ANAが羽田~小松線と羽田~富山線の2路線で早期購入割引「特割」と「旅割」の運賃を改定します。2015年3月の北陸新幹線が開業に備えた対抗値下げで、最安値を新幹線と同水準にしました。
北陸新幹線と同水準の価格に
ANAの割引運賃は空席数に連動する形で段階的に価格設定しています。特割の場合、最安値は羽田~小松が14,100円になり、6,200円の引き下げです。羽田~富山の最安値は12,700円で、こちらの値下げ幅は7,500円に及びます。値下げは北陸新幹線の開業日きっかりの2015年3月14日からで、とりあえずは冬ダイヤ最終日の3月28日搭乗分までとなっています。
北陸新幹線の普通車指定席は東京~金沢が14,120円、東京~富山は12,730円です。ANAの対抗値下げにより、最安値はほぼ同額となります。
75日前も前日もほぼ同額
実際に検索してみると、前日購入可能な特割が、おおむね15,000円以下の運賃に設定されています。そのため、75日前が購入期限の旅割と、前日が購入期限の特割の価格差がほとんどなくなっています。
たとえば、3月27日(金)の羽田~富山ANA883便では旅割75が13,390円、特割が13,990円で、600円しか違いません。これではキャンセル料がとても高い旅割を買う意味はなさそうです。実際、全ての運賃クラスで空席が残っています。
ちなみに、同じ便の同曜日である3月13日(金)を検索すると、旅割75は14,490円、特割が20,490円です。この便では、すでに特割以外の運賃クラスは売り切れています。
格安運賃の「席数」も大幅緩和か
空席検索してみると、北陸新幹線開業日の3月14日を境に、ANAの羽田~小松・富山便の結果は一変します。3月13日までは売り切れの運賃クラスが目立つ一方、3月14日以降はどの運賃クラスも空席だらけです。まだ北陸新幹線指定席の一般販売は始まっていませんので、新幹線への予約流出は現時点では限定的とみられます。となると、空席数の差はANA側の事情によるとみられます。
つまり、おそらくは、ANAが3月13日までは安い運賃クラスの席数を絞っている一方、14日以降は開放しているのでしょう。「価格」だけでなく、「席数」でも、ANAが3月14日に大幅に値下げをしていることがうかがえます。
今までの運賃は何だったのか
もし3月14日以降、この運賃と席数でANAの採算が取れるのだとしたら、いままでの運賃はなんだったのだろう、と思う人は多いでしょう。原価にある程度の利潤を乗せて販売するのは当然ですが、さすがに利潤を乗せすぎだったのではないかと考えてしまいます。
あるいは、新しい運賃水準では赤字になるのかもしれません。となると、やがて減便や撤退につながるでしょう。
なんであれ、新しい交通機関ができて、移動に関する価格が下がることは、利用者にとっては悪い話ではありません。