プリンスホテル、苗場スキー場売却の衝撃。かぐら、焼額山、八海山も

軽井沢などは継続保有

西武ホールディングスが、スキー場など31施設の不動産を投資ファンドに売却すると発表しました。苗場、かぐら、志賀高原焼額山といった、プリンスホテルを象徴する主要スキー場が売却対象に含まれています。

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31施設を売却

西武ホールディングスの発表によりますと、売却を想定しているのは、子会社「プリンスホテル」が所有する国内76施設のうち31施設。売却先はシンガポール政府系の投資ファンド「GIC」です。売却後も「プリンスホテル」などのブランドは冠したまま各施設の運営を続けます。

売却を想定している不動産は以下の通りです。

【ホテル】
釧路プリンスホテル
屈斜路プリンスホテル
札幌プリンスホテル
函館大沼プリンスホテル
雫石プリンスホテル
ザ・プリンスパークタワー東京
サンシャインシティプリンスホテル
下田プリンスホテル
万座プリンスホテル
万座高原ホテル
嬬恋プリンスホテル
苗場プリンスホテル
志賀高原プリンスホテル
ザ・プリンス京都宝ヶ池
グランドプリンスホテル広島

【スキー場】
雫石スキー場
万座温泉スキー場
苗場スキー場
かぐらスキー場
六日町八海山スキー場
志賀高原焼額山スキー場

【ゴルフ場】
女満別ゴルフコース
上士幌ゴルフ場
富良野ゴルフコース
北海道カントリークラブ
岩手沼宮内カントリークラブ
雫石ゴルフ場
嬬恋高原ゴルフ場
大原・御宿ゴルフコース
竜王ゴルフコース
日南串間ゴルフコース

苗場スキー場
画像:プリンスホテルウェブサイトより
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プリンスを象徴する施設

なによりも、苗場スキー場というプリンスリゾートを象徴する施設が売却されるのは衝撃でしょう。隣接するかぐらのほか、名コースで知られる六日町八海山や、志賀高原焼額山といった高級リゾートも売却対象に含まれます。

ただし、運営業務の受託を前提に売却するため、売却後もプリンスホテルが運営することに変わりはないようです。

コロナ以降に利用者激減

苗場に関していえば、新型コロナ以降、集客に苦戦しています。

下表は湯沢町の主要スキー場の利用者数ですが、2018-19シーズンには70万人の利用者数を誇り、2位のかぐらにダブルスコアを付けて、湯沢地区で圧倒的な首位でした。

湯沢地区主要スキー場利用者数
スキー場名 18-19 19-20 20-21 21-22
苗場 707,950 319,160 122,020 114,680
かぐら 355,900 356,700 185,400 75,900
GALA湯沢 335,730 249,840 145,400 69,630
岩原 318,500 218,800 180,600 103,900
神立 213,290 183,530 199,390 80,070
湯沢中里 163,900 98,040 110,520 62,310
湯沢高原 91,710 71,890 40,030 25,400
NASPA 86,020 49,930 60,400 44,600

出典:湯沢町観光統計。21-22シーズンは1月までの累計

ところが、コロナの影響が出始めた2019-20シーズンは失速し、31万人と半減します。19-20年でコロナの影響が出始めたのはシーズン後半だったので、他のスキー場の減少幅は限られていますが、苗場は激減し、かぐらに首位を譲っています。

さらに20-21シーズンでは、スタッフにコロナの感染者が出たこともあり長期休業。12万人の集客に終わりエリア5番手に。21-22シーズンでは、1月までの段階で11万人を集め首位に返り咲いたものの、かつてのような圧倒的な強さはありません。

かぐらも、21-22シーズンでは岩原、神立の後塵を拝する位置に後退しています。

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残りは4施設

今回発表された施設が想定通り売却されれば、プリンス系で残る国内スキー場は、富良野、軽井沢、妙高杉の原、狭山のみとなります。

31施設を切り分けた理由として、プリンスホテルが保有しているホテル・レジャー事業の資産のうち、再開発を予定しているものなどについては、西武が継続保有するとのことです。

軽井沢は収益性の高さで知られていますし、富良野はニセコに続くインバウンドスキー場として高い期待を集めていることから、所有を続けるのでしょう。狭山は西武鉄道沿線の施設のため、鉄道との相乗効果を狙った施策や用途を検討している可能性があります。

妙高杉の原が残された理由はわかりませんが、何か別の動きがあるのかもしれません。(鎌倉淳)

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