新聞記事のさりげない内容に興味深いことが書かれているものです。2014年7月26日付朝日新聞西部本社夕刊コラム「知っとーと」に、「青春18きっぷの旅って?」という記事がありました。それによりますと、青春18きっぷのJR全社での販売枚数は、2013年度が67万枚だったそうです。青春18きっぷのJR全社の販売枚数の数字が明らかにされるのは珍しいです。
販売枚数は回復傾向
JRとしても、秘密にするような内容ではないので、聞けば答える、ということなのでしょうか。この記事によりますと、2009年が74万枚、2010年度は62万枚で、最近は「高速バスの事故を機にツアーバスが減った影響」もあり、販売枚数は盛り返しつつある、ということです。
直近の2013年度の67万枚という数字を用いると、1枚11,500円でしたので、JR全社での青春18きっぷの総売り上げは約77億円ということになります。2009年度は85億円にものぼります。
地方のJR各社の販売シェアが大きい
筆者はこれまで、JR東日本の販売枚数データを利用して、JR全体の青春18きっぷの総売り上げを約60億円と推定してきました(詳細は、「青春18きっぷの売り上げはJR各社でどう分配されているのか」参照)。そのため、それより3割も売上高が大きかった、ということになります。
ちなみに、青春18きっぷのJR東日本の販売枚数は、2009年度で28万枚、2010年度で24万枚です。これらの数字を利用すると、JR東日本のJR全社に対する青春18きっぷの販売シェアは、約38%ということになります。鉄道運賃収入全体では、JR東日本のシェアは約43%ですので、それより小さいです。
逆にいうと、地方のJR各社の販売シェアが大きい、ということを示唆します。経営的に新幹線への依存の少ない三島会社で、青春18きっぷの販売シェアが大きいのかもしれません。
いずれにせよ、青春18きっぷの売上高が年間80億円前後に達するというのは、素晴らしいことといえるでしょう。JR四国の昨年度の鉄道運輸収入は約230億円ですから、比較すれば80億円という数字がいかに大きいかがわかります。
普通列車の空席利用でこれだけの金額を稼ぎ出しているのですから、青春18きっぷはまだまだ健在、といえそうです。