フジテレビが金曜プレミアム枠で『世界!極タウンに住んでみる』という番組を放送しました。ノルウェー北極圏の町ロングイヤービエンと、オーストラリアの地下都市クーバーピディに、短期滞在する番組です。
世界最北の町
ロングイヤービエン(ロングイェールビーン)は、ノルウェーの北、北極圏スヴァールバル諸島にある町です。人口は約2,000人で、この規模の町としては世界最北に位置します。年間の平均最高気温はマイナス4.2度。冬季はマイナス20度を下回る日も少なくありません。
かつては世界の果てにある炭鉱町でしたが、現在は観光業も盛んだとか。ただ、観光客が多く訪れるのは暖かい夏で、日が昇らない「極夜」が続く真冬に行く人は多くありません。この番組では、そんな極夜の時期に番組ディレクターが訪れ、家を借りて短期滞在します。
オーストリアの地下都市
一方、クーバーピディは南オーストラリアにある人口3,000人ほどの町で、世界最大級のオパール産地として知られています。夏場は気温40度を超える酷暑の地で、地下に住居を掘って暮らしている人が数多くいます。
こちらも近年は人気の観光地となり、観光業はオパール採掘と並ぶ産業になっているそうです。番組では、酷暑の時期にディレクターが訪れ、地下の家を借りて短期滞在します。
フジテレビ・金曜プレミアム『世界!極タウンに住んでみる』
1月19日(金)19時57分~21時49分
出演者 立川志らく/濱口優(よゐこ)/山村紅葉
『世界一番紀行』と『セカドコ』と
「極寒」と「酷暑」の2つの町にそれぞれ短期滞在し、生活の様子を伝えるという番組。NHK『世界一番紀行』にかつてフジテレビで放映されていた『世界行ってみたらホントはこんなトコだった』の演出を掛け合わせたような番組に感じられました。
その点では二番煎じではあるのですが、それでも「極地」というのは、ネタとして面白いもの。
ロングイヤービエンは『世界一番紀行』でも取り上げられていましたが、NHKと民放とではアプローチが違っていて、『極タウンに住んでみる』のほうが町の様子はよく伝わってきた気がします。気取らないディレクターの取材も身近に感じられました。
何より、映像の撮りにくい「夜だけの時期」でロケをまとめるというのは、なかなか思い切ったなあ、と思います。暗闇が続く毎日がいかに重苦しいか、テレビの向こう側からよく伝わってきました。
シリーズ化されるか
それに比べれば、クーバーピディは砂漠の町とはいえ楽園に感じられます。太陽光が降り注ぐことが、どれだけ大切か。2つの町を交互に切り替える番組構成で、良くわかりました。
ちなみに、ロングイヤービエンへは、オスロから飛行機で約3時間、アデレードからクーバーピディは約2時間です。いずれも飛行機でアクセスできるので、到達すること自体は難しくありません。
『世界!極タウンに住んでみる』が、今後も、シリーズ化されるのか、それとも単発企画で終わってしまうのかはわかりません。
「こんなところに人が住むの?」という場所のルポは、いつの時代も視聴者を惹きつけるもの。たとえ初出の場所でなくても、狙いどころとしては面白いでしょう。取材は大変と思いますが、ぜひ続編を期待したいところです。
個人的な希望を述べれば、次回は南大西洋の孤島・トリスタンダクーニャをぜひお願いします。(鎌倉淳)