JALがベトナムの格安航空会社(LCC)のベトジェットエアと提携し、共同運航をすることがわかりました。JALはかつてベトナム航空と提携していたましたが、「8.10ペーパー」で身動きできないときにANAに奪われています。提携先を組み替えてのベトナム路線は、どのような形になるのでしょうか。
ベトナム初のLCC
ベトジェットエアは、2011年12月に就航したベトナム初のLCCです。開設後まだ6年ですが、低価格を武器にあっという間にシェアを伸ばし、2016年の国内線シェアは41%に達しました。2017年には国営のベトナム航空を抜いて、国内線航空トップ企業になる可能性が高くなっています。
日本経済新聞2017年7月25日付によりますと、JALとベトジェットエアがアライアンスの枠を超えて提携することを決めたそうです。日本・ベトナム便の共同運航を実施し、ベトジェットエアへの搭乗でJALマイルも貯まるようになります。
ベトジェットエアは日本に就航していませんが、同紙によると、早ければ年内にも就航する可能性があるそうです。就航先は「ベトジェットが強いニャチャン、ダナン、フーコックなどリゾート地と日本を結ぶ路線が有力」とのことです。
ベトナム航空をANAに奪われて
もともと、JALはベトナム航空と提携し、共同運航も実施していました。しかし、2016年にANAがベトナム政府から発行済み株式の8.8%を取得し、新たな提携先となっています。このときは、ベトナム政府が国営企業改革としてベトナム航空の株式を売り出したのですが、JALは「8.10ペーパー」で新規投資ができず、ANAに提携先を奪われた形となりました。
今回、JALは提携先を組み替えてANA・ベトナム航空連合に反撃することになります。JALのLCC提携は、ジェットスターに次いで2社目です。
「JALのチケットでLCCに乗せて大丈夫?」と思われる方もいるかもしれませんが、すでにJALがコードシェアしているジェットスターの豪州便は、フルサービス客向けの機内サービスも実施しています。ベトジェットエア機材の国際線で共同運航する場合も、同様の形になるのでしょう。
JALなのに詰め込み座席?
ベトジェットエアとの共同運航で、日本発着のベトナムリゾート路線ができるなら楽しみです。ただ、心配なのは、ベトジェットエアの機材はA320で180席、A321で230席を配置しており、いわゆるLCC型の詰め込み仕様である点です。
日本~ベトナム路線は5、6時間かかります。JALのチケットで、この詰め込み座席の機材になるのだとすれば、ちょっとしんどいかもしれません。(鎌倉淳)