近鉄が2026年3月ダイヤ改正で、奈良線と京都線などの特急を増発します。いっぽうで、大阪線の急行、区間準急を削減するなど、一般列車では減便も実施。沿線人口の減少を見据え、インバウンドをはじめとした沿線外からの利用者を意識した、特急重視の姿勢が鮮明になりました。沿線住民には厳しい内容です。
奈良線特急を2割増発
近畿日本鉄道は、2026年3月14日にダイヤ改正を実施すると発表しました。目玉は、奈良線と京都線の特急増発です。
奈良線では、大阪難波~近鉄奈良間で特急を平日に6本、土休日に4本増発します。現状は平日26本、土休日19本ですので、いずれも2割程度の増発です。
増発する特急の時刻は以下の通りです。
【平日】
・大阪難波発 07:14、08:06、10:47
・近鉄奈良発 15:17、16:03、20:03
【土休日】
・大阪難波発 11:50
・近鉄奈良発 16:53、18:42、21:22
現状で手薄な難波午前発と、奈良夕方発を増強する形です。大阪に宿泊して奈良を日帰り観光するのに便利な時間帯で、インバウンドを主な利用者と想定しているのでしょう。
これまでの奈良線特急は通勤客を意識したダイヤでしたが、これからは外国人観光客の利用拡大に力を入れていくようです。

京都線特急は微増
京都線では京都~近鉄奈良間で特急を平日4本、土休日2本増発します。現状は平日50本、土休日51本ですので、微増です。
増発する特急の時刻は以下の通りです。
【平日】
・京都発 09:50、17:00
・近鉄奈良発 09:00、16:50
【土休日】
・京都発 09:50
・近鉄奈良発 08:30
京都~奈良間の特急はおおむね30分間隔で運転していますが、一部に空白時間帯があります。今回のダイヤ改正では、空白時間帯を埋める形で増発します。
天理線に特急乗り入れ
そのほか、大阪線の一部の特急が五位堂駅に停車します。また、平日に大和西大寺07時09分発大阪難波行き特急を天理発として運行し、天理~大阪難波間の特急列車を設定します。
土休日には近鉄名古屋発大阪難波行き特急を1本増発します。近鉄名古屋20時25分発で、車両は「ひのとり」を使います。
一方、近鉄名古屋22時20分発名張行き特急は、22時25分発松阪行きに短縮します。
急行と区間準急を統合
近鉄2026年3月ダイヤ改正では、特急が増発傾向となった一方で、一般列車は削減します。
大阪線では大阪上本町と名張方面を結ぶ区間急行を新設し、日中時間帯の急行と区間準急を統合します。日中時間帯の一般優等列車は区間急行のみとなり、毎時4本程度運行します。
区間急行は急行停車駅に加え、近鉄八尾、河内山本、高安の3駅にも停車します。
大阪線一般列車は3割減
区間急行は大阪上本町~榛原間の列車が毎時2本、大阪上本町~名張・青山町間が毎時2本となります。名張~伊勢中川間は急行が2時間に1本、普通が毎時1本です。大阪上本町~伊勢中川間の直通列車がなくなり、おおむね名張で系統を分断するようです。
大阪上本町駅の一般列車の発着を見てみると、現行ダイヤの日中時間帯は、毎時11本(急行3本、区間準急3本、普通5本)が運転されています。

新ダイヤでは、毎時8本(区間急行4本、普通4本)となります。

日中時間帯の上本町発着の一般列車は、本数ベースで3割近い大幅削減です。
名張から大阪方面は、日中時間帯に急行毎時3本から区間急行毎時2本に削減されます。信貴線も同様に、日中時間帯が毎時3本から2本となります。いずれも日中は30分間隔になってしまうわけで、沿線住民には厳しい改正です。
人口減少が背景に
全体的に、観光客をターゲットにした特急重視のダイヤ改正となります。近鉄は中期経営計画で「インバウンド需要の取り込み拡大」や「沿線外からの旅客誘致の拡大」を掲げていますので、今回のダイヤ改正はそれに沿った内容といえます。
一般列車の削減も、中期経営計画に沿ったものです。同社は人口減少を「メガトレンド」と捉えていて、中期経営計画では「ダイヤ見直しによる運営コストの削減」を掲げています。
今回減便となる近鉄大阪線の沿線では、2020年を基準とした場合に、2050年の沿線の生産年齢人口は約35%もの減少が見込まれています。
沿線人口が急減期を迎え、通勤・通学利用者の減少が避けられないなか、近鉄として、インバウンド需要の拡大に活路を見出そうとしているわけです。(鎌倉淳)

























