格安航空会社LCCの競争「第2幕」は仙台、中部、鹿児島が舞台。今後の就航地は、広島、松山、宮崎あたりがターゲットか。

航空各社の2013年夏ダイヤが相次いで発表になり、格安航空会社LCCの競争が新しい段階を迎えました。これまでの成田・関西の両空港をハブにした新千歳、福岡、那覇への幹線の争いから、仙台、中部の準ハブを絡めた準幹線の戦いに舞台を移したのです。

2013年夏ダイヤでは、LCC3社で、まずピーチ航空が仙台、新石垣への新路線を開設。次いでジェットスター・ジャパンが中部、大分、鹿児島への就航を発表しました。エアアジア・ジャパンも中部への乗り入れを表明しています。LCCと競合する中堅航空では、スカイマークが仙台からの2路線の就航を発表したうえで、新石垣への就航の意志も表明しています。

ピーチ新路線

全体的な傾向を見ていると、LCC各社が先行者利益を狙って未開拓の拠点空港に先を争って就航する様子が見てとれます。これまでLCCが就航していた拠点空港は新千歳、成田、関西、福岡、那覇が主でしたが、それに続く利用者数のある仙台、中部、鹿児島や、リゾート地として有望な新石垣での先陣争いが見て取れます。

このなかで、とくに注目したいのが、中部-福岡線です。この路線は、この2013年夏ダイヤからジェットスター、エアアジアの2路線が新規就航して、東海地区での存在感を争います。中部-福岡間で優位に立ったほうが、東海地区での知名度を上げることに成功し、中部空港ハブでの地位を固めるでしょう。また、この路線は中堅航空のフジドリームズエアライン(FDA)が運航する小牧-福岡線とも競合します。FDAはLCCではありませんが、大手航空会社よりは手頃な運賃で利用者を獲得してきました。それがジェットスター、エアアジアの参入でどう影響を受けるかが気になります。

では、少し先になりますが、2013年下半期以降の「第3幕」では、争いの舞台はどこに移るでしょうか。

空港乗降客者数ベスト10に入る空港で、羽田・伊丹を除いてLCCが就航していないのは、広島だけになります。となると、広島は「第3幕」の就航地として最有力でしょう。

さらに年間乗降客数150万人以上の空港でLCCの就航が発表されていないのは、宮崎、松山、小松、函館あたりです。これらも「第3幕」の有力就航地と見られます。このうち、新幹線の新規開業を2-3年以内に控えた小松、函館は利用者の伸びが期待できませんので、それ以外の広島、宮崎、松山の3空港が、次のLCC就航先になる可能性の高い空港といえます。

LCC各社ごとに見ていくと、ピーチ航空の就航可能性が高いのは関西-宮崎線です。広島、松山は拠点となる関西空港から近すぎて、可能性はやや低いでしょう。ジェットスターの就航可能性が高いのは成田-広島、成田-宮崎、成田-松山の3路線。ジェットスターは、今回、鹿児島、大分と就航させましたので、エリア集中戦略で成田-宮崎を優先させるかも知れません。ただ、宮崎にはソラシドエアという中堅航空がありますので、大手しか飛んでいない広島への就航を優先する可能性もあります。

エアアジア・ジャパンは、機材がまだ少ないので、地方路線への展開は後回しになると思われます。中部を第2拠点に、中部-札幌線や中部-仙台線など、流動の多い区間を優先するでしょう。国際線を優先する姿勢も打ち出していますので、中部を重視するならば、中部-ソウル線なども考えられるでしょう。

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