2018年12月4日より、JALマイレージバンクでルール変更が行われます。「JAL国際線 特典航空券PLUS」が導入され、繁忙期により多くのマイルを使うことで国際線特典航空券が予約しやすくなります。その他、JAL国際線特典航空券のルール変更について、ご紹介しましょう。
マイル追加で予約可能に
「JAL国際線特典航空券PLUS」とは、これまでのJAL国際線特典航空券では予約できなかった場合でも、追加のマイルを使うことで、特典航空券が利用できるサービスです。
繁忙期など、特典航空券が取りにくい時期でも、「PLUS」によって特典航空券が使える枠が広がるわけです。
一方で、ファーストクラスを除く国際線特典航空券でキャンセル待ちの制度はなくなります。つまり、「キャンセル待ちはできないけれど、余分にマイルを使うなら席を確保します」という制度になるわけです。
追加必要マイル数は?
気になるのは、どのくらいのマイルを追加すると、席が取れるようになるのか、という点。これについて、JALは「日程や予約時点の状況によりマイル数が変動」すると説明しています。残席数に連動して、必要マイル数が変わるということです。
具体的には、路線別に必要マイル数の下限と上限が設定されています。東京発エコノミークラスの主な区間の必要マイル数は以下の通りです。
路線 | 基本マイル数 | PLUS利用時 |
---|---|---|
ソウル | 7,500 | ~ 34,000 |
上海 羽田便 | 10,000 | ~ 70,000 |
上海 成田便 | 10,000 | ~ 67,000 |
北京 JL021/JL022便 | 10,000 | ~ 78,000 |
北京 JL021/JL022便以外 | 10,000 | ~ 75,000 |
香港 羽田便 | 10,000 | ~ 67,000 |
香港 成田便 | 10,000 | ~ 64,000 |
台北 羽田便 | 10,000 | ~ 53,000 |
台北 成田便 | 10,000 | ~ 53,000 |
クアラルンプール | 14,500 | ~ 73,000 |
ジャカルタ | 15,500 | ~ 73,000 |
シンガポール | 12,000 | ~ 74,000 |
デリー | 17,500 | ~ 93,000 |
ハノイ | 13,000 | ~ 67,000 |
ホーチミンシティ | 13,000 | ~ 67,000 |
バンコク JL031/JL034便 | 17,500 | ~ 70,000 |
バンコク JL031/JL034便以外 | 13,500 | ~ 70,000 |
マニラ | 10,000 | ~ 60,000 |
グアム | 10,000 | ~ 59,000 |
シドニー | 18,000 | ~ 72,000 |
モスクワ | 17,500 | ~ 128,000 |
ヘルシンキ | 23,500 | ~ 136,000 |
フランクフルト | 23,000 | ~ 135,000 |
パリ | 26,000 | ~ 141,000 |
ロンドン JL042便 | 22,500 | ~ 134,000 |
ロンドン JL042便以外 | 26,000 | ~ 141,000 |
ホノルル | 20,000 | ~ 107,000 |
サンフランシスコ | 25,000 | ~ 131,000 |
シアトル | 25,000 | ~ 118,500 |
シカゴ | 25,000 | ~ 126,000 |
ニューヨーク 羽田便 | 25,000 | ~ 135,000 |
ニューヨーク 成田便 | 25,000 | ~ 128,000 |
ボストン | 25,000 | ~ 125,000 |
*「PLUS利用時」は、基本マイル数に追加のマイル数を加えた合計のマイル数を掲載しています。
最大値は4~7倍程度
これまでは、「アジア1」などのエリア別に必要マイル数がくくられていましたが、今回の改定では路線別に細かく設定されました。同じ目的地でも、羽田便と成田便で必要マイルが異なるほどです。
「PLUS」利用時の追加マイルの最大値は、かなり高めに設定されています。路線にもよりますが、おおむね基本マイルの4~7倍程度が最大値です。
たとえば、成田からバンコクへ行く場合(JL031/JL034便除く)、片道の基本マイルは13,500。それが、PLUSの場合、片道最大70,000マイルになります。往復だと140,000マイルです。
バンコクへの往復特典航空券が14万マイルなんて、これまでの感覚からすれば腰が抜けそうです。マイルインフレもきわまれり、という感じでしょう。
ただし、基本マイルは13,500ですから、27,000マイルでバンコクを往復することも可能です。繁忙期はマイルが値上がりし、閑散期はこれまで通り、と考えるのがよさそうです。
「PLUS」の導入にあわせ、JAL国際線特典航空券の利用制限期間がなくなり、1年365日、空席があれば特典航空券を使うことができるようになります。
必要マイル数が少なくなる区間も
上述したように、必要マイル数は、エリアごとの設定から路線ごとの設定になります。これにより、区間によっては必要マイル数が少なくなることがあります。
たとえば、日本発着のシンガポールへの基本マイル数は片道12,000マイルで、これまでの片道17,500マイルより5,500マイルも少なくなっています。バンコクの13,500マイルよりも少ないのが特徴的です。
ヨーロッパでは、フランクフルトへの基本マイルが23,000と抑えめで、ヘルシンキの23,500よりも少なくなっています。ただし、最大マイルはヘルシンキのほうが少ないです。距離だけでなく、航空券の需給を勘案して必要マイル数が決められているようです。
利用区間は、これまで「国際2区間、国内1区間」まででしたが、今後は「国際1区間、国内1区間」となります。国際線の日本乗り継ぎ利用ができなくなります。バンコク発、成田経由、ニューヨーク着、といった形の特典航空券がなくなります。
有効期間についても変更があり、これまでの国際線特典航空券は1年間有効でしたが、今後は当該便のみに限定されます。予約変更も不可となります。
「裏ワザ」封じ
今回のJALマイレージ制度の変更は、航空券価格とマイル必要数を連動させようと試みている様子がうかがえます。いままで、必要マイル数は搭乗距離におおむね比例していたのですが、これからは航空券価格に比例していく、という趣旨なのでしょう。
また、国際線利用を1区間のみに限定したり、有効期間を当該便のみに限定し、予約変更不可とすることで、「裏ワザ」的な使い方を封じています。
かつては「マイルをしゃぶり尽くす」というような表現もあったほど、マイレージ制度には裏ワザ的な使い方が豊富でしたが、これまでにひとつひとつ潰されてきました。今回のルール変更でも制約が増えて、裏ワザに詳しいマイラーには厳しくなりそうです。
マイルを「お得に使う」という観点から見れば、改悪と言わざるをえないのが、今回のルール変更です。
休暇の取りにくい人にはメリット
ただ、たくさんマイルを使えば繁忙期でも特典航空券が取れる、というのは、悪い話とはいえません。利用制限期間もなくなりました。
サラリーマンのように休暇が取れる時期が限られている層には、「たくさんマイルを使えば繁忙期でも特典航空券の予約が取れる」というのはメリットのある制度変更でしょう。
マイルが溜まっていても、特典航空券の予約が取れずに使えない、とぼやいていた方には、JALマイレージバンクの新ルールは、空の旅の機会を増やしてくれるかもしれません。(鎌倉淳)