静岡空港で国際線が急増中。「首都圏に近いオープンスカイ空港」がついに活用されるときが来た?

静岡空港の国際線が急増しています。2015年5月から6月にかけては、中国南方航空が南寧など中国4都市への定期便を一気に就航させます。静岡空港発着の国際線は現在5路線ですが、これで一気に9路線に増えます。

その背景には、首都圏空港に自由に乗り入れできない中国の航空会社が、首都圏に近いオープンスカイ空港として、静岡空港に価値を見いだしているから、ということのようです。

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中国南方航空が中国4都市へ就航

静岡空港に現在就航している国際線は、ソウル(アシアナ航空・週3便)、天津(天津航空・週5便)、上海経由武漢(中国東方航空・週7便)、寧波(中国東方航空・週2便)、台北(チャイナエアライン・週4便)の5路線6都市です。このうち、天津は2015年1月に就航、寧波は2015年3月に就航したばかりです。

これにくわえて、このたび、中国南方航空により、南寧(5月15日・週2便)、武漢(5月15日・週3便)、長沙(6月15日・週2便)、鄭州(6月28日・週2便)の4都市への路線の開設が決定しました。

静岡空港写真:富士山静岡空港ホームページ

「ビッグサプライズ」

川勝平太知事すら「ビッグサプライズだ」というほどの驚きの大量就航です。これで、静岡空港の国際線は9路線9都市になります。そのうち7路線が中国路線です。

この就航ラッシュの背景には、中国人の日本旅行ブームがあるのは間違いありません。それにしてもなぜ静岡空港なのでしょうか? 

中国南方航空の呉国翔日本支社長は「静岡は富士山などの観光資源が豊富。日中関係にも改善の兆しがある」と説明しています。それは事実でしょうが、それだけではなさそうです。

静岡なら自由に路線開設できる

事情に詳しい人に尋ねてみると、「オープンスカイ空港で首都圏に近いからだろう」という単純なお返事。中国と日本はオープンスカイ協定を結んでおり、航空路線の開設は自由化されています。ただし、中国の北京空港、上海空港と、日本の羽田空港、成田空港は自由化の対象外。そのため、自由に増便することはできません。

中国の航空会社も、可能なら羽田や成田に増便したいところでしょうが、それは無理。次善の策として、着陸料が安く、首都圏に近く、中国人向けツアーを組みやすい空港が静岡空港ということのようです

東名道と中央道をぐるりと回る?

静岡空港は伊豆箱根や富士山にも比較的近いですが、これらのエリアは中国人の人気が高くなっています。伊豆箱根富士と東京を絡めた中国人向けツアーを組むのに、静岡空港は適している、ということです。東京から静岡空港は約200km。広大な中国大陸に住む人々の感覚からすれば、「目と鼻の先」なのかもしれません。

ちなみに、寧波はこれまでもチャーター便があったのですが、そのツアーの例としては、伊豆、富士山周辺、東京だけでなく、京都や大阪までをくわえ5泊と6泊で巡るコースが設定されていたそうです。細かいルートはわかりませんが、東名道と中央道をぐるりと回ってきたのでしょうか。

中国路線以外にも期待

静岡空港では、国際線の既存路線の搭乗率も好調です。2015年1月に就航した天津線の3月の搭乗率は97.3%、3月に就航したばかりの寧波線も90.4%を記録しました。ツアー客を詰め込んで飛んでくる様子がうかがえますが、この好調を受けて、寧波線は、はやくも6月10日から週4便に増便されます。こうした新規路線の好調ぶりが、中国南方航空の参入を促した、という側面もありそうです。

空港開設以来、利用者が伸び悩んできた静岡空港ですが、「首都圏に近いオープンスカイ空港」として、ついに活用されるときがきた、ということでしょうか。中国路線以外も増えていくといいですね。

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