東海道・山陽新幹線の割引きっぷがまた縮小されます。「e特急券」や「スーパー早特21」「おとなび」が廃止され、「スーパー早特」は設定区間が減少します。紙のきっぷを廃止し、一部で代替のデジタルきっぷが出るものの、実質的には値上げという、近年の流れが繰り返されます。
e特急券を廃止
JR東海、JR西日本、JR九州の3社は、東海道・山陽・九州新幹線の割引きっぷの見直しを発表しました。
まず、エクスプレス予約については、特急券の効力のみをもつ「e特急券」を2027年3月31日乗車分を以て廃止します。

e特急券廃止のデメリット
インターネットで購入できるEXサービスは、乗車券と特急券が一体となっていますが、e特急券を使えば乗車券を別立てで購入できます。
これにより、新幹線駅から離れたエリアから乗り継いで利用する際に、運賃を通算して割安に利用できます。新幹線で途中下車をしても乗車券が打ち切りとなりませんし、特定都区市内制度を活用できるといったメリットがあります。
e特急券の廃止により、こうした利用法ができなくなります。
なお、身障者割引も、これまでEXサービスが利用できずe特急券を利用する形でしたが、e特急券の廃止にあわせて、新たにEXサービスの身障者割引商品が設定されます。
また、JR西日本エリアでは、J-WESTカード会員向けの「eきっぷ」も廃止されます。2026年3月13日で販売を終了します。
米原~京都・新大阪間で大幅値上げ
「EX早特1」については、2026年4月1日乗車分から、東京・品川~小田原間と、米原~京都・新大阪間で値上げします。
東京・品川~小田原は現行の2,800円が2,960円に、米原~京都間は1,720円が1,940円に、米原~新大阪間は2,520円が3,520円になります。
東京・品川~小田原間は、JR東日本が3月に予定している運賃改定に合わせた値上げのようです。米原~京都・新大阪間は単なる値上げで、値上げ幅も大きくなっています。
米原~京都・新大阪間は、在来線の「新快速」が毎時1本に削減され不便になっていることもあり、利便性の高い新幹線の割引を縮小しても問題ないと判断したのでしょうか。
豊橋~名古屋間でも実質値上げ
「EX早特1」は、4月1日から豊橋~名古屋間で新たに設定します。価格は1,400円です。同時に、「新幹線名古屋往復きっぷ」「新幹線豊橋往復きっぷ」などの、紙のきっぷを廃止します。
これまでの「新幹線名古屋/豊橋往復きっぷ」は、平日2,940円、土休日2,360円ですので、「EX化」により、平日は値下げ、土休日は値上げのようにもみえます。
ただ、「新幹線名古屋/豊橋往復きっぷ」は、豊橋~豊川・二川間でも使えますので、その点を考慮すれば、平日も含めて、実質的には値上げの色彩が強いといえそうです。
「スーパー早特」も縮小
山陽新幹線区間では、かつての看板商品「スーパー早特きっぷ」の発売区間を縮小します。新大阪~熊本・鹿児島中央などを廃止し、大分、長崎発着のみを存続します。
また、新大阪・新神戸~熊本・鹿児島中央間に設定されている「スーパー早特21」は全面廃止となります。
代替商品として「EX早特7」で岡山・広島~熊本・鹿児島中央間を設定。「EX早特21」で新大阪・新神戸~熊本・鹿児島中央を設定します。価格の変化は以下のとおりです。
■「スーパー早特」→「EX早特7」
新大阪・新神戸~熊本 16,540円→17,400円
新大阪・新神戸~鹿児島中央 19,510円→21,400円
岡山~熊本 15,920円→16,500円
岡山~鹿児島中央 18,170円→20,500円
広島~熊本 13,000円→13,500円
広島~鹿児島中央 16,740円→18,000円
■「スーパー早特21」→「EX早特21」
新大阪・新神戸~熊本 14,300円→15,400円
新大阪・新神戸~鹿児島 16,900円→18,400円
「スーパー早特」は14日前までの発売、「EX早特7」は7日前までの発売と違いはありますが、全体的には実質的に値上げされることがわかります。
「おとなび」はサービス廃止
JR西日本のシニア向けサービス「おとなび」は、サービスそのものが終了します。これにより、山陽新幹線区間で設定されていた「おとなびWEB早特」も廃止となります。
シニア世代にとっては、山陽新幹線でもっともお得な価格設定の割引きっぷでしたが、ごそっと姿を消すことになります。
JR西日本の全区間で利用できる「おとなび割引」も廃止です。「おとなび割引」は2026年3月13日利用開始分、「おとなびWEB早特」は2026年3月31日利用終了分をもって発売を終了します。
インフレの価格転嫁
この記事では東海道・山陽新幹線に関するものだけを紹介しましたが、JR東海、JR西日本では、在来線の割引きっぷでも一部を値上げします。
全体的に「紙の割引きっぷ」から「デジタルの割引きっぷ」へという大きな流れに沿った改定内容と受け取ることもできますが、デジタル化にあわせて値上げをしているので、単なる値上げともいえます。
鉄道会社は、正規運賃・料金の値上げが簡単ではないので、最近のインフレを価格転嫁するには割引きっぷを縮小するのが手っ取り早い、という事情があります。
また、ライバルとなる航空会社や高速バスも運賃水準を切り上げているので、鉄道会社として割引する必要性が薄れたという側面もありそうです。(鎌倉淳)























