京王が有料座席列車の導入を検討。スタイルは「有料特急」「TJライナー」「特別車」のどれになる?

京王電鉄が有料座席列車の導入を検討しています。5月8日に公表したIR情報で明らかにしました。ただ、「有料座席列車の導入の検討」というだけの内容で、それ以上の情報は何もありません。いったい、京王電鉄にどんな「有料座席列車」が登場するのでしょうか。

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収益力向上策として有料座席列車を導入

5月8日に、京王電鉄は「京王グループ中期3カ年経営計画(2015年度~2017年度)~向上と拡大に向けて~」という文書を発表しました。これは一般向けのリリースでなく、株主向けIR情報で、問い合わせ先も同社経理部になっています。

同文書をそのまま引用すると、中期的な取り組みとして、「鉄道事業において京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業の推進など、安全性向上に向けた施策を引き続き推進するとともに、ダイヤ改定や有料座席列車導入の検討などの収益力向上策を行ってまいります。」という表現となっています。

京王電鉄

日経は「有料特急列車の導入を検討」

一方、同日付日本経済新聞では、以下のように記されています。

『新たな中計の期間中に有料特急列車の導入を検討する。訪日外国人の増加をにらみ、土日や祝日の都心から高尾山方面に向かう観光需要を開拓する。平日の夜間帯に「お金を払ってでも座りたい」という通勤客の声にも対応する。導入時期や停車駅、料金などは今後詰める。』

こちらはそれなりに具体的で、平日は通勤ライナー的な役割を担い、週末は高尾山向けの観光列車として運用することを想定しているようです。日経では「有料特急列車」としていますが、経営計画では「有料座席列車」としており、ニュアンスが少し異なります。

「有料特急」の場合は、小田急「ロマンスカー」のような全車指定席の特急専用車両を連想します。これを新宿~高尾山口の観光特急と、通勤ライナーとして使用する、という形です。

ただし、京王線は小田急ほどの路線長はないので、ロマンスカーよりはカジュアルな形になるのかもしれません。たとえば東武東上線の「TJライナー」のように、ロングシートでもクロスシートでも使える新型車両を投入し、状況に応じて座席指定とするという方法もあります。

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一般車両に座席指定車を連結?

現在の京王電鉄のダイヤを見ると、日中ダイヤでも本線特急と相模原線特急の2種の特急が走り、さらに急行、快速という種別も加わります。このうえ新たな有料特急を入れるとなると、ダイヤが窮屈になりそうです。

そのため、新しい「有料特急列車」ではなく、既存の特急に座席指定車を連結する、という方向性も考えられます。京王のIR資料が「有料座席列車」という微妙な表現を用いているのも、そうしたことを念頭に置いているからかも知れません。

一般車両に座席指定車を連結しているタイプの列車としては、名鉄「特別車」や南海「サザン」があります。あるいは、JRのグリーン車も似た形態です。JR中央線にグリーン車が導入されることが決まっていますので、対抗サービスとして特急に「有料座席車両」を連結する形に落ち着く可能性もあります。

新たな種別が登場か

その場合でも、現在の全ての特急に有料座席車両を連結するのではなく、停車駅を絞った新たな優等列車を設定し、その一部車両が座席指定になる、という可能性もあります。いずれにせよ、現在のダイヤを大幅に見直すのは間違いなく、新たな種別が登場する可能性もありそうです。

そのほかにも、新宿駅ホームでの車内整備、料金収受方式、都営新宿線に乗り入れるのか、など課題はたくさんあります。JR中央線のようなホーム延伸まではしないでしょうが、検討する内容は多岐にわたるでしょう。

「有料座席列車」がどのような形になるのかは今後検討され、結論が出るには少し時間がかかりそうです。そのため、実際に有料座席列車が投入されるにしても、しばらく先のことになりそうです。

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