JR東日本、みどりの窓口大削減の背景。「乗車スタイルの変革」とは?

要するに省力化ですが

JR東日本が、みどりの窓口の設置駅を7割削減する方針を明らかにしました。きっぷのネット販売やチケットレス乗車が普及してきたことが背景にあり、「乗車スタイルの変革」を進めていきます。

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7割の窓口を削減

JR東日本は、特急券や定期券などを販売する「みどりの窓口」を約7割削減すると発表しました。現在、みどりの窓口は440駅に設置されていますが、2025年には首都圏と地方圏で、各70駅程度にまで削減します。今後は、「一定の利用のある新幹線・特急停車駅」や「利用の多い駅を中心」に、「バランスを考慮した配置」にする方針を明らかにしました。

具体的なみどりの窓口の削減対象駅は明らかではありませんが、7割という削減率は非常に大きく、新幹線の停車駅や、首都圏の電車特定区間の主要駅、地方のターミナル駅にしか、みどりの窓口は残されないとみていいでしょう。

窓口の削減目的はいうまでもなく合理化です。ただ、利用者の目線から見て不便になるかというと、必ずしもそうとも言えません。窓口を使わずとも、さまざまなきっぷを買いやすくなってきたからです。

みどりの窓口

きっぷ購入方法の変化

いまさら言うまでもありませんが、利用者サイドからみて、JRのきっぷ購入に画期的な変化をもたらしたのが、インターネット列車予約サービスです。JR東日本は、2001年に「えきねっと」を開設。ネットによるチケット販売を開始しました。操作性などに課題がありましたが、徐々に改善。2021年6月には大規模なリニューアルが予定されていて、UIが刷新されるようです。

チケットレスも大きな変化です。チケットレス乗車は、JR東海のエクスプレス予約が先行していましたが、JR東日本のえきねっとでも、新幹線や在来線にチケットレスで乗車できるようになりました。ネットで購入し、チケットレスで乗車する方法を覚えてしまうと、駅の窓口や券売機できっぷを買って、紙のきっぷで改札口を通ることすら面倒になってしまうものです。

「タッチでGO!新幹線」という、交通系ICカードを使ったチケットレスサービスも登場しました。SuicaなどのICカードで、事前に特急券を購入しなくても新幹線の自由席に乗車できます。2018年に導入され、2021年にサービスエリアを大幅に拡大する予定です。

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環境整備を進めてきた

紙のきっぷを買う場合も、駅の自動券売機で事足りるようになりました。最近の券売機は多機能化していて、通常価格の指定席券などはもとより、株主優待割引や大人の休日倶楽部のきっぷまで購入できるようになっています。

旅行商品のクーポン(乗車票)の受け取りもできますし、話せる指定席券売機を使えば、証明書の必要な、通学定期券などの購入も可能です。

こうした施策により、かつては窓口でなければ購入できなかった種類のきっぷが、窓口以外でも買えるようになったのです。

JR東日本は、みどりの窓口を削減するための準備として、窓口に寄らずともきっぷを買える環境を、長い時間かけて整えてきた、といえるでしょう。JR東日本に限らず、JR他社も、同様の環境整備を進めています。

JR東日本の、みどりの窓口における中長距離のきっぷの購入比率は、2010年には約50%でしたが、2019年度には30%にまで減り、2020年度は20%になったそうです。今後、この割合はもっと低くなるでしょう。

近距離券については、Suicaが広く普及していて、「きっぷを買う」という感覚すらなくなってきています。オートチャージを使えば、券売機で入金する手間もありません。

昔話をして恐縮ですが、イオカードをありがたく使っていた1990年代には、まったく想像できなかった状況です。駅の窓口なんて滅多に使わないので、削減しても問題ない、と考える人も多いのではないでしょうか。

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改札口も無人で対応

JR東日本は、新たな取り組みとして、改札口における窓口の休止時間帯に「お客さまサポートコールシステム」による案内をするとしています。

駅の自動改札機の横には有人窓口があるのが一般的ですが、無人になる時間帯には、インターフォンなどを使って、必要に応じて遠隔で対応するというものです。

改札窓口での主要業務である精算については、精算機を多機能化することで対応。自動精算できないきっぷや、Suicaの入出場処理などを可能にしています。こうした施策で、改札口に係員がいなくても、旅客は自分の手で精算などの作業ができるようになるわけです。

お客様サポートシステム
画像:JR東日本プレスリリース

乗車スタイルの変革

旅客は、駅の窓口に一切立ち寄ることなく、さまざまな列車を利用できるようになっていきます。JR東日本は、これを「乗車スタイルの変革」と呼んでいます。

在来線特急列車では、自由席と指定席の区分を廃止した「新たな着席サービス」も導入しています。このサービスでは、原則として検札はありません。これにより、車掌の業務を減らし、利用者が車掌と接触する機会も減らしているわけです。これも乗車スタイルの変革のひとつでしょう。

JR東日本から見た「乗車スタイルの変革」とは、出札、改札、検札、精算といった、これまで人手に頼っていたきっぷの販売・確認作業を、すべて省力化していく、ということのようです。みどりの窓口の削減は、その一環と捉えたほうがよさそうです。

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利用者には負担増も

これらの施策は、JRにとっての省力化なので、利用者には負担増となる側面もあります。駅の窓口なら、何も考えずに「○時頃の列車に乗って○○に行きたい」と係員に伝えれば買えたきっぷを、自分で検索して買わなければならなくなるからです。

鉄道マニアにはお茶の子さいさいの作業かもしれませんが、列車の知識の乏しい人や、地理に弱い人、日本語を理解しない人などには面倒な話です。出札口にも改札口にも人がいないとなると、不安になる人もいるでしょうし、外国人や障がい者は困ることもあります。

人口減少の時代に、公共交通機関に省力化が不可欠なのは、言うまでもありません。一方で、JRは、全ての人にとって、利用しやすい存在であってあってほしいもの。ハンディキャップのある人や、初めて列車を利用する人にも十分配慮した仕組みを残しておいて欲しいところです。(鎌倉淳)

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