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「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第23弾 群馬~長野を検証する【1】少なかった選択肢

慌ててもしょうがない

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第23弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、群馬県のロックハート城から、長野県の上田城で競う企画です。勝敗を分析してみました。

以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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なでしこ2人が参加

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。

2025年3月26日に放送された第23弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、群馬県のロックハート城から、長野県の上田城まで乗り継ぎ対決しました。

途中のチェックポイントは、伊香保温泉、れいわイチゴ園、下仁田駅、軽井沢アイスパーク、蓼科牛いっとうの5か所です。

バスチームのメンバーは、太川陽介、澤穂希、丸山桂里奈。鉄道チームのメンバーは村井美樹、袴田吉彦、山崎樹範です。なでしこジャパンのW杯優勝メンバー2人が、バスチームに参加しました。

バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも15,000円までタクシーが利用できます。さらに、チェックポイントに先着すると1,000円のボーナスがもらえるというルールも設定されていて、うち1か所の、伊香保温泉は3,000円とされました。

バスVS鉄道対決旅第23弾
Ⓒテレビ東京

ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅 春の群馬~長野!美食&名湯攻略SP
【出演】太川陽介、澤穂希、丸山桂里奈、村井美樹、袴田吉彦、山崎樹範
【放送日】2025年3月26日 18時25分~22時04分(テレビ東京系列、見逃し配信あり)

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バスチームの実際ルート

まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。☆は獲得したチェックポイント、★は獲得できなかったチェックポイントです。

▽1日目
ロックハート城前09:10→09:20中山本宿09:25→09:47中之条駅→中之条駅南→中之条駅→徒歩2.3km→10:57伊勢町口11:14→11:48湯中子/湯中子会館12:00→12:16石段街口(★-500円)13:11→13:42渋川駅前13:56→14:40前橋駅15:15→15:43辻→徒歩2.5km→16:24れいわイチゴ園(☆1,000円)17:50→徒歩2.5km→18:19城南工業団地入口18:36→18:59前橋駅20:00→20:40高崎駅

▽2日目
高崎駅06:08→タクシー5,500円+徒歩、計26km→08:53中島09:05→09:34下仁田駅(★)12:04→12:38初鳥谷→タクシー4,000円、11.0km→軽井沢アイスパーク(★-300円)13:45→タクシー5,700円+徒歩、計19km→15:46佐久平駅16:21→16:51茂田井中央→徒歩1km→17:10頃蓼科牛いっとう17:43→徒歩1.5km→17:55立科町役場17:58→18:25大屋駅前18:31→18:52松尾町→徒歩0.8km→上田城

最終局面は、上田城近くの松尾町バス停から歩いたようです。ゴール時刻は19時10分ごろでした。

※Googleマップのルートは概略です(以下同)。
※配信先でGoogleマップが崩れる場合は、こちらをご覧ください。

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鉄道チームの実際ルート

つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogle Mapにより測定しています。

▽1日目
ロックハート城09:00→徒歩+タクシー1,500円、計7.4km→09:56沼田駅09:58→10:19渋川駅→徒歩3.6km→あんず調剤薬局→タクシー2,700円+徒歩、計6km→伊香保温泉(☆3,000円)13:08 →徒歩9.2km→15:01渋川駅15:03→15:16新前橋駅15:19→15:22前橋駅→徒歩1.1km→15:41中央前橋駅15:45→16:05樋越駅→徒歩2.9km→16:45頃れいわイチゴ園(★)19:00頃→徒歩2.9km→19:44樋越駅19:47→20:08中央前橋駅→徒歩1.1km→前橋駅20:29→20:44高崎駅21:01→22:03下仁田駅(☆1,000円)

▽2日目
下仁田駅08:05→08:13千平駅→徒歩1.4km→08:35道の駅しもにた(☆1,000円)09:49→徒歩1.4km→09:56千平駅10:21→10:30下仁田駅→タクシー9,500円+徒歩、計28.5km→11:45軽井沢アイスパーク(☆1,000円、-300円)13:01→タクシー3.8km、2,000円→13:27中軽井沢駅13:38→14:03滋野駅→徒歩2.5km→セブンイレブン信州北御牧村店→タクシー4,000円+徒歩、計8.0km→15:45蓼科牛いっとう17:05→徒歩+タクシー1,000円、計10.5km→18:55頃滋野駅19:00→19:14上田駅→徒歩1km→上田城

鉄道チームは、全体にわたって先手を取っていましたが、終盤にタクシー代が尽きて減速してしまいました。上田駅に到着したのは19時14分で、歩いて上田城に到着したのは、19時25分ごろです。バスチームに15分ほどの差で敗れてしまいました。

結果として、バスチームが前回に続き、3連勝。鉄道チームは3連敗となりました。

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バスチームの検証

では、両チームのルートを検証してみましょう。最初はバスチームです。

バスチームは、1日目、ロックハート城前のバス停から中山本宿を経由して、中之条駅に至ります。ここから高速バスの下道区間を利用しようと目論みますが、伊香保温泉で降車できないことを知り、断念。2kmほど歩いた伊勢町口から湯中子に至るバスを見つけ、事なきを得ました。

うまく乗り継いだように見えましたが、じつは、中山本宿からのバスを、中之条駅で降りなければ、もう少し上手に乗り継ぐことができました。

▽1日目
中山本宿09:25→09:57日赤病院11:07→(伊勢町口)→11:48湯中子/湯中子会館12:00→12:16石段街口

バスチームが伊勢町口から乗車したバスは、中山本宿からのバスと日赤病院で乗り継げます。番組を見ていると、草津と伊香保とを結ぶ高速バスの下道利用ができると思い込み、その利用を前提として聞き込みしてしまったため、日赤病院での乗り継ぎを聞き出せなかったように感じられました。

最初から、「高速バスは利用できない」という前提で聞き込めば、中山本宿で乗車したバス運転士から、日赤病院乗り継ぎで湯中子へ向かうルートを聞き出すことは難しくなかったでしょう。その点では、太川の思い込みよるミスといえます。

ただ、その後、中之条駅で情報収集をして、伊勢町口から乗車して挽回したことは、お見事でした。

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前橋駅14時45分発に乗れていたら

バスチームは第1チェックポイントをクリアした後、渋川駅でバスを乗り継ぎ、前橋駅に14時55分頃に到着しました。案内所で、第2チェックポイントへのルートを聞き出して15時15分発のバスに乗車し、辻という停留所で降車しました。

第2チェックポイントからの帰路は、城南工業団地入口からのバスに乗って前橋駅に戻っています。では、往路も城南工業団地行きのバスはなかったのでしょうか。

調べてみると、前橋駅から城南工業団地入口へのバスは、14時45分に出発したばかりでした。いっぽう、渋川駅からのバスの前橋駅到着時刻は、定刻なら14時40分です。つまり、時刻表上は乗り継げます。

実際には、渋川駅からのバスが遅れたようですので、机上論にとどまりますが、もし間に合ったなら、以下のように乗り継げます。

▽1日目
渋川駅前13:56→14:40前橋駅14:45→15:05城南工業団地入口→徒歩2.5km→15:40頃れいわイチゴ園(☆1000円)

実際ルートでは、イチゴ園に到着したのは16時20分すぎでしたので、それより40~50分程度は早く到着できたでしょう。その場合、帰路も1本早いバスに乗れていた可能性があります。次のようになります。

▽1日目
れいわイチゴ園17:00→徒歩2.5km→城南工業団地入口17:32→18:03前橋駅18:30→19:15高崎駅

このように、高崎駅に19時15分に到着できます。実際ルートより約1時間半早いです。

ただし、バスチームが目指していた安中行きのバスは、18時55分発が最終便なので、間に合いません。高崎から、他にめぼしい路線はなく、1日目にさらに先に進むのは困難でしょう。

つまり、バスチームは、どんなに急いでも、1日目は高崎駅に宿泊するほかなさそうです。仮に、前橋駅で城南工業団地入口行きのバスに乗れたとしても、その後は実際ルートに収斂していたことになります。

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下仁田までの別ルートはなかったか

2日目のバスチームは、早朝、一気にタクシーで富岡市付近に進み、バス停を探しながら歩いて下仁田町内に入りました。下仁田町内で中島というバス停を見つけ出し、同町のコミュニティバスで下仁田駅に達します。

しかし、高崎市内には路線バスが走っていますし、早朝時間帯なら運転している路線もあります。

調べてみると、たとえば以下のようなルートで下仁田方面へ乗り継げます。

▽2日目
高崎駅西口06:30→07:10高崎産業技術専門校07:48→08:12吉井駅前→タクシー16.7km、概算6,000円→中島09:05→09:34下仁田駅

高崎駅を06時30分に出るバスで高崎産業技術専門校に至り、そこで吉井エリアのコミュニティバスに乗り継ぐと、吉井駅まで到達できます。吉井駅から中島までは16.7kmで、タクシーなら概算6,000円です。実際ルートでバスチームが高崎駅から使ったタクシー代は5,500円ですので、ほぼ賄えます。

すなわち、高崎駅から吉井駅までバスを乗り継げば、下仁田に至る過程の歩きを、ほぼ全て省略できていたことになります。

下仁田にもっと早く着いていたら

実際のバスチームは、富岡市内で路線バスを見つけられず、下仁田町に入って中島バス停に行き当たりました。ちょうど09時05分に出るバスがあり、下仁田駅に達します。

高崎からのタクシーにもっと長い距離を乗っていれば、中島をもう少し早い時間に出るバスに乗ることもできます。しかし、下仁田駅の先着ボーナスは取れませんので、急ぐ必要はありませんでした。

いずれにしろ、下仁田駅12時04分発の初鳥屋行きバスで収斂しますので、中島09時05分発のバスに間に合えば問題ありません。2日目朝のバスチームは、歩く距離が長くなりましたが、時間的なロスはなかったようです。

参考までに、下仁田町のコミュニティバス路線図を掲載しておきます。

下仁田町バス路線図
画像:下仁田町

 
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横川ルートは?

下仁田駅からのルートについては、初鳥屋行きのバスのほか、下仁田駅から横川駅へ向かい、横川・軽井沢間のバスに乗るというルートも思い浮かびます。

その場合、以下のようになります。

▽2日目
下仁田駅→タクシー21.3km、概算8,500円→横川駅12:05→12:39軽井沢駅12:50→13:26風越公園→徒歩0.2km→軽井沢アイスパーク

このように、横川駅12時05分発のバスに乗れば、軽井沢アイスパークに13時30分ごろ到着できます。

ただ、下仁田駅から横川駅までタクシーを全額乗ってしまうと8,500円くらいかかります。そのため、実際ルートと同様、タクシー代を4,000円に収めようとするなら、乗車できるのは半分くらいです。

つまり10kmを歩くことになりますので、下仁田駅を10時頃には出ないと間に合いません。現実にバスチームが下仁田駅に到着したのは9時半すぎなので、時間的に間に合う可能性があるものの、飲食店が空いていなかったようなので、グルメミッションはできません。そのため、下仁田駅を10時に出発するのは、やや無理がありそうです。

実際ルートでタクシーを使った初鳥屋~軽井沢アイスパーク間の距離は11kmなので、それと比較しても、横川ルートは「バスのない区間」の距離が長すぎます。結論として、横川ルートには優位性がありません。

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中軽井沢ルート

実際ルートに戻りましょう。バスチームは、初鳥屋からタクシーで軽井沢アイスパークに向かい、ミッションをクリアした後、中軽井沢駅に向かわずに、直接佐久平駅を目指しました。

仮に、中軽井沢方面へ向かっていたら、どういう乗り継ぎがあったでしょうか。

▽2日目
軽井沢アイスパーク→風越公園13:49→14:04中軽井沢駅14:23→14:35信濃追分駅→タクシー13.0km、概算6,100円→佐久平駅16:21→16:51茂田井中央

このように、信濃追分駅まではバスで行けますが、そこで途切れてしまいます。隣の御代田駅前まで行けば佐久平駅までのバスがありますが、1日1便だけで、時間があいません。つまり、信濃追分駅から佐久平駅までタクシーに乗るほかありません。その距離は13kmです。

中軽井沢ルートの問題点

軽井沢アイスパークから佐久平駅までは19kmありますので、それに比べると、中軽井沢ルートなら、6kmほど歩く距離を縮められたでしょう。実際ルートと同じく、タクシー代を4,000円とすれば、2,000円ほどタクシー代が不足するだけなので、歩く距離は4km程度で済みます。

歩く距離が4kmならば、信濃追分駅に14時35分に着けば、佐久平駅16時21分発の立科方面行きのバスに間に合います。つまり、徒歩距離を減らしたうえで、佐久平駅で実際ルートに収斂するわけです。

そう考えると、中軽井沢ルートがベターに感じられますが、現実には、信濃追分駅でタクシーを捕まえられるか、わかりません。このルートを選択したとしても、タクシーが見つからずに苦戦する可能性がある、ということです。

いっぽう、中軽井沢駅付近にはタクシー会社があります。そのため、現実的にいえば、アイスパークから中軽井沢駅までバスに乗り、中軽井沢駅から佐久平駅までタクシーに乗るのが、この局面の最適解でしょうか。

▽2日目
軽井沢アイスパーク→風越公園13:49→14:04中軽井沢駅→タクシー17.1km、概算7,600円→佐久平駅16:21→16:51茂田井中央

14時04分に中軽井沢駅に到着し、佐久平駅を16時21分発のバスに乗ります。タクシー代は上記概算の7,600円もありませんので、実際には7km程度を歩かなければならず、時間的にはギリギリです。

いずれにせよ、軽井沢エリアから佐久エリアの移動はタクシーを使うほかなく、それを見抜いて、早めにタクシー利用を決断した太川の判断は正しかったといえそうです。

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最終バスに乗り遅れていたら

実際ルートに戻ります。バスチームは第5チェックポイントのミッションを終えた後、立科町役場へ急ぎ、17時58分のバスに乗り込みました。番組では、これが最終バスとのことでしたが、仮に乗り遅れていたらどうなったいたのでしょうか。

▽2日目
立科町役場18:31→18:58丸子駅前19:40→20:23松尾町

このように、丸子駅前を経由すれば、上田市内までバスに乗れます。ただし、上田城のゴールが20時30分頃になるので、鉄道チームより1時間以上遅くなり、敗退していたでしょう。

それでも、今回は20時30分でもリタイアにはならずに、ゴールはできていたとみられます。上田駅から東京駅へ向かう最終の新幹線は22時ごろまであり、出演者やスタッフが当日中に帰京できるからです。

バスチームの振り返り

バスチームを全体に振り返ると、選択できる路線そのものが少ないため、決断を求められる局面はほとんどありませんでした。1日目は高崎周辺に泊まるほかなさそうですし、2日目は下仁田から初鳥屋へのバスに乗るほかありませんでした。

あえてポイントを挙げれば、2日目の下仁田のミッションでしょうか。初鳥屋へのバス以外に選択肢が見当たらないので、すき焼きに手こずって乗り遅れたら、タクシーで軽井沢を直接目指すほかなく、最終局面の状況はかなり厳しいものになっていたでしょう。

それをクリアしたら、あとは、第5チェックポイントの焼肉ミッションにどのくらいの時間がかかるかが勝負の分かれ目になっていました。短時間で終えて立科町役場17時58分のバスに乗れれば勝利の可能性がありますが、それを逃すと勝ち目は薄い状況となっていました。

その意味でいえば、バスチームの勝因は、第5チェックポイントの「牛肉の部位当てクイズ」を滞りなく終えられたことと言えそうです。

【続きはこちら】
バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第23弾 春の群馬~長野を検証する【2】

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