新幹線「全車指定席化」はどこまで広まるか。「のぞみ」ピーク期に導入へ

いずれは通年化?

東海道・山陽新幹線「のぞみ」が、ピーク時期に全車指定席になります。新幹線の「全車指定席化」はどこまで広まるのでしょうか。

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3大ピーク期に導入

JR東海とJR西日本は、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始の「3大ピーク期」において、東海道・山陽新幹線「のぞみ」号の自由席をとりやめ、全車指定席にすると発表しました。

2023-24年末年始より開始します。対象期間は2023年12月28日~2024年1月4日の8日間です。

新幹線座席1号車

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指定席2割増

現在の「のぞみ」は1~3号車が普通車自由席、4~7号車と11~16号車が普通車指定席、8~10号車がグリーン席です。

今後、GW、盆、正月の年3回のピーク時期は1~3号車も指定席となります。この3両で約250席があり、全体が約1300席なので、指定席が約2割増える計算です。

「のぞみ」が全車指定席の場合、自由席特急券を持っていれば、「のぞみ」普通車指定席のデッキに乗車することができます。ただし、空席があっても着席はできません。着席した場合は指定席料金との差額の支払いを求められます。

「のぞみ」以外の東海道・山陽新幹線列車は、今後も全シーズンで自由席を設定します。「ひかり」「こだま」「みずほ」「さくら」の自由席はそのままです。

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4つの理由

「のぞみ」のピーク期全車指定席化の理由として、JR東海などは「日・時間帯によっては指定席が早い段階で満席になること」「始発駅以外の駅から乗車の場合に着席や乗車ができないこと」「ホームで自由席の乗車を待つため長い間並ぶこと」「自由席への乗降に時間がかかり列車の遅れが発生すること」の4つを挙げています。

このうち、JR側として最も解決したかったのは、最後の「自由席への乗降に時間がかかり遅れが発生すること」でしょう。ピーク時は列車本数が多いので、遅延が発生するとダイヤの回復が難しくなります。JRとしては、ピーク時の遅延原因を取り除きたいという課題が大きかったと察せられます。

また、列車本数が多い時期のホーム上の行列は整理が大変ですし、ときに危険な状況も招きます。その予防策という側面もあるでしょう。

単純に、ピーク時は指定席の需要が高いので、その供給を増やす施策ともいえます。旅客サービスの向上という狙いもあるわけです。

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全車指定席化の流れ

そもそも「のぞみ」は、1992年の運行開始時は全車指定席でした。当時は列車本数が少なかったからですが、その後、「のぞみ」中心のダイヤになった2003年10月改正(品川駅開業時)にあわせて、自由席が連結されました。

一方、近年の新幹線全車指定席化は、JR東日本で先行しています。2002年の東北新幹線八戸開業時に運行開始した「はやて」がその嚆矢で、併結の秋田新幹線「こまち」とあわせて全車指定席となりました。

2011年に登場した「はやぶさ」も全車指定席。2015年の北陸新幹線開業時に登場した「かがやき」も当初から全車指定席でした。2022年には山形新幹線「つばさ」も全車指定席化されました。

JR東日本の新幹線では、最優等の長距離列車を中心に全車指定席化の流れが続いているわけです。背景としては、「自由席の行列」「途中駅から座れない」など、「のぞみ」と共通の問題があります。

利用者側の「着席保証需要の高まり」も根幹にあります。新幹線のネット予約が普及して、利用者が指定席券を購入しやすくなったという背景もあるでしょう。

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JR東日本との違い

いっぽう、今回の「のぞみ全車指定席化」と、東北新幹線系統の全車指定席列車とは、運用の相違点があります。

もっとも大きな違いは、「のぞみ」では自由席特急券で指定席のデッキに乗車できる、という特例でしょう。

東北新幹線系統では、立席特急券を購入しなければデッキにも乗車できません。立席特急券は列車指定があるので、自由席特急券のように好きな列車に乗車できるわけではありません。

この点で「のぞみ」の運用は緩いといえます。ただ、この仕組みが永続的とは限らず、導入後の状況を見極めたうえでの変更もありそうです。

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山陽新幹線区間の扱い

また、今回の「のぞみ」全車指定席化では、混雑がピークを越える山陽新幹線部分でも、全車指定席の運用が変わりません。

一方、東北新幹線「はやぶさ」では、特定特急券で指定席に乗車できる特例を盛岡以北で設けるなど、「全車指定席」といいながら、利用者の少ない区間で空席に自由に座れる制度を残しています。

ただ、今回の「のぞみ」の全車指定席化は、3大ピーク時のみです。山陽新幹線区間も満席になりやすい時期なので、こうした制度は不要という判断でしょうか。

「みずほ」「さくら」はどうする?

山陽新幹線区間については、「みずほ」「さくら」など、「のぞみ」と所要時間が大きく変わらない列車で自由席を残すことから、その影響も注目されます。

本来なら「みずほ」は、足並みを揃えてピーク時期は全車指定席化をしたいところでしょう。

しかし、「みずほ」「さくら」では、指定席4列シート、自由席5列シートと差を設けています。扱いとしてはどちらも「普通席」ですが、快適性には大きな違いがあります。

したがって、「のぞみ」のように、突然「全車指定席化」をしづらいという事情もありそうです。

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全車指定席化は広まるか

では、今後、新幹線の指定席化は広まるのでしょうか。

筆者の経験した限りでは、最近の「のぞみ」では、指定席が満席でも自由席に空席を見つけることは、通常期ならば難しくありません。

つまり、指定席が満席だから自由席に乗る、という需要は減っていて、着席保証を求める旅客が増えている印象があります。ならば、指定席を増やす施策は、利用者に受け入れられやすいでしょう。

また、今回の「のぞみ」全車指定席化に対するメディアの論調は寛容で、「実質値上げ」といった批判はみられません。

こうした状況をみると、「のぞみ」に関しては、いずれ年間を通じて全車指定席化が進められていくのではないか、と感じられます。山陽新幹線「みずほ」についても、座席アコモデーションの問題はあるにせよ、将来的に検討がなされるのではないでしょうか。

一方で、新幹線には通勤・通学輸送をはじめ、短距離の地域輸送を支える役割もあります。そのため、「こだま」のような列車には全車指定席は馴染まず、今後も自由席が設定され続けるとみられます。(鎌倉淳)

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