群馬県のほたか牧場スキー場が、2016-2017年シーズンを最後に営業終了する見込みとなりました。指定管理者として運営する武尊山観光開発が明らかにしました。
ボーダー向けのスキー場
ほたか牧場スキー場は、群馬県片品村にあります。総面積94ha、コース数11、標高差380m、最長滑走距離3000mという、比較的規模の大きなスキー場です。最近はスノーパークに力を入れていて、訪れる客の大半はスノーボーダーになっていたようです。
開業は1979年。国の「大規模観光レクリエーション地区」の認定を受けて、群馬県が開発を主導しました。スキーバブル期の1993年には約8万7000人の入り込み客がありましたが、スキー離れとともに客足が減り、2015年シーズンの入り込み客は3万9000人程度、雪不足だった2016年シーズンの入り込み客はさらに少なかったようです。
写真:ほたか牧場スキー場ホームページより
老朽化が目立つ
武尊山観光開発は2006年度からほたか牧場の指定管理者となってきましたが、最近は赤字続きで、2017年度以降を辞退。客足が伸び悩んでいることもあり、営業終了という結論になったようです。
最近訪れた人に聞くと、「パークは充実しているけれど、リフトなどの老朽化が目立っていた」という話もあります。群馬県の「指定管理者による公の施設の管理運営状況」の資料にも、「改善すべき課題」として「老朽化している施設等の早期改修」と記されています。
開業から40年近く、バブルのピーク時からも20年以上が経過し、設備更新をしなければならない時期にきているものの、利用者は伸びず、運営も赤字で、そのうえ設備投資など採算にあわない、ということなのかもしれません。
最後のシーズンとなる今冬は、12月17日にオープンを予定し、「BOKUJO38年間ありがとうキャンペーン」を実施するとのことです。
ほたか牧場営業終了後の2018年シーズンには、同系列のオグナほたかスキー場に、大規模なスノーパークがオープンする予定。武尊山観光開発としては、ほたか牧場を閉鎖する一方で、その客をオグナに誘導したい、ということのようです。
スキー場利用者数は回復基調
ところで、スキー場の利用者数は、2010年ごろを底に回復傾向にあります。訪日外国人の増加と、スキーバブル世代による子連れゲレンデ回帰などがその背景にあるようです。
たとえば、上越線の越後湯沢~ガーラ湯沢間の輸送密度は、2006年度には 646だったのが、2014年度には1091にまで達し、スキー場利用者数の回復傾向を示しています。
スキー場の正確な利用者数は外部からはなかなかわかりませんが、鉄道輸送の統計をみると、ガーラ湯沢の利用者が急回復している姿がうかがえます。
日帰り可能な立地だが
いっぽうで、最近のスキー利用者は、大規模ゲレンデやアクセス性に優れたゲレンデに集中する傾向があり、規模が小さかったり、不便だったりするスキー場では、利用者の回復が遅れているとも聞きます。
ほたか牧場のある片品村の統計をみると、村全体のスキー場入り込み客は、1995年に172万人を記録してから右肩下がりが続き、2011年に67万人にまで落ち込みました。2014年に73万人にまで回復していますが、ガーラなどに比べると、利用者の回復が遅れているようです。
クルマの所有率が下がっていて
片品村は首都圏から近く、クルマがあれば日帰りも可能な土地です。そのため、本来、「アクセス」が悪い場所ではありません。
しかし、スキーバブルの頃とちがい、いまは都市部でクルマの所有率が下がっていますし、スキー場を訪れる客層も高齢化しています。慣れない雪道をマイカーやレンタカーで行くよりも、新幹線や飛行機で気軽にアクセスできるスキー場が好まれているのかもしれません。
「スノーパーク天国」のほたか牧場が閉鎖されるのは残念ですが、片品村には、尾瀬岩鞍や尾瀬戸倉、かたしな高原、丸沼高原、など魅力的なスキー場がずらりと並びます。2013年に椎坂トンネルが開通し、以前よりはアクセスが容易になりましたし、より多くのスキー、スノボ客に訪れて欲しいところです。(鎌倉淳)