2025年ダイヤ改正「注目ポイント」ランキング【2】ちょっと意外な内容も

新駅、廃駅情報も

2025年3月15日に実施される鉄道各社のダイヤ改正の概要が発表されました。注目ポイントをランキング形式でまとめています。

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2025年3月ダイヤ改正「注目ポイント」ランキング

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11位 「のぞみ」21時30分発新大阪行き登場

のぞみn700夜

東海道新幹線では、東京駅21時30分発の臨時「のぞみ」新大阪行きを設定します。これまでの最終の新大阪行き「のぞみ」は21時24分発でしたが、6分繰り下がります。

運転日は利用者の多い日に限られるようですが、新大阪行き最終が「東京21時30分」発まで繰り下がるというのは、ちょっとしたトピックスでしょう。

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12位 山形新幹線E3系が最終章に

山形新幹線E3系

山形新幹線では、2025年3月ダイヤ改正までに、E8系を9編成追加投入します。さらに、2026年春までに、全ての「つばさ」をE8系に統一することを正式発表しました。

つまり、今回のダイヤ改正後もE3系は残りますが、いよいよ最終章にさしかかったことなります。

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13位 豊肥線特急を整理

あそぼーい

JR九州は、今回のダイヤ改正で大きな目玉がありません。内容としては、各地の通勤路線での増発をしていて、前向きな印象です。

そのなかで、旅行者の注目度に焦点をあてたトピックス性でみると、豊肥線特急の整理が挙げられるでしょうか。

まず、熊本~宮地間の特急「あそ」の運転を取り止め、熊本~大分間の「九州横断特急」を1往復増発。一方で、熊本~別府間の特急「あそぼーい!」を熊本~宮地間に縮小し、2往復に増発します。

さらに、熊本~宮地間の特急「かわせみ やませみ」は、定期運行を取り止めます。

改正後の豊肥線特急は「九州横断特急」が熊本~大分間で3往復、「あそぼーい!」が熊本~宮地間で2往復となり、愛称と運行系統がシンプルになります。

また、特急停車駅を見直し、水前寺、武蔵塚、光の森、赤水、中判田を通過します。停車駅削減で、より特急らしくなるというところでしょうか。

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14位 東根室駅、抜海駅廃止

東根室駅

JR北海道では、利用の少ない5駅を廃止します。函館線東滝川駅、根室線東根室駅、宗谷線雄信内駅、南幌延駅、抜海駅です。

なかでも注目は、日本最東端の東根室駅と、最北の秘境駅ともいわれる抜海駅でしょう。東根室駅は、近隣の根室高校向けのバス路線を充実させた影響で、利用者が減少したようです。抜海駅は、周辺住民の減少が大きな理由のようです。

いずれも、鉄道ファンにはおなじみの駅ですが、住民利用が少ないと、結局は持ちこたえられないということでしょう。

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15位 上所、仙巌園駅開業

上所駅
画像:新潟市

新駅の開業は2駅です。ひとつが越後線新潟~白山間の上所(かみところ)駅。もう一つが、日豊線竜ヶ水~鹿児島間の仙巌園駅です。

いずれも地方の県庁所在地の郊外駅で、地方都市近郊の鉄道利用の促進が期待されます。

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16位 小田急「多摩急行」実質復活

多摩急行

大手私鉄で3月15日に改正をするのは、小田急です。小田急の改正で注目は、多摩線の千代田線直通急行復活でしょう。

多摩線の日中時間帯の普通が急行となり、東京メトロ千代田線に直通します。ただし、多摩線内は、急行が全駅停車となります。

2018年3月改正での「多摩急行」廃止、22年3月の千代田線直通全廃を経て、大々的な千代田線直通の復活です。

今回設定される種別は「急行」ですが、いわゆる「多摩急行」の復活と捉える方も多いでしょう。

最近の小田急多摩線は、京王線対抗のためか、新宿志向が強かったのですが、方針を大きく転換するようにも見受けられます。

小田急では、そのほか、準急を喜多見・和泉多摩川へ停車させるほか、快速急行は開成に停車させます。特急ロマンスカーは、伊勢原・秦野への停車本数を増やします。全体的には、速達化よりも、停車駅増による利便性向上を目指した改正に見受けられます。

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17位 山手線でちょっとだけ増発

山手線E235系

山手線は、ラッシュ時間帯に1日10本増発します。朝のラッシュ時に内回りと外回りで3本ずつ、夕方に同2本ずつ追加します。ピーク時間帯の運行本数は内回りで毎時20本から21本に、外回りは16本から17本に増えます。

ただ、日中時間帯の増発は発表されておらず、5分間隔は変わらないようです。区間によっては、日中時間帯の混雑も激しくなっていますので、日中時間帯に増発されないことのほうが、ニュースに思えなくもありません。

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18位 JR西日本「エキスポライナー」運転

エキスポライナー
画像:JR西日本プレスリリース

関西万博関連では、JR西日本が「エキスポライナー」を設定します。新大阪駅から大阪駅を経由し、桜島駅まで直通する列車です。桜島駅から万博会場までは、シャトルバスが運行します。

運転本数は、おおむね毎時60分間隔です。

3月ダイヤ改正ではありませんが、万博アクセスの主役となる大阪メトロ中央線は、2025年1月19日にコスモスクエア~夢洲間が延伸します。

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19位 山田線の終電早すぎ

キハ110系リアス

盛岡~宮古間を結ぶ山田線で、全線を走る最終列車が繰り上げとなります。盛岡発宮古行きの最終列車は、現行の17時46分発が13時12分発に。宮古発盛岡行きは18時08分発が17時14分発となります。

盛岡から宮古に行く列車が、13時12分で終わりというのは、さすがに早すぎる印象もあります。ただ、山田線は、並行する岩手県北バスの106バスと連携し、JRの乗車券でバスに乗車できる実証実験をおこなっています。

終電の大幅繰り上げは、この連携に関連する施策とみられ、利用者の少ない時間帯は、バスで間に合うという考え方でしょう。とはいえ、鉄道旅行者には悲しいお知らせです。

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20位 津軽線、奥羽線で一部701系に

津軽線701系

奥羽線、津軽線の一部列車で、GV-E400系を701系に置き換えます。なぜいまさら?という気もしますので、最後にランクインしておきます。

おそらくですが、奥羽線の新庄~院庄間が、非電化で運転再開を目指すことと関係していそうです。

非電化区間でも走れるGV-E400系を捻出するために、津軽線などから転用する、というわけです。

JRの新しい流れである「非電化」化にまつわる動きとして、注目しておきます。

まとめてみると

20位までランキングしてきましたが、2025年3月ダイヤ改正は、新線開業などの目玉に乏しく、全体的に小粒な内容です。ただ、傾向としては、新型コロナウイルス感染症からの回復を受けた前向きな内容が目立ちます。

一方で、JR四国の各線のように、人手不足の影響を受けた減便もみられます。増便の必要があるのに対応できていない路線もみられます。人口減少の影響が、ダイヤに明確に反映されてきたということでしょう。

着席サービスの拡充は前向きな内容ですが、これも、人口減少に対応した施策という側面もあります。

JRの新線開業は当面予定されておらず、2030年度のなにわ筋線や、2031年度の羽田空港アクセス線まで待たなければなりません。

言い換えると、運行系統の変更を伴うようなダイヤ大改正は、しばらくなさそうで、今回のような小粒な改正が続くかもしれません。(鎌倉淳)

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