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JR東日本社長「クレカタッチ決済は導入しない」。相互利用への不参加を明言

出場対応は検討中

JR東日本の喜㔟陽一社長は、クレジットカードのタッチ決済による乗車方法を導入しない方針を明らかにしました。民鉄など11社がすすめる相互利用協定には加わらないことを正式に表明した形です。ただし、他社線からタッチ決済で入った旅客の出場はできるように検討します。

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コード決済を導入

JR東日本は2025年11月12日に、「Suica」で新たなコード決済サービスを導入する予定を明らかにしました。

「モバイルSuica」でコード決済機能を導入し、チャージの上限額を最大30万円に引き上げます。クレジットカードのほか、銀行口座などを通じてチャージすることもできるようになります。残高が満額あれば、一度の決済で30万円までの支払いが可能となります。

山手線E235系

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「タッチ決済の導入予定はない」

いっぽう、首都圏の民鉄など11社は、クレジットカードのタッチ決済による乗車の相互利用に関する協定を締結し、2026年春以降に開始する方針を明らかにしています。

タッチ決済で首都圏の鉄道をまたいで乗車できるようになるわけですが、この協定にJR東日本は加わっていません。

記者会見でこの点を尋ねられたJR東日本の喜㔟陽一社長は、「クレカタッチを導入する予定はございません」と明言しました。

その理由として、「クレカタッチではできないような機能をSuicaが持っていくことによって、Suica1枚で電車、バス、タクシーといった交通機関が利用できるだけでなく、買い物も公共サービスも利用できる、そうした世界観を作っていきたい」と述べました。

「Suica1枚で何でもできるようにするので、クレカは要らない」というわけです。民鉄が進めている「クレカ協定」に、今後も加わらない方針を正式に表明した形です。

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「他の決済手段に鉄道利用は開放しない」

喜㔟社長は、Suicaについて「鉄道に乗れるのが他の決済手段と一番違うところ」としたうえで、「他の決済手段に鉄道利用は開放しない」とも強調しました。

首都圏で生活するなら、頻度はともかくJR東日本に乗らざるを得ません。そのため、首都圏在住者に、Suicaを含む交通系ICカードを持たざるを得ないという状況を維持することで、Suicaの価値を高め、クレジットカードに対抗していく戦略を示したといえます。

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出場には対応へ

ただし、JR東日本は、「クレカ協定」に加わる一部の会社と相互直通運転をしています。そのため、タッチ決済の相互利用が広まれば、クレカタッチで民鉄に乗車した旅客が、直通先のJR東日本の改札口で出られなくなる、といった事態が想定されます。

これについて喜㔟社長は「出られるようなシステムで対応して、お客様に不便にならないようにしたい」と述べ、何らかの対応を検討していることを明らかにしました。

ただ、その方法については、「打ち合わせをしているところ」と、明言を避けました。(鎌倉淳)

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