「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第21弾 秋田~青森を検証する【2】挽回方法はなかったか

5連敗なんて言ってごめんなさい

「バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅」第21弾のルート検証、ここからは鉄道チームの検証です。

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「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第21弾 秋田~青森を検証する【1】

バスVS鉄道21弾
Ⓒテレビ東京

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鉄道チームの検証

最初に、鉄道チームの乗り継ぎを再掲しておきます。以下のようになっていました。

▽鉄道1日目
大館空港11:30→徒歩2.8km→12:10縄文小ヶ田駅12:14→12:20鷹巣駅/鷹ノ巣駅13:15→13:33大館駅(☆1,000円)13:48→徒歩1.8km→セブンイレブン大館大田面→タクシー6.1km、2,470円→大館・小坂鉄道レールバイク15:25→タクシー5.1km、1,970円→15:35ニトリ大館店→徒歩2.7km→16:32大館駅17:07→17:49弘前駅→徒歩1.7km→18:04川丁(★)20:27→徒歩1.7km→弘前駅21:14→22:29鰺ヶ沢駅→徒歩1.2km→22:50ホテルグランメール山海荘(☆1,000円)
タクシー代12,560円残

▽鉄道2日目
山海荘08:00→徒歩1.8km→海の駅わんど→徒歩1.1km→10:08鰺ヶ沢駅10:31→10:59五所川原駅/津軽五所川原駅12:00→12:45津軽中里駅→タクシー19.2km、5,530円→13:10十三湖(☆1,000円)14:03→タクシー16.8km、4,540円+徒歩2.4km、計19.2km→14:51津軽中里駅14:53→15:31津軽五所川原駅→徒歩5km→ENEOS七ツ館付近16:30→タクシー8km、3,490円→徒歩2km→17:15大釈迦駅17:18→17:33新青森駅→徒歩3.2km→18:10ごろ青森フェリーターミナル

鉄道チームは、最初に大館能代空港から縄文小ヶ田駅まで歩き、秋田内陸縦貫鉄道12時14分発の列車を捕まえました。鷹ノ巣駅での接続は悪かったものの、乗り継いで大館駅に13時33分に到着。先着ボーナス1,000円を確保しました。

大きなポイントとなったのは、ミッションの選択です。鬼軍曹は秋田犬ミッションを警戒し、短時間で確実に終わりそうな絶景ミッションを選択。ところが、駅から8kmも離れた場所へ行くことになってしまいました。

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秋田犬ミッションを選択していたら

仮に、ここで秋田犬ミッションを選択していたらどうなっていたでしょうか。ミッションを1時間程度で片づけたとして、次のように乗り継げます。

▽1日目
13:33大館駅15:28→16:11弘前駅→徒歩1.7km→16:30川丁(☆3,000円)→徒歩1.7km→弘前駅18:46→20:00鰺ヶ沢駅→山海荘(☆1,000円)

大館15時28分発の弘前方面行き列車に乗ると、第2チェックポイントの川丁には16時30分ごろに到着し、先着ボーナスを獲得できます。ミッションを順調にこなせば、弘前駅18時46分発の五能線に間に合い、鰺ヶ沢駅には20時に到着します。

この時間なら、ヒラメ丼を提供するお店がまだ開いていますので、第3チェックポイントのミッションも終了できます。すると、翌朝は始発で鰺ヶ沢駅を出発できるでしょう。その場合、2日目は、順調にいけば以下のように乗り継げます。

▽2日目
鰺ヶ沢駅06:00→06:27五所川原駅/津軽五所川原駅06:35→07:06津軽中里駅→タクシー19.2km、5,530円→07:40十三湖(☆1,000円)09:00→タクシー19.2km、5,530円→津軽中里駅09:49→10:26津軽五所川原駅/五所川原駅11:06→11:33川部駅11:47→12:19新青森駅→タクシー3.2km→12:40ごろ青森フェリーターミナル

すべてが順調にすすめば、ほとんど歩かずに、時刻表上は12時40分ごろのゴールが可能です。もちろんこれは机上論で、すべてがうまくいくとは限りませんが、1日目に秋田犬ミッションを選んでいれば、鉄道チームが圧勝できる可能性があったということです。

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レールバイクを徒歩で往復していたら

しかし、現実問題として、鉄道チームはレールバイクのミッションを選択してしまいました。その選択は変えられないとして、大館駅からレールバイクまで徒歩で往復していたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
大館駅13:40→徒歩7.3km→15:20小坂レールバイク16:20→徒歩7.3km→18:00大館駅18:42→19:24弘前駅→徒歩1.7km→19:45川丁(★)22:00→徒歩1.7km弘前駅

▽2日目
弘前駅05:40→06:55鰺ヶ沢駅(☆1,000円)

このように、1日目、大館駅18時42分発の弘前行き列車に乗れれば、第2チェックポイントのミッションには間に合いそうです。その日は弘前泊となりますが、翌朝、五能線の始発列車に乗れば、7時前に鰺ヶ沢駅に到着します。バスチームより早いので、第3チェックポイントの先着ボーナスを得られ、その後は実際ルートに収斂します。

要するに、レールバイクまで徒歩で往復しても、2日目朝に鰺ヶ沢駅で実際ルートに追いつくのです。そして手元には、タクシー代が満額残されます。これを活用すると、2日目は、たとえば以下のように展開できます。

▽2日目
海の駅わんど09:20→鰺ヶ沢駅10:10→タクシー21.7km、7,870円→五所川原駅10:45→11:23津軽中里駅→タクシー19.2km、5,530円→11:45十三湖12:45→タクシー19.2km、5,530円→13:05津軽中里駅13:37→14:22津軽五所川原駅/五所川原駅14:33→15:05川部駅15:38→16:09新青森駅→徒歩3.0km→16:50青森フェリーターミナル

鰺ヶ沢駅10時31分発の列車は五所川原駅での接続が悪く、津軽鉄道の列車を1時間程度待たなければなりません。それは事前に、駅備え付けの時刻表で調べればわかります。ならば、海の駅でのミッションを9時半ごろに終えて、10時半の列車のを待つのは無駄なので、タクシーで先を急ぐという考え方が浮かぶでしょう。それが上記の乗り継ぎです。

温存したタクシー代で、鰺ヶ沢駅からタクシーで五所川原に行けば、津軽中里駅に実際より1時間20分も早く着けます。この乗り継ぎパターンでは、十三湖からの帰路、津軽中里から新青森までの接続が良く、ショートカットを用いずとも新青森駅に16時09分に着けます。そこから青森フェリーターミナルまで歩いても、ゴールは17時前。バスチームに勝利できるでしょう。

実際には、上記のタクシー代合計は18,930円で、計算上得られるタクシー代18,000円を上回りますので、930円分(2km程度)は、どこかで歩かなければなりません。それでも、十分に勝利は可能とみられます。

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十三湖ショートカット

もっとシンプルなルートを考えてみると、鰺ヶ沢駅から十三湖まで一気にショートカットしてしまうという方法もあり得ます。

▽2日目
鰺ヶ沢駅09:30→タクシー34km、12,190円→10:20十三湖(☆1,000円)11:10→タクシー19.2km、5,530円→11:40津軽中里駅12:14→12:51津軽五所川原駅/五所川原駅14:33→15:05川部駅15:38→16:09新青森駅→徒歩3.0km→16:50青森フェリーターミナル

鰺ヶ沢~五所川原間と津軽中里駅~十三湖間のタクシー代の総計と比べると、鰺ヶ沢~十三間をショートカットした方が安く、合計すれば18,000円以内に収まりそうです。

すなわち、レールバイク往復を全部歩き、翌朝、五所川原から十三湖までショートカットをすれば、鉄道チームは2日目にそれほど歩かずに勝利できるわけです。

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レールバイクのタクシー代を節約していたら

ただ、現実問題として、大館からレールバイクを往復全て歩き切ることができるかというと、難しいかもしれません。放送にもあったとおり、熊の問題もありますし、第2チェックポイントの時間も気になるので、先を急ぎたくなるでしょう。

折衷案として考えられるのが、実際ルートと同じ大館17時07分発の列車に乗れる程度に、レールバイク往復時に徒歩を入れ込む、ということでしょうか。

一行がレールバイク往復を終えて、大館駅に到着したのが16時32分。列車の出発まであと30分ありますので、タクシーを2~3km早く降りても間に合っていたでしょう。その場合に、タクシー代に換算すると800円を浮かせられると仮定します。

さらに、弘前駅から川丁までタクシーを使っていたら、3,000円の先着ボーナスが得られます。タクシー代を850円と仮定すると、差し引き2,150円を得られます。大館での節約分とあわせて2,950円、ざっくり3,000円多くタクシー代を残せます。

すると、2日目、第3チェックポイント終了時には、15,510円のタクシー代が残ります。それを使って、上記の十三湖ショートカットをおこなうと、次のようになります。

▽2日目
鰺ヶ沢駅09:30→タクシー34km、12,190円→10:20十三湖(☆1,000円)11:10→タクシー7km、2,650円+徒歩8km→津軽中里駅13:37→14:22津軽五所川原駅/五所川原駅14:33→15:05川部駅15:38→16:09新青森駅→徒歩3.0km→16:50青森フェリーターミナル

青森フェリーターミナルに16時50分着で、鉄道チームが勝利できます。要するに、大館でタクシー代を2~3km分節約し、弘前で1kmあまりタクシーに乗れば、鰺ヶ沢から十三湖への大ショートカットで勝てた可能性があった、ということです。

とはいえ、ここまで来ると机上論も極まっていますので、実現性は別の話です。

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津軽線も検討してみると

机上論ついでに、津軽線ルートも検討してみます。十三湖から津軽線の蟹田駅に向かうショートカットです。

十三湖からみた津軽線の最寄り駅は大平駅ですが、災害により代行バスの運転になっていて、列車は来ません。したがって、鉄道利用なら蟹田駅まで行く必要があります。十三湖から蟹田駅までは約35km離れていて、タクシー代は概算で12,820円です。

▽2日目
十三湖15:30→タクシー35km、12,820円→蟹田駅16:25→17:04油川駅→3.1km→青森FT

タクシー代が残っていれば、15時30分に十三湖を出れば、蟹田経由で17時30分ごろにはゴールできます。油川駅にタクシーを待たせておけば、17時15分ごろにゴールすることもできたかもしれません。

ただ、鉄道チームは十三湖に至るまでに多額のタクシー代を使わなければならず、十三湖到着時点で12,000円以上を残すことはできなさそうです。

となると、仮にタクシーと徒歩を組み合わせて蟹田駅にたどり着いたとしても、油川駅から青森フェリーターミナルへは歩かざるを得ず、ゴールは17時30分ごろとなり、ギリギリでバスチームには及ばなかったとみられます。

しかし、バスチームがタクシー代をどこかで使ってしまい、最後の大ショートカットをしなければ、ゴール時刻は17時50分ごろになっていました。その場合は、津軽線ルートでも勝てた可能性が高いでしょう。

たとえば、バスチームが大館で矢立ハイツ行きのバスに乗り遅れ、鉄道チームが大館でタクシー代を節約し、第2チェックポイント(川丁)に先着していれば、津軽線ルートで勝利できていた可能性があるわけです。

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大釈迦ショートカットをしなければ

実際ルートに戻ります。鉄道チームは十三湖を往復した後、五所川原駅に15時31分に到着します。しかし、そこから列車の接続が悪いこともあって、大釈迦駅までのショートカットを敢行しました。

仮に、大ショートカットをせずに、列車を乗り継いでいたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
15:31津軽五所川原駅/五所川原駅16:46→17:23川部駅17:47→18:13新青森駅→タクシー3.5km、1,480円→18:30青森FT

新青森駅到着が18時13分。青森港まではタクシーが使えるとしても、ゴールは18時30分ごろとなり、実際ルートより20分ほど遅くなります。つまり、五所川原駅から大釈迦駅へのショートカットには意味があったことになります。ただ、勝敗を覆すには至りませんでした。

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最終乗り継ぎパターン

では、ここで、両チームの2日目の乗り継ぎパターンを検討してみます。鰺ヶ沢で朝9時以降にミッションをするという条件でみており、前夜に鰺ヶ沢のミッションを終えない場合です。

【バス】
鰺ヶ沢駅前09:55→10:37イオンモールつがる柏12:15→13:17十三
鰺ヶ沢駅前11:10→11:52イオンモールつがる柏12:15→13:17十三
鰺ヶ沢駅前11:55→12:37イオンモールつがる柏13:50→14:52十三

S:十三14:47→16:03五所川原駅前→(タクシー)→新田
A:十三14:47→16:03五所川原駅前16:15→17:20上古川17:32→17:43新田
B:十三15:42→16:58五所川原駅前17:40→18:45上古川18:49→19:00新田
E:十三17:32→18:48五所川原駅前19:40→20:41上古川21:14→21:21新田
※新田~青森FTは約0.7km

【鉄道】
鰺ヶ沢10:31→10:59五所川原12:00→12:45津軽中里
鰺ヶ沢11:44→12:09五所川原13:30→14:08津軽中里

SS:津軽中里13:37→14:22五所川原14:33→15:05川部15:38→16:09新青森
S:津軽中里14:53→15:31五所川原→(タクシー)→大釈迦16:42→16:57新青森
S:蟹田16:25→17:04油川
B:津軽中里14:53→15:31五所川原16:46→17:23川部17:47→18:13新青森
B:津軽中里15:54→16:38五所川原16:46→17:23川部17:47→18:13新青森
E:津軽中里17:08→17:45五所川原19:33→20:00川部20:03→20:31新青森
※新青森駅~青森FT、油川~青森FTは、ともに約3km

バスの最速乗り継ぎ(A)は、17時43分新田着。ゴールは17時50分ごろです。実際のバスチームは、最速ルートをたどって最後にタクシーを使ったので、それより早く到着しました(S)。ゴール時刻は17時20分とされていますが、道路事情がよければ、もっと早く着くこともできたでしょう。

一方の鉄道チームは、十分なタクシー代を残していれば、津軽中里13時37分発(SS)が最速ですが、鰺ヶ沢10時31分発に乗ると間に合いません。そのため、2日目朝にミッションを実施した場合、鰺ヶ沢からタクシーを使う必要があります。

それだけのタクシー代がない場合は、S以下になります。五所川原から大釈迦までタクシーを使ったとして、新青森到着は16時57分。この場合、バスのSにはやや劣後しますが、最後にタクシー代を残していれば勝てるかもしれません。

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決め手は大館に

今回は、どちらが有利不利というよりも、大館でのミッション選択が、勝敗の大勢を決めたといっていいでしょう。秋田犬ミッションはたしかに難しそうですが、時間がかかったとしてもタクシー代はかかりませんので、やはり有利だったように感じられます。

バスチームはその難しいミッションを短時間で終えて、大館駅からバスで矢立ハイツへ向かいました。これにより、タクシー代のほとんどを温存することができ、2日目の展開を有利にしました。

鰺ヶ沢での往復10kmでタクシー代を使いすぎると、最後の大ショートカットはできなかったかもしれません。しかし、それをしなくてもバスチームは勝てていました。

鉄道チームとしては、弘前での3,000円ボーナスが得られなかったことが惜しまれます。しかし、細かく検証すると、仮にそれを得ていても、大館でのタクシー代の使いすぎが響いていて、逆転は難しかったでしょう。1日目が終わった段階で、鉄道チームの挽回は難しかったと言えます。

バスチームからみれば、大館の矢立ハイツ行きバスで先制し、弘前市の先着ボーナスで追い打ちを掛け、鰺ヶ沢マラソンでダメを押した印象です。今回に関しては、ミッションをスムーズに終わらせて、乗り継ぎミスもなかったバスチームの完勝といえそうです。

これでバスチームは連敗を5で止め、通算成績を9勝12敗としました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)


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【本書の内容構成】
序章 鉄道未来年表 2025~2050
1章 人口減少時代の鉄道の未来
2章 東京圏の鉄道の未来
3章 大阪圏の鉄道の未来
4章 新幹線と並行在来線の未来
5章 地方鉄道の未来
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