畑交差点付近、箱根ヶ崎駅です。
2022年11月に公表された環境影響評価計画書によりますと、工事期間は10年です。環境アセスを3年で終了したとして、開業は2035年頃という計算になります。
2022年12月8日の都議会本会議で、小池百合子都知事は、開業予定を「2030年代半ば」と答弁しました。
概算事業費は、インフラ外部が約358億円(税抜)、インフラ部が約900億円(税込)で、総額約1,290億円(税込)を見込んでいます。
町田延伸
多摩センター~町田間の「町田延伸(町田ルート)」は、多摩センターから、小山田緑地、小山田桜台団地、都道47号線を経て町田駅に至る路線です。
東京都が設置した「多摩都市モノレール町田方面延伸ルート検討委員会」がルート選定を行い、2022年1月28日に概要が発表されました。それによると、4つの案が候補として出され、そのうちの「B案」を選定しました。
決定したルート案は、多摩センターから町田市立陸上競技場、日大三高、小山田桜台団地、桜美林学園、町田市民病院、町田高校を経由して町田駅に至ります。総延長は約16kmです。当初構想の最短ルートでは13kmとされていましたが、需要を確保するため3km距離を長く取りました。
都道156号線と47号線を中心に導入空間道路の確保が進んでいて、多摩センター~多摩南野交差点付近と、桜美林大学付近~本町田付近の計約7kmで導入空間が確保されています。
ただ、町田市中心部付近などは、道路用地確保に動き出したばかりの部分もあり、モノレール事業化へはもう少し時間がかかります。
建設費は、当初構想の13kmで約1700億円とされています。
八王子延伸
多摩センター~八王子間の「八王子延伸(八王子ルート)」は、多摩センターから、小田急多摩線唐木田駅付近、京王相模原線南大沢駅付近、多摩美術大学付近を経由して、八王子ニュータウンの横浜線八王子みなみ野駅付近を通り、JR八王子駅へ至る延長約17kmの路線です。
こちらも一部区間で導入空間道路の確保が進められています。建設費は約1900億円です。
その他の延伸区間
このほか、箱根ヶ崎からさらに延伸し、羽村を経て八王子までを結ぶ路線、唐木田付近で延伸八王子ルートから分岐し、若葉台・南多摩を経て是政までを結ぶ路線、八王子から小宮・日野を経て甲州街道までを結ぶ路線が構想されています。
いずれも、具体化する見通しは立っていません。
多摩モノレール延伸の沿革
1981年度に『多摩都市モノレール等基本計画調査報告』が発表され、約93kmの路線構想が明らかにされました。1987年12月には、多摩都市モノレール(株)が軌道法に基づく特許取得。1期区間の立川北駅~上北台駅が1998年に開業し、2期区間の立川北駅~多摩センター駅間が2000年に開業しています。
2000年の運輸政策審議会答申第18号では、上北台~箱根ヶ崎間について、「2015年までに整備に着手することが適当」とされ、多摩センター~町田、八王子に関しては「今後整備について検討すべき路線」とされました。
2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、箱根ヶ崎、町田、八王子への延伸が「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」として答申されています。
2020年1月23日に、東京都は上北台~箱根ヶ崎間の延伸事業に着手することを正式に発表。2022年10月に、箱根ヶ崎延伸について都市計画素案が公表されました。2022年11月には環境影響評価計画書が公表され、12月には小池都知事が開業目標を2030年代半ばと答弁しました。
多摩モノレール延伸のデータ
多摩モノレール延伸データ
営業構想事業者
多摩都市モノレール
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川崎市営地下鉄
川崎市営地下鉄は、新百合ヶ丘-武蔵小杉-川崎駅を結ぶ鉄道計画です。川崎縦貫高速鉄道ともいいます。
2015年に計画中止が発表され、2018年に正式に事業中止となりました。
川崎市営地下鉄の概要
川崎市営地下鉄の計画は変遷を重ねましたが、最終的には新百合ヶ丘-武蔵小杉間16.7km、全11駅の計画となっていました。予定駅は、新百合ヶ丘、長沢、医大前、蔵敷、犬蔵、宮前平、野川、久末、子保口、等々力緑地、武蔵小杉の順です。新百合ヶ丘から小田急多摩線に乗り入れる構想もありました。
想定所要時間は急行16分、普通26分です。輸送需要は1日19万人、運転本数は日中は10分間隔、夕ラッシュ時6分間隔、朝ラッシュ時4分間隔を想定していました。
さらに、武蔵小杉-新川崎-川崎駅間を2期整備区間として、京急大師線に乗り入れる計画もありました。京急大師線は、乗り入れに備えて、一部区間の地下化を実施しています。
川崎市営地下鉄の沿革
川崎市の地下鉄構想の歴史は古く、1966年7月の運輸省の都市交通審議会第9号答申「横浜及びその周辺における旅客輸送力の整備増強に関する基本計画について」で、川崎市を縦断する地下鉄が盛り込まれています。このときの区間は大師河原-末吉橋-元住吉-長沢-百合ヶ丘間でした。これが川崎市営地下鉄の原形と言えます。
その後、1976年に小田急新百合ヶ丘駅が開業し、1982年に麻生区役所が新百合ヶ丘に新設されるなど、新百合ヶ丘が市西部の拠点となるのに伴い、地下鉄の発着地が百合ヶ丘から新百合ヶ丘に変更されました。
1985年7月の運輸政策審議会答申第7号では、武蔵野南貨物線(鶴見-府中本町間)を活用して府中本町-新川崎-川崎間を旅客化し、あわせて新百合ヶ丘駅から武蔵野南線への接続線を整備するものとされました。
川崎市は答申第7号をもとに基礎調査を行い、1992年3月に結果を発表しました。それによると、新百合ヶ丘駅から梶ヶ谷貨物ターミナルまで新線を建設し、そこから武蔵野南線に乗り入れ、武蔵小杉駅を経由して新川崎に至るルートが適切とされました。新川崎以東、川崎駅まで新線を新設し、川崎駅から先は地下化される京急大師線に乗り入れるという構想です。
ところが、JR東日本が、武蔵野南線の旅客化に難色を示します。そのため、川崎市は武蔵野南線の活用をあきらめ、新百合ヶ丘-川崎間すべてを新線で整備する方針へ転換しました。事業主体は当初第三セクターとされていましたが、川崎市が建設、経営する市営地下鉄として整備する方針に変更。これにより「川崎市営地下鉄」の計画となりました。
紆余曲折を経て、2000年1月の運輸政策審議会18号答申で、新百合ヶ丘-宮前平-元住吉-川崎間が「2015年度までに開業することが適当である路線」として盛り込まれました。川崎市は新百合ヶ丘-元住吉間を初期整備区間、元住吉-川崎間を2期整備区間として整備することを決め、2001年5月には新百合ヶ丘-元住吉間15.4kmの第1種鉄道事業許可を取得しています。
しかし、2001年に阿部孝夫市長が誕生すると、財政難などの事情もあり、建設へのブレーキがかかります。2003年5月には、1万人市民アンケートを実施。「財政状況が良くなるまで着工延期」との声が多く、同年6月に市は計画を5年間凍結することを決定しました。
市はさらに、採算性を高めるためにルート変更を検討。初期整備区間の終点を元住吉駅から武蔵小杉とし、等々力緑地を経由地に加える方針が決定され、2006年に新百合ヶ丘駅-武蔵小杉駅を初期整備区間とする新たな計画概要が発表されました。
建設費を削減するための有識者会議「新技術による川崎縦貫鉄道整備推進検討委員会」が設置され、2012月5月に提言を発表。普通鉄道のほか、リニアメトロを使うことによる建設費節減案を示しました。
しかし、それでも3,000億円以上の総工費が見込まれ、人口減少による利用者減も懸念されたことから、川崎市は計画を断念。2013年3月をもって高速鉄道事業会計を閉鎖し、2015年に計画休止を正式発表しました。
2018年3月の総合都市交通計画の中間見直しで、川崎縦貫鉄道計画の廃止を正式決定しました。
川崎市営地下鉄データ
川崎市営地下鉄データ
営業構想事業者
川崎市
整備構想事業者
川崎市
路線名
未定
区間・駅
新百合ヶ丘-武蔵小杉
距離
16.7km
想定利用者数
185,800人/日
総事業費
3246億円
費用便益比
1.7~1.8
累積資金収支黒字転換年
21年目
種別
未定
種類
普通鉄道
軌間
未定
電化方式
直流1500V
単線・複線
複線
開業予定時期
事業中止
備考
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※データは『新技術による川崎縦貫鉄道整備推進検討委員会提言書』(2012)の「ケース3」(小型地下鉄リニアメトロ方式)より
川崎市営地下鉄の今後の見通し
川崎市営地下鉄(川崎縦貫鉄道)計画は、2018年に事業が廃止されました。人口減少の時代に、これから計画が復活することはないでしょう。
いっぽう、新百合ヶ丘駅には横浜市営地下鉄ブルーラインが延伸してくることになり、地下鉄接着は実現します。川崎市営地下鉄の中止により、新百合ヶ丘駅での競合がなくなり、ブルーラインの新百合ヶ丘延伸が実現しやすくなった側面もあるようです。