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北陸新幹線敦賀延伸、関西~北陸間で開業効果乏しく。輸送密度は横ばいで

首都圏~北陸には開業効果

北陸新幹線の敦賀延伸開業後、年間を通して初めての輸送密度が発表されました。関西~北陸間の利用者数には大きな増減がなく、開業効果に乏しいことがうかがえます。JR西日本の発表資料から、読み解いていきましょう。

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北陸線は8~16%の減少

JR西日本の発表によりますと、JR北陸線の2024年度の輸送密度は、米原~近江塩津間が9,281、近江塩津~敦賀間が22,554です。それぞれ、対前年度比で約16%と約8%の減少となりました。

また、湖西線の輸送密度は山科~近江塩津間で33,034となり、対前年度比でみると、ほぼ横ばいです。

いっぽう、2024年3月に新規開業した北陸新幹線の敦賀~福井間の輸送密度は19,456、福井~金沢間は21,443となっています。

北陸線時代の輸送密度(2023年度)は、敦賀~福井間が25,581、福井~金沢間が23,829でしたので、それと比べると、10%と14%の減少となっています。ただ、北陸線時代は、特急と在来線をあわせた数字ですので、新幹線だけになった今回の数字とは、単純比較できません。

北陸新幹線敦賀駅e7系

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ハピラインふくいの輸送密度

ハピラインふくい(敦賀~大聖寺)の2024年度の利用者数は21,060人でした。平均輸送人キロが公表されていないので輸送密度はわかりませんが、仮に20人キロと仮定すると、輸送密度は約5,000です。ハピラインふくいの経営計画によれば、2019年の輸送密度が5,600となっていますので、5,000~6,000くらいの見立てで大きくは間違っていないでしょう。

ハピラインのうち、敦賀~武生間は利用者が少ないので、敦賀~福井間の輸送密度を4,500、福井~金沢間の輸送密度を5,500と仮定してみます。その場合、北陸線の在来線特急の2023年度の輸送密度は、敦賀~福井が約21,000、福井~金沢が約18,000だったことになります。

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輸送密度の変化

北陸線・湖西線の、新幹線開業前後の輸送密度の変化をまとめると、以下のようになります。

北陸線 米原~近江塩津 11,048→9,281(16%減)
北陸線 近江塩津~敦賀 24,572→22,554(8%減)
湖西線 山科~近江塩津 33,177→33,034(微減)
特急/新幹線  敦賀~福井   21,000→19,456*(8%程度の減少)
特急/新幹線  福井~金沢   18,000→21,443*(20%程度の増加)
*は新幹線

特急利用者数については概数なので、細かい数字はともかくとして、敦賀~福井間に関しては、新幹線になって利用者が数パーセント減少しているようです。北陸線の近江塩津~敦賀間の利用者が8%減となっていることからも、敦賀~福井間で、特急/新幹線の利用者が減少したのは確かでしょう。

いっぽう、福井~金沢間の利用者は増加しています。これは、福井県北部から首都圏への旅行者(あるいは逆)が、従来の米原経由から、金沢経由に移ったことが理由でしょう。加えて、首都圏方面発着の新線開業効果が重なったことが考えられます。

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関西~北陸間に変化なし

湖西線の利用者には、増減がほとんど生じていません。他路線をみても、2023年度から2024年度の輸送密度に大きな差はありません。つまり、関西~北陸間の鉄道利用者数の増減は、他路線と同様のトレンドの範囲内といえます。大きな増加も減少もなく、横ばいです。

関西~北陸間に関しては、新幹線開業効果が見られない一方、敦賀での乗り換えの発生による利用者離れも起きていない、ということです。(鎌倉淳)

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