京浜急行電鉄(京急電鉄)が、子会社の旅行会社・京急観光の中核事業を日本旅行に譲渡すると発表しました。現存店舗の多くは日本旅行の店舗となり、京急観光は旅行事業から事実上撤退します。
2018年3月に店舗譲渡
京急観光は京急電鉄の100%子会社で、京急グループの旅行事業を担ってきました。京急電鉄は2017年9月1日に、京急観光の店舗事業と、法人・団体営業部門である外販事業を日本旅行に譲渡すると発表しました。譲渡予定日は2018年2月28日です。
京急観光は、現在9店舗を持ちますが、このうち川崎アゼリア、横浜ポルタ、上大岡、金沢文庫、横須賀、久里浜の計6店舗を日本旅行に譲渡します。これらの店舗は、2018年3月以降、日本旅行の店舗となる見込みです。品川、追浜店は営業を終了し、神田外語学院の店舗については、今後同学院と協議するとしています。
ネット販売拡大で
京急は譲渡の理由として、「ネット販売の拡大などにより、事業環境の厳しさが増している」としています。
トラベルビジョン9月3日付によりますと、京急観光の事業のうち、外貨両替や、羽田空港国際線ターミナル駅の「京急ツーリストインフォメーションセンター」の運営事業は継続します。
しかし、独自の国内パッケージツアー「京急観光ナイスツアー」の造成・販売や、他社パッケージツアーの販売などは終了し、旅行事業から事実上撤退するということです。
事業連携でも合意
日本旅行はJR西日本の子会社です。そのため、京急電鉄としては、旅行事業をJR西日本という他の鉄道会社系列の企業に譲渡する決断をしたわけです。
京急電鉄と日本旅行は、京急観光の事業譲渡と同時に、「事業連携」の基本合意も発表しています。連携の柱は、「誘客拡大」「京急グループへの旅行関連サービスの提供」「インバウンドや沿線活性化に関する情報提供」の3つです。
おおざっぱにいうと、日本旅行としては、京急沿線の顧客を西日本方面に呼び込み、京急としては沿線観光振興で日本旅行の協力を得るのが、それぞれの狙いのようです。
東急はJTBと提携
大手私鉄と大手旅行会社が提携強化した最近の事例としては、東急電鉄とJTBが挙げられます。2015年から2016年にかけて、東急電鉄の「東急旅行センター テコプラザ」が、JTB総合提携店を全面に打ち出した「東急トラベルサロン」となりました。
また、2015年には、東武トラベルとトップツアーが合併して「東武トップツアー」に再編されています。経営環境の厳しい大手私鉄系の旅行会社が他にもあるとすれば、今後もこうした提携や再編が続くのでしょうか。