テレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅W」の第3弾が放送されました。第2弾に参加した三船美佳、たけうちほのかの両名はそのままで、赤江珠緒に代わって髙木菜那を迎えました。
今回の目標は、愛知県田原市の伊良湖岬から、長野県長野市の善光寺まで、路線バスを乗り継いで3泊4日で到達する、というものです。例によって、この正解ルートを検証してみましょう。
いつものことですが、以下はネタバレ100パーセントです。また、結果論100パーセントです。行ってない筆者が机上で語っているだけです。ご理解のうえ、お読みください。
※以下、掲載時刻は確認しましたが、間違いや勘違いがあると思います。ご容赦ください。また、間違いを見つけましたらご指摘ください。記事は掲載後に加筆・修正することがあります。文中は敬称略です。
「土曜スペシャル ローカル路線バス乗り継ぎの旅W」第3弾 愛知県・伊良湖岬→長野県・善光寺
【放送日時】2024年7月20日(土)18時30分~20時54分(テレビ東京系列、見逃し配信あり)
【出演】三船美佳 たけうちほのか 髙木菜那
【ナレーション】日野聡
実際ルート
最初に、番組で3人が実際に旅したルート(実際ルート)をたどってみましょう。時刻表上の定刻を確認してみました。時刻のはっきりわからなかった部分は筆者による推定です。
▽1日目
伊良湖岬09:45→10:40田原駅前11:10→12:06豊橋駅前12:45→13:20豊川市民病院13:43→14:09国府駅14:25→14:36御油橋西→徒歩8.4km→16:39本宿駅16:55→17:32美合駅17:30(遅延17:40)→18:00東岡崎駅
▽2日目
東岡崎駅06:35→07:45足助08:34→09:16どんぐりの湯前10:19→10:35押山10:38→10:54どんぐりの湯前12:18→12:46根羽16:30→17:17こまんば17:37→18:05飯田駅前
▽3日目
飯田駅前07:15→07:47こまんば08:05→08:29アラヤ08:40→徒歩7.1km→10:08保神11:20→11:53南木曽駅12:44→13:23須原駅13:41→14:03 Aコープ14:57→15:10木曽駒入口16:19→16:35巴淵→徒歩10.8km→19:04奈良井宿(権兵衛橋)
▽4日目
権兵衛橋08:00→08:59塩尻駅前9:00→09:30倉村09:38→10:04松本バスターミナル13:00→四賀支所→徒歩7.8km→15:58明科駅前16:00→16:15やまなみ荘/関屋下17:34→17:43山清路18:38→18:50栃沢→徒歩3.9km→19:50頃さぎり荘
ということで、4日目19時50分ごろに、信州新町(長野市)のさぎり荘まで到達しましたが、その先へ進むバスが見つからずギブアップ。第3弾も失敗に終わり、第2弾に続く連敗となりました。
番組中で気になった部分を検証してみましょう。
※Googleマップのルートは概略です。実際のルートとは異なります。(以下同)
※配信先でGoogleマップが表示されない方は、こちらのサイトでご覧ください。
田口ルート
Wチーム一行は、伊良湖岬を午前09時45分に出発するバスでスタート。乗り継いで豊橋駅に12時すぎに到着しました。
ここで、一行は大きなルート選択を求められます。選択肢は田口(設楽町)、岡崎、浜松の3つ。大きく方向が異なる、文字通り「運命の分かれ道」です。
距離が短そうなのは田口ルートですが、山間部に分け入る道のりで、先の接続が見えません。浜松ルートは、富士山を回り込むことになり迂遠です。
結局、偶然出会ったバス旅ファンから情報を得て、岡崎ルートを選択しました。
このとき、田口ルートを選択したらどうなっていたでしょうか。
▽1日目
伊良湖岬09:45→10:44渥美病院11:16→12:06豊橋駅前13:15→14:48新城市民病院15:42→16:48田口18:05→18:46どんぐりの湯前
1日目に田口を経由して、どんぐりの湯前まで到達できます。後で詳しく説明しますが、今回は1日目にどんぐりの湯に到達できるかが大きなポイントになっていました。田口ルートなら、難なくその目標を達成できていたことになります。
浜松ルートについては省略しますが、愛知、静岡、山梨、長野の4県を跨がる大回りルートなので、冷静に地図を見れば困難であることはわかるでしょう。
岡崎に泊まらなかったら
岡崎ルートを選んだ一行は、途中8km以上の徒歩区間を挟みつつ、18時ごろに東岡崎駅に到着しました。さらに足助に向かうバス便があることを知りますが、それには乗らず、東岡崎での宿泊を選びます。
前回の第2弾で宿探しに苦労した記憶が残り、宿を探しやすい岡崎市内での宿泊を決めたようです。
では、仮に1日目に足助に向かっていたらどうなっていたでしょうか。以下のようにつながります。
▽1日目
東岡崎駅19:10→20:20足助21:19→22:11どんぐりの湯前
22時を過ぎますが、1日目にどんぐりの湯まで到着できます。
どんぐりの湯は、旧稲武町(現豊田市稲武地区)の中心地です。温泉地でもあることから、少ないながらも宿泊施設もあります。ただ、岡崎市内に比べれば宿の選択肢が乏しく、満室リスクがあるのは言うまでもありません。
1日目にどんぐりの湯に泊まっていたら
仮に1日目にどんぐりの湯(稲武)に泊まっていたら、その後の展開はラクになります。たとえば、次のようなルートが選択できます。
▽2日目
どんぐりの湯前08:07→08:23押山08:49→09:37バロー岩村→徒歩7.6km→小野川11:50→12:00東鉄恵那車庫12:20→12:50中津川駅前14:15→14:40馬籠15:00→15:35南木曽駅
▽3日目
南木曽駅→徒歩8.6km→下在2お休み所07:40→08:31木曽福島駅09:21→09:32木曽駒入口09:38→09:54巴淵→徒歩10.8km→権兵衛橋14:10→15:20塩尻駅17:35→17:57広丘駅東口→徒歩3.4km→まつもと医療センター前19:14→19:42松本バスターミナル
▽4日目
松本バスターミナル09:40→10:24四賀支所13:00→13:20明科駅前13:55→14:14関屋下→徒歩5.5km→山清路16:35→16:52さぎり荘→徒歩6km→八幡平19:00→19:55善光寺大門
2日目にどんぐりの湯に泊まると、始発バスで押山へ向かえます。この便は、押山で岩村方面へ乗り継げますので、一行もおそらく岩村へ向かい、恵那を経て中津川に到達していたでしょう。
このルートの場合、中津川駅に昼過ぎに着き、下呂・高山方面に向かうか、実際ルートのように木曽谷に向かうかで悩むでしょう。実際ルートに即して木曽谷へ向かうと仮定したのが上記の乗り継ぎで、その日は南木曽泊まりとなります。
その場合、翌朝早起きして8kmを歩き、大桑村の始発のコミュニティバスを捕まえることができれば、4日目20時ごろに善光寺にゴールできます。
飛騨高山ルート
1日目にどんぐりの湯に泊まり、2日目午後に中津川に着いたなら、下呂から飛騨高山へ抜けるルートも選択肢に入ります。その場合は、以下のようにつながります。
▽2日目
どんぐりの湯前08:07→08:23押山08:49→09:37バロー岩村→徒歩7.6km→小野川11:50→12:00東鉄恵那車庫12:20→12:50中津川駅前13:15→14:17加子母総合事務所前16:43→17:21下呂バスセンター
▽3日目
下呂バスセンター05:58→07:24高山濃飛バスセンター07:40→08:38平湯温泉09:00→09:10中の湯09:43→10:35新島々駅→徒歩3.6km→波田駅12:10→12:22山形村役場12:36→12:51下今井13:06→13:42松本バスターミナル14:15→15:04鹿教湯温泉15:31→16:41上田駅前
▽4日目
上田駅前08:20→08:28信州上田医療センター08:49→09:05ベイシア様前09:37→09:55力石公民館前10:03→10:12総合観光会館10:26→10:53屋代駅12:05→12:26長野松代総合病院12:33→13:27長野駅13:30→13:37善光寺大門
中津川を13時15分に出るバスに乗れば、2日目は下呂で泊まれます。
3日目は安房トンネルを越えて松本に至ります。高山~松本間のバスが予約制になっていますが、これについては後述します。3日目は鹿教湯を経て上田に到達できるでしょう。
4日目は上田から屋代への乗り継ぎが難しいものの、順調にいけば、昼過ぎに善光寺にゴールできます。
岡崎泊が尾を引く
ここまで示してきたように、1日目にどんぐりの湯に到達していたら、2日目以降の日程がラクになり、木曽谷ルートでも飛騨高山ルートでも、比較的容易に善光寺へゴールできていました。
つまり、1日目に岡崎で泊まってしまったことが、最後まで尾を引いてしまったわけです。
田口や足助、稲武のエリアは「奥三河」と呼ばれます。1日目に臆せず奥三河へ足を踏み入れていれば、その後の展開は大きく変わったわけで、もったいないことでした。
高山~松本間バスの扱いは?
さて、上記の乗り継ぎで紹介した高山と松本を結ぶバスは、これまでの「ローカル路線バスの旅」シリーズで何度か登場しています。特急バスながら、高速バスではないということで、乗車が許されてきました。
ただ、2024年4月1日にバスの乗車ルールに変更があり、県境区間で予約制となりました。さらに、7月1日から全区間で予約制となっていなす。したがって、予約制区間において、「ローカル路線バスの旅」での利用ができなくなっています。
ロケが行われたのは6月中なので、利用できなかったのは県境区間のみです。具体的には平湯温泉~中の湯間です。
この区間には平湯温泉~上高地間のバスがありますので、代替は可能です。上記の乗り継ぎも、上高地へのバスを利用する形になっています。なお、中の湯~新島々間のバスは上高地発で予約制ですが、中の湯からは予約不要で乗車できます。
新島々~松本間に路線バスはありませんが、少し歩けば他路線の停留所があり、松本までつながります。また、時間があえば、中の湯で高山発松本行きに乗車できました。
瑞浪ルート
話を東岡崎駅に戻します。岡崎での情報収集で、豊田市内へ向かう乗り継ぎも話題になりました。豊田駅から上仁木を経由して、瑞浪に抜けるルートです。
仮にそのルートをたどった場合は、どうなっていたでしょうか。
▽2日目
東岡崎駅06:35→07:10中垣内07:57→08:23喜多町4丁目08:31→09:50上仁木→徒歩8.3km→大川13:36→13:57瑞浪駅前15:30→16:16上荻之島公民館→徒歩2.8km→武並駅前(→徒歩6km→恵那駅前)
▽3日目
武並駅前08:02→恵那駅前08:50→09:00東鉄恵那車庫10:20→10:50中津川駅前12:12→13:14加子母総合事務所前13:22→13:56白鷺橋14:01→15:29高山濃飛バスセンター15:40→16:38平湯温泉17:00→17:10中の湯18:05→19:23松本バスターミナル
2日目に実際ルートで乗った足助行きバスに乗り、途中で豊田市駅方面へ乗り換えます。そのバスを豊田市駅のひとつ手前の喜多町4丁目で乗り捨ててショートカットすれば、上仁木に9時50分に到着できます。
上仁木から瑞浪駅までは約18kmありますが、途中の大川まで行けばバスがあります。それに乗れれば8km程度の歩きで済みます。
2日目は武並駅泊でもいいですが、さらに6km歩けば恵那市内に入れます。現実にこのルートをたどった場合、宿の問題でおそらく2日目は恵那泊となるでしょう。いずれにせよ、高山経由で3日目に松本まで届きます。後で説明しますが、今回のルートは3日目に松本まで到達していれば、ゴールは容易です。
瑞浪ルートの難点は、豊田市内の乗り継ぎが厳しいことです。念入りに情報収集をしておく必要がありますし、遅延が生じても成り立たなくなります。難易度は高く、机上論にとどまりそうです。
したがって、東岡崎駅からの選択としては、足助方面が正しかったといえるでしょう。
岩村ルート
実際ルートに戻ります。一行は東岡崎駅付近に宿泊し、2日目朝に足助に向かうバスに乗り込みます。
足助で乗り継いで、どんぐりの湯に着いたのは9時過ぎ。10時過ぎのバスで押山に到達し、髙木が走って次のバス停に走り時刻表を確認しますが、夜まで便がないことがわかり、折り返しました。
仮に、ここで岩村方面に進んでいたらどうなっていたでしょうか。
▽2日目
東岡崎駅06:35→07:45足助08:34→09:16どんぐりの湯10:19→10:35押山→徒歩6.9km→本郷口13:58→14:12岩村駅前→徒歩9.3km→小野川16:20→16:30東鉄恵那車庫18:20→18:50中津川駅前
押山から本郷口というバス停まで約7kmを歩き、岩村駅前に至ります。さらに岩村駅から明智鉄道に沿って歩けば、小野川というバス停に到達し、東鉄恵那車庫に行く路線を見つけられます。9.3kmを2時間8分で歩かなければなりませんが、今回の健脚メンバーなら可能でしょう。
岩村ルートで、合計16kmの徒歩を挟むもののの、2日目に中津川駅に到達できます。
2日目が中津川泊になった場合、3日目は、飛騨高山ルートで以下のようにつながります。
▽3日目
中津川駅前06:45→07:47加子母総合事務所前09:19→09:55下呂駅前10:00→11:27高山濃飛バスセンター11:40→12:38平湯温泉13:00→13:10中の湯15:05→16:23松本バスターミナル
先に紹介したルートにも記しましたが、3日目に松本に着いていれば4日目に善光寺に着くことは難しくありません。つまり、押山で引き返さずに進んでいれば、高山経由でゴールすることは可能だった、ということです。三船の「金メダルが見えた」というひらめきは、間違っていなかったわけです。
ただし、3日目に中津川に泊まっても、木曽谷方面に進んでしまうと、実際ルートに収斂します。その場合は、ゴールが難しくなります。
【続きはこちら】
「ローカル路線バスの旅W 第3弾 伊良湖岬→善光寺」の正解ルートを考える【2】選択肢豊富で迷いやすくく