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登別ルート
さて、ここで話を1日目に戻しましょう。倶知安のバス案内所で相談した、「登別方面」へ向かっていたらどうなっていたかを検討してみます。倶知安駅からは、かつて胆振線という鉄道路線があり、その代替バスがいまも残っていますので利用します。
▽1日目
ひらふウェルカムセンター07:41→08:00倶知安駅前10:26→12:50伊達駅前12:58→14:13東町ターミナル(室蘭)14:21→15:05登別駅前15:32→16:47苫小牧駅前
▽2日目
苫小牧駅前11:25→13:10平取13:30→14:46日高ターミナル/日高総合支所16:45→17:10占冠駅前
▽3日目
占冠駅前07:06→08:08幾寅駅前08:17→09:19新得駅15:25→17:03帯広駅17:20→20:10陸別
▽4日目
陸別05:52→07:30北見バスターミナル08:05→08:47女満別空港10:25→11:00網走バスターミナル12:07→13:03斜里バスターミナル14:10→15:35知床五湖
夕張山地に分け入るルートです。日高町を経由することで、2日目に占冠駅に到達することが可能です。その後は、すでに検討した「占冠ルート」をたどり、ゴールできます。
問題があるとすれば、苫小牧で幾寅までの道筋を見通せるか、という点でしょう。聞き込みをすれば、日高町までの乗り継ぎを確認することはできそうですが、日高町から占冠村へ経て幾寅駅への道筋を見通せるかと言えば微妙で、難易度は高そうです。
千歳ルート
登別経由で苫小牧に着いた場合も、結局、夕張山地へ分け入る決断ができず、千歳を経由して岩見沢方面へ転進することになったかもしれません。その場合の乗り継ぎ可能性はいくつかありますが、たとえば以下のようになります。
▽1日目
ひらふウェルカムセンター07:41→08:00倶知安駅前10:26→12:50伊達駅前12:58→14:13東町ターミナル(室蘭)14:21→15:05登別駅前15:32→16:47苫小牧駅前17:05→18:01新千歳空港国内線18:22→18:38千歳駅前19:40→20:24大曲20:50→21:10北広島駅21:56→22:18中央長沼
▽2日目
長沼ターミナル07:01→08:16岩見沢ターミナル08:45→09:24美唄駅前09:50→10:52滝川駅
このように、美唄駅で実際ルートに収斂します。要するに、苫小牧まで行って、千歳へ進路を戻しても、うまく乗り継げばリカバーは可能です。
えりもルート
選択肢としてはあり得ないと思いますが、苫小牧からえりもをたどるルートも念のため確認してみます。調べてみると以下のようになります。日高線の代行バスを使うルートです。
▽2日目
苫小牧駅前09:03→11:32静内駅前/静内駅12:00→13:52様似駅14:00→15:50広尾駅/広尾16:22→18:45帯広駅20:00→21:00鹿追営業所前
▽3日目
鹿追営業所前→徒歩17.3km→新得駅10:49→11:48幾寅駅12:13→13:13新得駅15:25→17:03帯広駅バスターミナル17:20→20:10陸別
▽4日目
陸別05:52→07:30北見バスターミナル08:05→08:47女満別空港10:25→11:00網走バスターミナル12:07→13:03斜里バスターミナル14:10→15:35知床五湖
3日目が休日ダイヤなので、鹿追~新得間で適当な時間にバスがありません。そのため、この区間17kmを歩かなければなりません。
それでも、日高からえりもを経由して帯広に出たとして、3日目の朝に17kmの徒歩をこなして、新得駅10時49分の代行バスに乗れれば、ゴールは可能です。
ただ、現実問題として、幾寅に向かうのに、苫小牧からえりもを経由しようとは思わないでしょう。ですから、「えりもルート」は机上論といえそうです。
最終乗り継ぎ
ゴールから逆算してみて、実際ルートをベースにした最終の乗り継ぎも見てみましょう。
▽2日目
栗山駅10:20→11:03岩見沢ターミナル11:20→11:59美唄駅前15:10→16:12滝川駅前19:35→20:05赤平駅前20:11→21:17富良野駅
▽3日目
富良野駅11:02→11:58幾寅駅12:13→13:13新得駅前15:25→17:03帯広駅
▽4日目
帯広駅07:43→10:33陸別10:50→12:24北見バスターミナル12:45→13:27女満別空港13:30→15:36ウトロ温泉バスターミナル15:50→16:15知床五湖
逆算すると、2日目に富良野、3日目に帯広に着いてればゴール可能です。2日目の「高速ふらの号」最終便で富良野駅に着いていればいいわけで、実際ルートでさかのぼると1日目夜に栗山駅まで到達していることが条件になります。
ただ、1日目夜に栗山駅に到達できたら、その日のうちに岩見沢駅着けるので、つまり初日の岩見沢駅到着はゴールへの最低要件だったことになります。そうなると、一行はギリギリの乗り継ぎをたどったとも表現できそうです。
※この部分、当初記事は2日目を新さっぽろ始発としていましたが、土休日ダイヤでは2日目朝は栗山駅出発が要件になります。訂正します。
最適解を挙げてみる
では、複数の「成功ルート」から、最適解を考えてみましょう。「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」ですから、最適解を挙げるとすれば徒歩なしのルートでしょう。たとえば、以下のルートになるでしょうか。
▽1日目
ひらふウェルカムセンター07:41→08:00倶知安駅前09:10→10:37小樽駅前11:15→12:29宮の沢駅12:41→13:17札幌駅前13:32→14:22新札幌駅/新さっぽろ駅17:00→18:30栗山駅18:40→19:21岩見沢ターミナル
▽2日目
岩見沢ターミナル07:25→08:04美唄駅前09:50→10:52滝川駅11:45→12:15赤平駅前13:11→14:17富良野駅前
▽3日目
富良野駅11:02→11:58幾寅駅12:13→12:50新得駅15:25→17:03帯広駅17:20→20:10陸別
▽4日目
陸別07:40→09:19北見バスターミナル09:25→10:07女満別空港10:25→11:00網走バスターミナル12:07→13:03斜里バスターミナル14:10→15:35知床五湖
要するに、「実際ルート」と経路はほぼ同じで、富良野の三択でJR代行バス利用を選択する案です。裏を返せば、一行はほぼ「正解ルート」をたどったといえそうです。
難易度は
今回は複数解があり、時間的にタイトな乗り継ぎも少なく、徒歩なしでも乗り切れる設定でしたので、全体としては、平易なお題だったといえそうです。
ルイルイ・蛭子コンビの「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」や「バス旅2019」でも、北海道を舞台にした場合は難易度が低く、過去に失敗はありません。今回も例外ではありませんでした。
北海道のバスは長大路線が多いので、一つ大きなミスをすれば致命傷になりかねません。しかし、現実には札幌近郊以外は路線の選択肢に乏しく、間違えにくいです。今回のお題も、幾寅以降は事実上一本道で、寄り道さえしなければゴール容易な設定でした。
新型コロナウイルス感染症が収まりきらないなかでのロケだからか、全体に余裕を持たせたのかもしれません。越川プロデューサーは「コロナ禍でなかなか旅行に行けない視聴者を意識して、北海道の絶景&グルメをいつもより多めでお届けします」とコメントしており、待ち時間にゆっくり食事を楽しむくらいの時間が取れるよう考慮されていたようにも感じられます。
マドンナの好演光る
そうした余裕あるルートだったにもかかわらず、振り返れば一行は29kmも歩いてしまいました。歩かずに済むはずのルートでこれだけ歩いたのは、それが田中・羽田コンビの持ち味とはいえ、ちょっともったいなかったです。
そのなかで光ったのは、マドンナの北原里英の好演でしょう。NGT48ではキャプテンを任されていただけあって、前向きな姿勢で一行を引っ張りました。
「Z」シリーズはマドンナの個性でチームの雰囲気ががらりと変わります。今回は画面からメンバーの一体感が伝わってきて、安心して見ていられました。
これで田中・羽田一行は8勝6敗と2つの勝ち越しです。新型コロナの影響が残るなか、次回のロケも見通せませんが、楽しみにしたいところです。(鎌倉淳)