格安航空会社LCCのジェットスター・ジャパンが、2015年12月中間決算で、営業損益で初の黒字を計上しました。通期の黒字化も視野に入っているようです。通期黒字化が実現すれば、ジェットスターとしては初めてのことになります。
国際線拡大で利用率も向上
ジェットスター・ジャパンは、日本航空とオーストラリアのカンタス航空が出資した格安航空会社LCCです。朝日新聞2016年2月25日付によりますと、ジェットスター・ジャパンは2015年12月期中間決算で、営業損益が黒字になりました。同社は2012年7月の就航以来赤字続きでしたが、中間期で創業以来初の黒字計上です。
朝日新聞に掲載されたジェリー・ターナー最高経営責任者のインタビューでは、同氏は黒字化の要因として、「国際線を増やして現在5路線になり、飛行機の稼働率が良くなった」ことを挙げています。また、「路線や便数が増えればふつうは座席利用率は下がるが、逆に上がった。ブランド名が認知され、ダイヤが安定したためだ。燃料価格が下がったことも大きい」とも付け加えています。
通期で黒字化できるか
中間期の利益額は公表されていません。航空業界は一般に夏休みを挟む時期が稼ぎ時で、7月~12月の6ヶ月間で黒字化したからといって、下期である1月~6月でも利益を出せるかはわかりません。
ただ、ジェットスターは2015年11月に台北線、2016年3月にマニラ線を開設するなど、国際線の拡大を続けています。日本のLCCの収益源は国際線であり、インバウンド需要の恩恵を受け、燃油価格も低い水準で推移するならば、通期でも業績が改善するのは間違いありません。
実際、ジェットスター・ジャパンの業績は改善傾向です。同社は2015年6月期決算で売上高419億円、営業損失79億円を計上しましたが、その前年の2014年6月期の売上高は290億円、営業損失が107億円でした。2015年は売上高が急増した一方で、赤字額は減少しているわけです。
国土交通省の「特定本邦航空運送事業者に係る情報」という資料でも、2015年度上期(4-9月)の旅客収入はLCC首位の211億円に達しており、前年の158億円から大きく伸ばしています。輸送人キロあたり旅客収入(イールド)も、7.9円となり、前年の7.7より改善しています。
経営的にLCCが根付いてきた
これらの統計を見る限り、ジェットスター・ジャパンは、通期での黒字化も視野に入ってきたといえるでしょう。前年の赤字額が大きかっただけに、2016年6月期決算での黒字転換はまだ微妙ですが、かなりの業績改善が期待できそうです。
LCCでは、すでにピーチが黒字化を達成し、バニラエアも2016年3月期の営業損益が15億円の黒字になる見通しを示しています。ジェットスターも黒字化すれば、国内の3大LCCが揃って利益計上することになります。
それが実現すれば、2016年は、日本で「LCCが経営的に根付いた初めての年」となるかもしれません。