「路線バスで鬼ごっこ」第4弾 小田原~沼津~河口湖を少しだけ分析する。勝負を分けたポイントは?

ほんのちょっとだけです

「ローカル路線バスで鬼ごっこ」の第4弾が放送されました。太川陽介と松本利夫がチームを率いて対戦する番組です。バスの乗り継ぎ部分について、少しだけ分析してみました。

なお、以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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キャプテン中澤が参加

テレビ東京の「路線バスで鬼ごっこ」は、「ローカル路線バスの旅」シリーズの企画の一つ。2021年11月17日に放送された第4弾では、ルイルイこと太川陽介と、EXILEの松本利夫がそれぞれチームを率い、小田原~沼津~河口湖で対戦しました。太川チームには相川七瀬、関太が参加。松本チームには、本村健太郎、中澤佑二が参加しています。

「鬼ごっこ」のルールは、ミッションをこなしながら逃げるチームを鬼チームが追いかけ、写真を撮れば攻守交代するというもの。2日間の勝負で、先にゴールしたチームが勝者となります。

第4弾ではGPSが廃止され、バスの乗り継ぎ方法が勝敗に大きく影響するようになりました。そこで、局面ごとに、少しだけ乗り継ぎを検証してみます。

路線バスで鬼ごっこ第4弾
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バス対決旅 路線バスで鬼ごっこ第4弾 小田原~沼津~河口湖
【出演】太川陽介、相川七瀬、関太(タイムマシーン3号)、松本利夫(EXILE)、本村健太郎、中澤佑二
【放送日】2021年11月17日(水)18時25分~21時54分(テレビ東京系列)

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湖尻から元箱根

「路線バスで鬼ごっこ」は、鬼と逃げ子が途中で入れ替わるというルールの性質上、全体の乗り継ぎを検証することに意味はありません。ここでは、局面ごとに、他の乗り継ぎ方法がなかったかを検証してみます。以下、実際ルートは「▼」、検証ルートは「▽」で示します。

最初のポイントは、第1チェックポイントの「網元おおば」でわかさぎ釣りを終えたあと、湖尻のバス停から三島へ向かう局面でしょうか。湖尻のバス停で松本チームが太川チームを捉え、攻守交代します。

ここで、両チームは、以下のような乗り継ぎで三島に向かったとみられます。番組ではっきり表示されなかった乗り継ぎは、筆者による推測です(以下同)。

▼松本チーム(逃げ子)
湖尻10:25→10:33箱根園入口→徒歩3.0km→元箱根港11:25→11:44三島スカイウォーク

▼太川チーム(鬼)
湖尻11:18→11:41小涌園11:51→12:05元箱根港12:25→12:44三島スカイウォーク

松本チームが逃げ子になったのは10時頃でした。仮に小涌園経由で元箱根に向かうと以下のようになります。

▽松本チーム(逃げ子)
湖尻10:23→10:46小涌園10:51→11:05元箱根港11:25→11:44三島スカイウォーク

このように、元箱根港からのバスは実際ルートに収斂しますが、3kmの山道を歩かずに済みます。その点でいえば、箱根園ルートよりも小涌園ルートが優れていたといえます。

竜宮殿から歩くルート

箱根園に向かったとしても、湖尻からのバスを箱根園入口で降りずに、次の竜宮殿前まで乗り、そこから湖岸を元箱根港まで歩いた方が、徒歩距離が短く、起伏もなく楽だったのではないか、という気がします。

いずれにしろ、松本チームは元箱根港11時25分発に乗るのが最善手で、それに間に合いました。一方の太川チームは、湖尻で60分待機になったことで、元箱根港12時25分発に乗るのが最善手で、それは達成しました。

要するに、この局面では、結果的に両チームとも最善手で三島方面に至ったことになります。

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三島から御殿場

次に気になったのは、2日目朝、三島から御殿場へ向かう局面でしょうか。実際ルートは以下のようになっています。

▼松本チーム(逃げ子)
三島駅07:15→07:35裾野駅07:49→08:22特別支援学校前08:35→08:55御殿場駅09:00→09:11便船キミワプラザ→徒歩0.8km→えびせんべいの里御殿場店☆→タクシー2.0km→09:58御殿場駅10:10→10:54富士山山中湖[ホテルマウント富士入口]

▼太川チーム(鬼)
三島駅09:00→10:00御殿場プレミアムアウトレット→タクシー3.3km→10:12御殿場駅10:40→11:24富士山山中湖[ホテルマウント富士入口]

番組では、両チームがタクシーを用いて御殿場駅への先着を競うという演出になっていましたが、時刻表上では、太川チームがアウトレットに到着したときに、すでに松本チームは御殿場駅に到着しています。アウトレットから御殿場駅までは3kmあまりなので、タクシーなら10分程度。御殿場駅到着時刻の差は15分程度でした。

もっと早いバスはなかったか

ここで気になるのが、太川チームの三島での停滞です。ルール上、三島駅を7時28分以降に出発できるのですが、9時発の御殿場プレミアムアウトレット行きのバスまで待ってしまいました。他に方法はなかったのでしょうか。

実は、松本チームが乗った特別支援学校前行きのバスは、三島駅北口始発で、07時32分に出発します。もし、このバスに太川チームが乗れれば、以下のようになります。

▽太川チーム(鬼)
三島駅北口07:32→裾野駅07:49→08:22特別支援学校前

太川チームがこのバスに乗っていれば、裾野駅で乗り込んできた松本チームを捉えることができ、攻守交代となっていたはずです。その場合、第5チェックポイントの「えびせんべいの里」は太川チームが獲得していたでしょう。

松本チームは裾野駅で30分~1時間停滞することになります。三島駅発御殿場アウトレット行きのバスが09時20分に裾野駅に立ち寄りますので、それに乗って御殿場に向かったでしょう。要は、実際ルートの両チームが裾野駅で入れ替わっていた可能性が高いわけです。

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三島駅の構造問題

こう書くと、三島駅でルイルイ痛恨のミス、と早合点してしまいそうです。ただ、よく調べると、このルートをルイルイが実現するのはきわめて困難です。

というのも、特別支援学校前行きのバスは、三島駅北口発着だからです。JR三島駅に南北自由通路はなく、入場券を買って改札内を通り抜けられないのであれば、南口から北口へ行くには、大回りをして1km近くを歩かなければなりません。7時28分まで南口で抑止されていたなら、7時32分に北口を出るバスに乗るのは不可能でしょう。

あえていえば、1日目夜に三島駅に先着した際に、松本チームが着く前に北口のバスを確認するために移動していれば、攻守交代も免れて、2日目朝に7時32分発のバスに乗れたかもしれません。

とはいえ、その場合は逆に、裾野駅で捕まっていた可能性もあります。そう考えると、ルイルイが御殿場に先着するのは、なかなか難しかったように思えます。

そのほかに、太川チームが7時半以降に三島駅を出て、御殿場駅に松本チームより先着する方法は見つかりませんでした。となると、三島駅でゆっくり朝食を摂ったことを責めることはできなさそうです。

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獅子浜の乗り逃し

隠れたポイントとして注目したいのは、1日目の夜、沼津へ戻る途中に、太川チームが獅子浜でバスを乗り逃したシーンです。

松本チームが、「三津シーパラダイス」のミッションを終了したという連絡を受け、太川チームが急遽降車したバス停が獅子浜。降りた途端に反対車線を沼津行きのバスが走り去って行きました。

後続のバスに乗ったところ、松本チームと遭遇。松本チームを次のバス停で降車させ、以下のように乗り継ぎました。

▼太川チーム(鬼)
獅子浜18:11→18:32沼津駅19:00→19:29三島駅

三島駅に19時30分頃に到着しますが、その先がつながらず、後から来た松本チームに捉えられてしまいます。

では仮に、獅子浜で、乗り逃したバスに乗れていたらどうなっていたでしょうか。

▽太川チーム(鬼)
獅子浜17:50→18:12沼津駅18:30→18:58三島駅19:05→19:55御殿場駅

このように、バスが定刻運転なら、1日目に御殿場駅まで到達できます。御殿場着が20時少し前という、活動終了時刻直前の絶妙なタイミングです。

こうなると、2日目は第5チェックポイントの「えびせんべいの里」の前で松本チームを待つことができました。えびせんべいのミッションは太川チームのものとなり、その後の展開が大きく変わっていた可能性があります。

仮に松本チームの「三津シーパラダイス」のミッションがあと5分早く完了し、太川チームがあと1つ手前のバス停で降車していたら、太川チームは1本速いバスで沼津に戻れ、鬼のまま御殿場で待ち伏せできたわけです。

このあたりは、勝負のアヤと見ることもできますし、そもそも太川チームが三津に向かわないで沼津駅で待機していればよかった、と考えることもできるかもしれません。

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最終局面

話は最終局面に進みます。第8チェックポイント「音楽と森の美術館」からゴールへの道筋も、気になった方が多いでしょう。自然生活館経由の「北ルート」と、ハーブ館経由の「南ルート」の選択があり、実際には松本チームが北ルート、太川チームが南ルートを選びました。

経緯を振り返ると、太川チームは、バイオリンの音当てミッションに失敗し、15時に松本チームに捉えられてしまいます。太川チームの移動解除時刻は15時15分。このとき、松本チームは先を急がずに、隠れて太川チームをやりすごします。

解除された太川チームは、松本チームがタクシーで出発済みと考えました。自チームにタクシー代が残っていないため、バスで乗り継げる可能性のある南ルートを選びます。

両チームの実際ルートは以下の通りです。

▼松本チーム(逃げ子)
音楽と森の美術館→徒歩すぐ→河口湖オルゴールの森美術館16:19→16:27自然生活館→タクシー+徒歩、計4.0km→足和田ホテル

足和田ホテルのゴール時刻ははっきりしませんが、17時ごろと思われます。

▼太川チーム(鬼)
音楽と森の美術館→徒歩すぐ→河口湖オルゴールの森美術館15:33→15:54河口湖駅

太川チームは河口湖駅で、足和田方面へ向かう西湖周遊バスの最終が15時10分に出てしまっていることを確認し、ギブアップしたようです。河口湖駅から足和田ホテルまでは約6kmあり、歩いたとしても17時半頃にゴールするのが精一杯とみられます。

実際には18時08分発の西湖民宿バスを待てば、ゴール近くまでバスで行くことは可能ですが、それでは到底勝てません。

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逆転は可能だったか

では、最終局面で太川チームが逆転する方法はあったのでしょうか。仮に、太川チームが移動解除直後に自然生活館方面行きのバスに乗っていたら、以下のようになります。

▽太川チーム(鬼)
河口湖オルゴールの森美術館15:19→15:27自然生活館→徒歩4.0km→足和田ホテル

太川チームは第8チェックポイントで失敗し、タクシー代を得られなかったので、残金はほとんどありませんでした。そのため、自然生活館から足和田ホテルまでの4kmを歩くことになります。その場合のゴール時刻は16時10分頃でしょう。

太川チームが15時19分発で北ルートを採った場合、松本チームは後続のバスに乗って、タクシーで追い越す方法を選んだと思われます。次のバスは20分後なので、実際ルートより40分前倒しとなります。

▽松本チーム(逃げ子)
河口湖オルゴールの森美術館15:39→15:47自然生活館→タクシー+徒歩、計4.0km→足和田ホテル

松本チームに残されていたタクシー代は1,260円で、おおよそ3km乗車できます。となると、徒歩距離は1km程度。20分先行する太川チームを、タクシーに3km乗ることで追い越せれば、勝利していたわけです。

机上論で計算すれば、タクシーを利用して3km差を20分で追い越すのは難しくなさそうです。タクシーを呼ぶときの待ち時間が問題になりますが、松本チームは歩いて先に進みながら待っていたようなので、影響は少ないでしょう。迎車料金を考慮しても、松本チームの勝利の可能性が高かったと思われます。

最終局面で太川チームが勝利できる可能性があったとすれば、第8チェックポイントで、バイオリンの音を聞き分けて、1,000円のタクシー代を得ていた場合でしょうか。1,000円のタクシー代を武器に北ルートを選び、隠れた松本チームの先手を打てれば、勝利の女神はルイルイの頭上に輝いた可能性が高いです。

そう考えると、太川チームとしては、最終ミッションの失敗が悔やまれるところです。

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まとめてみたけれど

以上、番組を見て、気になった点を簡単に検証してまとめてみました。

「路線バスで鬼ごっこ」は通常の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」のように、絶対的な正解ルートが存在するゲームではなく、勝敗は相対的なものです。ミッションの成否や、隠れたり、やりすごしたりという仮定の話を考慮すれば、きりがありません。

その点で、当検証も「ある仮定」に基づいた、ひとつの可能性を示すにとどまります。その点はご理解ください。

そうした前提での話ですが、今回は、三島駅が勝敗の大きな分かれ目だったように感じられます。松本チームが、1日目の夜に太川チームに追いついたこと、2日目の朝に思い切って裾野行きに乗ったことで、両チームに大きな差が生じてしまいました。

最終局面では、タクシー代の差がものを言いましたが、それも中盤までの積み重ねで、松本チームが有利にゲームを進めた結果といえます。今回は、ルイルイ自らが認めたように、松本チームの完勝といってよさそうです。

「鬼ごっこ」というゲームについていえば、ルール変更により、乗り継ぎ技術を競う側面が強くなったのは、興味深いところでしょうか。次作も楽しみです。(鎌倉淳)

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