JR東日本や東海などJR4社は、インターネット予約サービスで連携することを発表しました。1回のログインで、異なるサイトで予約ができるようになります。少し便利になりますが、予約サイトの共通化は先送りしました。
ログインを共通化
JR東日本、東海、西日本、九州の4社は、2025年4月19日に共同で記者会見を開き、現在、会社ごとに異なるサービスとなっている列車のインターネット予約について、連携を進めると発表しました。
現在、JRのインターネット列車予約は、JR東日本を中心とする「えきねっと」、JR東海を中心とする「EX予約」、JR西日本を中心とする「e5489」、JR九州の「JR九州インターネット列車予約」の4つのサイトがあり、それぞれが独立しています。
新たに始める連携によって、複数のサイトで新幹線や特急列車を予約する場合、現在はそれぞれのサイトにログインして予約する必要がありますが、2026年度以降、1回のログインで複数サイトで予約できるようにします。
2026年度中に連携開始
たとえば、東海道新幹線で名古屋から東京に移動し、東北新幹線に乗り換えて仙台に向かう場合、JR東海系の「EX予約」か、JR東日本系の「えきねっと」の、どちらかにログインすれば、両新幹線の予約ができるようになります。
まず、JR西日本系の「e5489」と、JR東海系の「EX予約」の間で、2026年度中に連携を開始し、2027年度以降、4つのサイト間で連携できるよう準備を進めます。
政府からも指摘され
JRのインターネット予約システムについては、複数のサイトが独立していて、ふだん利用しない層や、外国人にはわかりにくいという批判が、かねてからありました。
この問題は、政府の「観光戦略実行推進タスクフォース」でも取り上げられ、2018年の「鉄道分野におけるインバウンド受入環境整備について」というとりまとめのなかで、「世界最高水準のインバウンド受入環境の実現」のため、インターネット予約環境を改善し、「将来、予約ページの共通化等を図ること」と指摘されました。
2018年に、政府がJR各社に対し、インターネット予約の共通化を促していたわけです。それから7年を経て、今回、ようやく、ログインの共通化にこぎ着けました。
統合は先送り
ただ、今回はログインの共通化であって、サイトの共通化ではありません。利用中のサイトに、他社のサイトへ遷移できるボタンが表示され、ログインなしで別のサービスに移動できるだけのようです。
懸案である予約サイトの共通化やアプリの統合については、先送りとなっています。NHKの報道によれば、「システム上の課題をクリアする必要があるため、現状では難しい」とのことです。
会見したJR東海の担当者は、「より便利なサービスを提供できるように努めていきたい」と述べ、将来的には、4社のサイトの統合も検討する考えを示しました。
つまり、今回の連携は、予約サイトの共通化に向けた、最初の一歩と捉えることもできるようです。より使いやすい形での進歩を期待したいところです。(鎌倉淳)