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ジェットスター・ジャパンはジップエアと統合するか。カンタスが撤退

ブランド名も変更へ

ジェットスター・ジャパンから、主要株主の豪カンタスグループが撤退します。これにより、同社はJALが主導する国内資本のLCCとして再出発することになり、ブランド名も変更します。将来的にはジップエアとの統合も視野に入るかも知れません。

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政投銀に株式譲渡

ジェットスター・ジャパンは、JALが50%を出資する格安航空会社LCCです。同社について、JALなど関係各社が、株主構成を見直すと発表しました。

第2位株主で33.3%を出資するオーストラリアの航空大手カンタスグループが、ジェットスター・ジャパンの全株を日本政策投資銀行に譲渡します。

第3位株主で16.7%を出資する東京センチュリーと、JALは、引き続き株式を保有します。これにより、ジェットスター・ジャパンは、JAL50%、政投銀33.3%、東京センチュリー16.7%の出資比率となり、国内資本の格安航空会社LCCとなります。

ジェットスター

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ブランド名も変更へ

「ジェットスター」は、カンタス系列のLCCブランドです。したがって、カンタスの撤退にともない、「ジェットスター・ジャパン」のブランド名も変更します。

2026年7月に関係各社でブランド移行などについて最終合意し、2026年10月に新ブランド名を発表します。2027年6月までに、新ブランドへの移行を完了する予定です。

ジェットスター・ジャパンの当面の運航予定に変更はなく、これまで通り運航されます。コードシェアなどにも変更はありません。

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最終赤字に転落

ジェットスター・ジャパンは、JALやカンタスグループなどの出資により、2011年9月に設立されました。国内では、ピーチ・アビエーションに次ぐ2社目のLCCとして、2012年7月に国内線の運航を開始。2015年2月には国際線にも就航しました。

しかし、就航後は収益面で苦戦。発足当初から増資を繰り返しました。

直近では国内線の採算が厳しいようです。2025年6月期決算では、過去最高の749億円の営業収入(売上高)を挙げたものの、営業利益は15.7億円にとどまりました。純損益は15.4億円の赤字となり、最終赤字に転落しています。

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「まだ厳しい状況が続く」

JALはジェットスター・ジャパンのほか、完全子会社のジップエア・トーキョー、連結子会社のスプリング・ジャパンも傘下に抱え、グループ内にLCCが計3社もあります。

2025年3月期の決算説明会において、JALはグループ内のLCC3社について「税引前利益の予想190億円のうち半分以上がZIPAIRの利益とみている。SPRING JAPANも2024年度で黒字化を達成し、2025年度も利益を伸ばしていく計画。一方、ジェットスター・ジャパンはまだ厳しい状況が続く」と述べていて、ジェットスターの苦境を認めました。

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労使問題でも敗訴

ジェットスター・ジャパンは労使問題も抱えていて、賃金の不利益変更や休憩時間の付与義務違反などで、相次いで経営側が敗訴しています。

今回、カンタスがジェットスター・ジャパンから撤退する理由は明確ではありませんが、最終赤字に転落し、国内線で好転の兆しが見えず、労使関係もこじれて、将来展望が描きづらいという実情が透けて見えます。

ジェットスター・ジャパンは、豪ジェットスター出身の片岡優社長が2025年1月に退任し、コンサル出身の田中正和氏が社長に就任しています。それから約1年というタイミングを見ると、カンタスの撤退は、1年以上前からの既定路線だったようにも感じられます。

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JAL色が強まる

カンタス撤退後のジェットスター・ジャパンで、JALの出資比率は50%にとどまります。しかし、残り50%は非航空系となるので、運営面でこれまで以上に「JAL色」が強まるの確かでしょう。

JALの斎藤祐二副社長は記者会見で、今後のジェットスター・ジャパンについて、国際線を強化する姿勢を示しました。これまでは国内線の比重が高かったですが、短距離国際線を強化して、インバウンドを取り込む姿勢を見せています。

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ジップエアに統合?

前述したように、JALグループには3社のLCCがあります。100%出資のジップエア・トーキョーと、66.7%出資のスプリング・ジャパン、そして50%出資のジェットスター・ジャパンです。いずれも拠点は成田空港です。

3社のこれまでの棲み分けは、ジップエアが主に中長距離国際線、スプリングが主に中国路線、ジェットスターが国内線と短距離国際線でした。

しかし、これらの棲み分けは、スプリングが中国企業との合弁、ジェットスターが豪州企業との合弁という制約のなかで形成されてきたものです。カンタスの撤退でジェットスターが国内資本になれば、ジップエアとの棲み分けの必要性はなくなります。

3社のLCCを、別個の会社として保有していくのは非効率的な面もありそうです。ジェットスターが国際線に軸足を移すのであれば、ジップエアとの事業領域の重なりも大きくなります。

となると、完全子会社で経営状態の良いジップエアを維持し、ジェットスター・ジャパンを吸収する形で統合する可能性は十分にありそうです。(鎌倉淳)

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旅行総合研究所タビリス代表。旅行ブロガー。旅に関するテーマ全般を、事業者側ではなく旅行者側の視点で取材。著書に『鉄道未来年表』(河出書房新社)、『大人のための 青春18きっぷ 観光列車の旅』(河出書房新社)、『死ぬまでに一度は行きたい世界の遺跡』(洋泉社)など。雑誌寄稿多数。連載に「テツ旅、バス旅」(観光経済新聞)。テレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」ルート検証動画にも出演。