東武鉄道が、新型特急500系の運行概要を発表しました。日光・鬼怒川線や伊勢崎線の特急として運用する一方、野田線(アーバンパークライン)でも特急運転します。愛称は「Revaty(リバティ)」に決まりました。
2017年3月に新規投入
新型特急500系「リバティ」は、東武鉄道が26年ぶりに開発した新型特急です。2017年3月に予定されるダイヤ改正にあわせ、8編成24両が投入されます。
500系「リバティ」の特徴は、3両編成を1ユニットとして、増解結可能な点。3両または6両で運転することができ、既存の特急車両100系などに比べ、柔軟な路線設定が可能です。
500系投入後も、100系「スペーシア」、200型・250型「りょうもう」などは、原則そのままで運行が継続されます。500系投入で、特急は増発される方向のようです。
500系「リバティ」運行概要
東武鉄道が発表した、500系「リバティ」の運行概要は、以下の通りです。
特急「リバティけごん」「リバティきぬ」「リバティ会津」
運転区間:浅草~東武日光・新藤原・会津田島
下今市で列車で列車を分割し、浅草~下今市間を6両編成、下今市~東武日光/下今市~新藤原/下今市~会津田島をそれぞれ3両編成で運転。特急「リバティけごん」の一部列車は、浅草~下今市間も3両編成で運転。
特急「リバティけごん」「リバティりょうもう」
運転区間:浅草~東武日光・館林
東武動物公園で列車を分割し、浅草~東武動物公園間を6両編成、東武動物公園~東武日光/東武動物公園~館林をそれぞれ3両編成で運転。
特急「スカイツリーライナー」
運転区間:浅草~春日部
浅草~春日部間を6両編成で運転。一部列車では100系を使用。
特急「アーバンパークライナー」
運転区間:浅草~大宮・野田市、大宮~運河
浅草~大宮・野田市の列車は春日部で列車を分割し、浅草~春日部間を6両編成、春日部~大宮/春日部~野田市をそれぞれ3両編成で運転。大宮~運河間の列車は3両編成で運転し、一部列車は春日部~大宮間を6両編成で運転。
野岩鉄道直通特急を設定
注目点はいくつかありますが、まずは浅草発着の野岩鉄道直通特急の設定です。浅草~会津田島間の直通列車は、現在、快速と区間快速で運転されていますが、これに特急がくわわることになります。野岩鉄道エリアの観光面ではプラスの影響が大きいでしょう。
ただ、特急が純増になるのか、快速が置き換えられるのかはわかりません。快速が減便になるなら、歓迎しない声も出てきそうです。今後、東武鉄道が伊勢崎・日光線系統の快速をどう扱うのかが、気になるところです。
野田線で「通勤ライナー」
次に、野田線(アーバンパークライン)での特急運転も注目点です。現在、野田線の特急は「スカイツリートレイン」が土曜日に運転されているだけですが、2017年3月ダイヤ改正で特急「アーバンパークライナー」を新たに設定します。おもに通勤時間帯に運行し、通勤ライナー的な役割を担うようです。
「アーバンパークライナー」の設定について、東武鉄道では「大宮―春日部間に3月、急行を導入したところ好調なため追加」(2016年10月28日付日経)と説明しています。最近、東武は野田線沿線の開発に力を入れていますし、通勤客の速達・着席需要に応えて沿線価値を高めようという戦略列車とみられます。
「アーバンパークライナー」は、大宮から東京スカイツリーへの観光輸送も担います。大宮駅は新幹線が集結する交通結節点ですし、東武としては、今後、大宮をターミナルとして重視していくのでしょうか。
「リバティしもつけ」は発表なし
500系投入により、どの車両が置き換えられるのかは未発表です。500系の製造数が24両ですから、規模からみると、300系・350系が置き換え対象になる可能性が高いとみられます。
500系投入後、300系・350系はすぐには廃車にならないかもしれません。とはいえ、車齢を考えれば、いずれ置き換えられるのは確実ですから、現在350系で運転されている宇都宮線特急「しもつけ」の扱いが気になります。
分割・併合ができる500系の特性を考えれば、新栃木で「けごん」「きぬ」と分割・併合する「リバティしもつけ」が設定されると思っていましたが、その発表はありませんでした。今回の発表でもっとも意外だったポイントです。
となると、当面は350系での運転継続ということになるのでしょう。「きりふり」「ゆのさと」については、いずれ「リバティきぬ」「リバティけごん」などに置き換えられ、愛称が使われなくなる可能性があります。
「リバティ尾瀬夜行」はあるか
現在300系が受け持っている夏の「尾瀬夜行」と冬の「スノーパル」の扱いも気になります。
500系がこれらの列車を受け持つ発表は、現段階ではありません。全国唯一の私鉄夜行列車ですから、今後もぜひ残してほしいところですし、500系投入を期待したいところ。実現すれば、「リバティ尾瀬夜行」「リバティ・スノーパル」などとなるのでしょうか。
最後に気になるのは「リバティ」という名称です。「Variety」と「Liberty」を掛け合わせた造語だそうですが、「リバティ」と聞くと、なんだか別のことを思い浮かべてしまうのは、筆者だけでしょうか。(鎌倉淳)