相模鉄道が都心直通用新型車両20000系の導入を発表しました。20000系は2022年度に予定する東急線との相互直通運転をにらんで開発した車両で、2017年12月に営業運転を開始します。計16編成を導入する予定です。
2022年度に東横線直通
相鉄は2019年度にJRと、2022年度に東急東横線との乗り入れを予定しています。乗り入れのため、相鉄本線の西谷駅から、東海道本線貨物支線(羽沢線)の横浜羽沢駅付近を経て東急東横線の日吉駅まで、神奈川東部方面線が建設中です。
新型車両20000系は、東急東横線との相互直通運転用に製造された車両で、2022年度以降は都心部まで乗り入れます。そのため、都内で相鉄の存在感をアピールできる仕様を備えました。相鉄では、「これまでの通勤型車両には見られない斬新なデザインやアイデア」を随所に取り入れたとしています。
「斬新なデザインやアイデア」とは?
「斬新なデザインやアイデア」として、具体的には、20000系には以下のような特徴があります。
・「ユニバーサルデザインシート」を一部の優先席に導入。立ち座りを容易にするため座席の高さを上げ、座り心地を損ねない範囲で座面を小さくしたシート。座席下部に大型の荷物が収納でき、荷棚が使いにくい乗客も利用しやすい。
・ベビーカー、車椅子用のフリースペースを全車両に設置。
・「ナノイー」搭載の空気清浄機を導入。
・「個別ドアスイッチ」を全てのドアに導入。空調効果を高めるために、乗客自身の手でドアを開閉することができる。
・座席端部の仕切り板を大型化し、強化ガラスを採用。ドア付近に立つ乗客の荷物が、着席客に干渉することを緩和。
・日差しを遮る「ブラインド」を設置。
・「車内の鏡」を設置。
・時間帯で変化する調色調光式のLED照明を採用。
・2016年度グッドデザイン賞受賞の「つり革」を採用。
・ロングシートは座り心地を改良。ランダムパターンを施した汚れが目立たない生地を採用。
・ドア上や通路の天井に21.5インチの大画面案内表示器を設置。
・通路の天井に広告画面を設置。
・全車両でWi-Fiを提供。
・新型素子(Sic素子)を採用したVVVFインバータ制御装置と高効率電動機の併用。室内灯や各種灯火類もLED化。
・密閉型主電動機や防音車輪の採用により、騒音を低減
・車内の非常通報装置を増設
・急曲線等での安全性を向上させた台車
・車両情報を司る装置にイーサネット方式を採用。
「ヨコハマネイビーブルー」で塗装
乗客に直接的に関係するのは、ユニバーサルシートや、フリースペースの設置でしょうか。Wi-Fiは通信事業者との契約が必要ですが、スマホのパケット代を節約したい方には喜ばれそうです。
内装は全体として天井が高くなっており、ガラス製の荷棚・仕切り・貫通扉を採用することで、開放感のある室内となっています。一方で、外観は横浜をイメージした濃紺色「ヨコハマネイビーブルー」で塗装。斬新な印象を与えます。
「東急・東京メトロ直通」のため車体寸法は小さめで、貫通扉を装備しています。ワンマン運転にも対応しているとみられます。
「A-train」コンセプト
車両は日立製作所製で、日立が開発したアルミ製標準型車両「A-train」コンセプト(次世代アルミ車両システム)をベースとしたアルミニウム合金製です。車両は山口県下松市の笠戸事業所で、インバータ駆動装置などの電気品は茨城県ひたちなか市の水戸事業所で製造されます。
報道発表の文章を見ても、実際のスペックを見ても、相鉄の「やる気」が感じられる車両となりました。延期に次ぐ延期でなかなか完成しない神奈川東部方面線ですが、悲願の都心直通を控えて、相鉄がいよいよ「本気」を出してきたようです。(鎌倉淳)