「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第20弾 知多~志摩を検証する【1】勝ち筋はあったのか

メインはゆっくり来るんだよ

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第20弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、知多半島から志摩半島で競う企画です。勝敗を分析してみました。

以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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知多半島~志摩半島

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。

2024年7月10日に放送された第20弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、愛知県常滑市の坂井海岸から、三重県志摩市の横山展望台まで乗り継ぎ対決しました。

途中のチェックポイントは、日間賀島(南知多町)、ドリームオーシャン(松阪市)、海女小屋 はちまんかまど(鳥羽市)、真珠工房 真珠の里(志摩市)の4箇所です。

バスチームのメンバーは、太川陽介、加藤紀子、須藤理彩。鉄道チームのメンバーは村井美樹、高橋光臣、鈴木奈々です。

バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも13,000円までタクシーまたは船が利用できます。さらに、チェックポイントに先着すると1,000円のボーナスがもらえるというルールも設定されています。

バスVS鉄道第20弾
Ⓒテレビ東京

ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅 爽快!夏の伊勢志摩SP
【出演】太川陽介、加藤紀子、須藤理彩、村井美樹、高橋光臣、鈴木奈々
【放送日】2024年7月10日(水) 18時25分~21時54分(テレビ東京系列、見逃し配信あり)

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バスチームの実際ルート

まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。☆は獲得したチェックポイント、★は獲得できなかったチェックポイントです。

▽バス1日目
坂井海岸→徒歩1.3km→11:26上野間北交差点11:26→11:41美浜町役場→徒歩0.4km→11:48河和駅→徒歩0.3km→河和港12:10→高速船4,260円→12:35日間賀島東港(☆1,000円)14:30→高速船4,260円→15:00伊良湖15:10→フェリー5,400円→16:10鳥羽港16:18→17:21伊勢市駅17:40→18:20宮忠・MEGAドン・キホーテ前→徒歩7km→20:00頃ドリームオーシャン(☆1,000円)→徒歩10km→23:50ホテルルートイン伊勢

▽バス2日目
ホテルルートイン伊勢→徒歩1km→川端堤07:13→07:22伊勢市駅前07:40→08:18鳥羽バスセンター08:30→09:08畔蛸口→徒歩0.5km→はちまんかまど(★)11:50→タクシー2km、1,010円+徒歩7km→14:29志摩スペイン村14:45→14:58鵜方駅前15:45→16:39越賀集会所前→徒歩2km→真珠の里(★)→徒歩2km→17:56越賀集会所前

第4チェックポイントのミッションを終え、越賀集会所前から18時11分のバスに乗ろうとしたところで、スタッフからタイムアップを告げられました。無念のリタイアです。

仮にここでバスに乗った場合、以下のような乗り継ぎになります。

▽2日目ゴール乗り継ぎ
越賀集会所前18:11→19:09横山登山口→徒歩2.5km→19:50横山展望台

横山登山口に19時すぎの到着で、徒歩2.5kmの登り坂を歩くとなると、19時50分頃のゴールとなっていたとみられます。

※配信先で下記の地図が崩れる場合は、こちらをご覧ください。

※Googleマップは概略です。番組の実際ルートとは異なります。(以下同)

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鉄道チームの実際ルート

つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogle Mapにより測定しています。

▽鉄道1日目
坂井海岸→徒歩1.5km→11:28上野間駅11:48→11:54富貴駅12:13→12:21河和駅→徒歩+タクシー1,030円+タクシー630円、計12km→14:55師崎港15:00→高速船2,130円→15:10日間賀島東港(★)16:25→西港16:40→高速船4,260円→17:00河和港→徒歩0.3km→河和駅17:21→18:14名鉄名古屋駅/名古屋駅18:35→19:49松阪駅19:56→20:04漕代駅→徒歩0.8km→20:15ドリームオーシャン(★)→徒歩0.8km→漕代駅21:29→21:45伊勢市駅

▽鉄道2日目
伊勢市駅05:36→06:06松尾駅→徒歩9km→08:10はちまんかまど(☆1,000円)11:45→徒歩4km+タクシー5km、2,000円→松尾駅13:42→14:08賢島駅/賢島港14:50→高速船2,400円→15:15和具港→徒歩3km→15:50真珠の里(☆1,000円)16:20→和具港17:05→高速船2,400円→17:30賢島港/賢島駅17:40→17:47志摩横山駅→徒歩2.5km→18:25頃横山展望台(☆)

最終局面では、賢島駅17時40分発の列車に乗り、志摩横山駅に17時47分に到着したとみられます。そこから歩いて展望台に向かったとして、ゴール時刻は18時25分頃でしょう。

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バスチームの検証

では、両チームのルートを検証してみましょう。最初はバスチームです。

バスチームは、スタート後、上野間北交差点で首尾良く美浜町役場行きのバスを捕まえました。河和駅と河和港で情報収集した結果、河和港から高速船に乗る判断をします。

しかし、近い時間帯に師崎港へ向かうバスもありました。バスに乗れば、船賃を節約でき、以下のような乗り継ぎとなります。

▽バス1日目
河和駅12:12→13:07師崎港13:15→高速船2,130円→13:35日間賀島東港(☆1,000円)→西港15:25→16:00伊良湖16:30→17:30鳥羽港→徒歩→鳥羽バスセンター18:00→18:37伊勢市駅前19:30→20:10宮忠・MEGAドンキホーテ前→徒歩7km→ドリームオーシャン→徒歩10km→伊勢市駅

これを「師崎ルート」と呼びましょう。日間賀島へは実際ルートより1時間遅れるものの、先着ボーナス1,000円は得られます。そのため、タクシー代(船賃)を2,130円、まるまる浮かせることができます。ただ、その後のスケジュールが1時間以上後ろ倒しになってしまい、第2チェックポイントに到着するのは22時ごろになりそうです。

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第2チェックポイントは何時まで?

公式ウェブサイトによると、ドリームオーシャンの営業時刻は21時までです。これに従うなら、22時到着は遅すぎますので、この時点でリタイアとなります。それを避けるには、第2チェックポイントへタクシーを使うほかありません。

タクシーを利用する場合、1時間を節約するには2,000円程度はかかるでしょう。となると、浮かせた船賃をはき出してしまいます。おまけに、第2チェックポイントの先着ボーナスも得られませんので、実際ルートよりマイナスになりかねません。

一方、テレビの収録ですから、事前に営業時間の延長の依頼を済ませていることも考えられます。であれば、22時到着でも問題はありません。その場合、2,120円の船賃を浮かせて1日目を終えることができます。ただし、ミッション終了後、ホテルのある伊勢市まで歩くのであれば、宿に着くのは未明になってしまいそうで、出演者やスタッフの体調管理上、問題が出てきます。

ということで、河和港から高速船を使わなければ、2,160円を浮かすことができましたが、第2チェックポイントの到着が遅くなりすぎるうえに、先着ボーナスも奪われる可能性が高いです。となると、ルイルイが河和港から高速船で先を急いだ判断が間違っていた、とまでは言えない気もします。

この点については、鉄道チームのルートを検証してから、後で再考します。

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セントレアルート

バスチームは日間賀島で第1チェックポイントのミッションを終えてから、伊良湖を経て伊勢湾フェリーで鳥羽に至ります。

一方、ルートとしては、セントレアから津へ向かう高速船(津エアポートライン)を活用することも考えられたでしょう。ただし、エアポートラインの運賃は3人で8,940円もかかります。河和港から日間賀島まで高速船(4,260円)と、日間賀島から師崎港への連絡船(2,130円)に乗船すると、エアポートラインの船賃は残りません。

また、陸路でセントレアへ向かった場合、常滑駅まではバスで繋がるのですが、常滑駅~中部国際空港第1ターミナル間の路線バスは1日2便で、最終バスは15時54分発です。今回の設定では到底間に合いません。また、セントレア大橋を徒歩で渡ることもできません。

結論として、セントレアルートは成立しないようです。

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2日目の検証

実際ルートに戻ります。バスチームは伊勢市内から松阪市内まで歩き、第2チェックポイントにも先着。さらに歩いて伊勢市内に戻ります。この往復だけで約17kmもありますが、すでにタクシー代をほとんど使い果たしているので、歩くほかありませんでした。

2日目、バスチームは、始発バスで出発し、第3チェックポイントのはちまんかまどへ向かいます。しかし、鉄道チームに先を越され、先着ボーナスは取り逃がします。この区間で時間短縮の余地はなく、やむを得ないことでした。

ポイントはその後です。第3チェックポイントのミッションを終了後、タクシーと徒歩を組み合わせて志摩スペイン村に達し、鵜方駅前で乗り継いで第4チェックポイントに向かいます。到着したのは17時ごろ。ミッション自体はすぐに終えましたが、ゴールに向けたバスに乗るためにバス停にたどり着いたところ、時間切れを告げられます。

タイムアップを避けるには、この区間の所要時間を短縮するしかなさそうですが、第3チェックポイントから第4チェックポイントへ、先を急ぐ方法はあったのでしょうか。

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鳥羽・伊勢迂回ルート

一つ考えられるのは、鳥羽市・伊勢市へ迂回する乗り継ぎです。その場合は、以下のようになります。

▽バス2日目
畔蛸口12:46→13:24鳥羽駅/鳥羽バスセンター14:21→15:04中村町15:27→16:17鵜方駅前16:24→17:18越賀集会所前

越賀集会所前到着は17時過ぎで、実際ルートより約40分遅くなります。タクシー代1,000円は温存できるものの、越賀集会所前を18時11分に出るバスには間に合わない可能性が高く、第4チェックポイント終了時点でタイムアップになっていたでしょう。

では、そのほかに、第3チェックポイントから第4チェックポイントに急ぐ方法があったかというと、探した限り、見つかりませんでした。つまり、バスチームは、2日目に最善を尽くしたといえそうです。最善を尽くしたにもかかわらずタイムアップになってしまったわけで、やや酷な結果にも見えました。

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バスチームに「勝ち筋」はあったのか

バスチームのタイムアップを避ける方法がないか、いろいろ検討してみましたが、先述の「師崎ルート」に限られそうです。ここで浮いたタクシー代を、第3チェックポイントから志摩スペイン村に至る局面で使えば、徒歩距離を減らすことができ、志摩スペイン村を1本早い便で出られるからです。

その場合、以下のような乗り継ぎになります。

▽バス2日目
はちまんかまど→タクシー+徒歩、計9km→志摩スペイン村13:45→13:58鵜方駅前14:20→15:14越賀集会所前→徒歩2km→真珠の里(☆1,000円)→徒歩2km→越賀集会所前16:26→17:24横山登山口→タクシー+徒歩2.5km→17:45頃横山展望台

この乗り継ぎが成立すれば、第4チェックポイントの先着ボーナスを奪えます。ただし、第2チェックポイントのボーナスはバスチームに渡していますので、ボーナスの総額は実際と変わりません。鉄道チームのゴールは18時25分頃なので、余裕をもって勝利できます。

とはいえ、前述したように、師崎ルートでは、第2チェックポイントの店の営業時間中に到着できないという問題点があります。テレビ番組としては店との事前折衝で解決できる問題ですが、ルート検証としては微妙です。

しかし、師崎ルートを除外してしまうと、バスチームに「勝ち筋」がなかったことになってしまいます。

志摩スペイン村に早く付けたら

ここで気になるのは、第3チェックポイントのミッション所要時間と、その後の徒歩の速度です。ミッション開始は10時で、9km先の志摩スペイン村に到着したのは14時30分頃。途中、タクシーで2km程度を乗ったとすれば、約7kmを歩いたことになります。

今回のバスチームは健脚揃いですので、ミッションを1時間、徒歩2時間と見積もれば最短3時間くらいでクリアできそうです。しかし、現実にはその1・5倍の時間がかかっているわけです。

仮に、ミッション開始から志摩スペイン村まで、3時間半程度に短縮できた場合、志摩スペイン村を1本早く出るバスに乗ることができ、上記のように17時45分ごろにゴールできていたでしょう。

では、なぜ、第3チェックポイントから志摩スペイン村まで4時間半もかかったのでしょうか。それについては後述しますが、その前に鉄道チームのルートを検証してみます。

【続きはこちら】
バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第20弾 知多~志摩を分析する。【2】

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