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「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第22弾 熊本~大分を検証する【1】知られざる見逃しポイント

ケーブルカーは鉄道?

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第22弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、熊本県の熊本空港から大分県の宇佐神宮で競う企画です。勝敗を分析してみました。

以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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高橋光臣が再参加

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。

2024年12月4日に放送された第22弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、熊本市の阿蘇くまもと空港から、大分県宇佐市の宇佐神宮まで乗り継ぎ対決しました。

途中のチェックポイントは、地獄温泉青風荘、長湯温泉、由布院温泉、別府ラクテンチの4箇所です。

バスチームのメンバーは、太川陽介、久保田磨希、鏡優翔。鉄道チームのメンバーは村井美樹、高橋光臣、迫田さおりです。

バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも15,000円までタクシーが利用できます。さらに、チェックポイントに先着すると1,000円のボーナスがもらえるというルールも設定されていて、うち1か所の、由布院温泉は3,000円とされました。

バスVS鉄道対決旅第22弾
Ⓒテレビ東京

ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅 熊本・大分名湯めぐりSP
【出演】太川陽介、久保田磨希、鏡優翔、村井美樹、高橋光臣、迫田さおり
【放送日】2024年12月4日 18時25分~21時54分(テレビ東京系列、見逃し配信あり)

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バスチームの実際ルート

まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。☆は獲得したチェックポイント、★は獲得できなかったチェックポイントです。

▽1日目
熊本空港10:10→10:41JA久木野給油所横→徒歩6.7km→12:21地獄温泉青風荘☆13:45→タクシー7.8km、2,600円→14:05阿蘇山上ターミナル14:10→14:43阿蘇駅前15:01→16:19竹田温泉花水月→徒歩0.2km→竹田駅16:33→17:19道の駅長湯温泉☆

▽2日目
道の駅長湯温泉07:03→07:50小野屋駅前→タクシー23km、7,100円→徒歩2km、→09:00由布院温泉束の間/湯の坪街道★→10:29湯の坪10:39→11:19明豊キャンパス前→徒歩1.1km→別府ラクテンチ(タクシー1,600円)☆→徒歩1.3km→13:47ホテル白菊前13:52→14:33天間草原別府霊園前→タクシー18.8km、6,000円→15:25九人ケ峠→徒歩0.6km→円座16:15→16:34法鏡寺→徒歩3km→17:10宇佐神宮

最終局面は、安心院方面からのバスを法鏡寺停留所で降り、歩いて宇佐神宮に到着。ゴール時刻は17時10分ごろだったようです。

※配信先ではGoogleマップが崩れる場合は、こちらをご覧ください。

※Googleマップのルートは概略です。実際とは異なります。

鉄道チームの実際ルート

つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogle Mapにより測定しています。

▽1日目
熊本空港09:50→徒歩7km→11:43肥後大津11:49→12:03立野駅12:42→12:55阿蘇下田城駅→徒歩3.2km→14:07地獄温泉青風荘★15:30→タクシー7,000円+徒歩、計24km→16:36宮地駅16:38→17:35豊後竹田駅18:08→18:14朝地駅→タクシー3,050円+徒歩3km、計13km→19:10長湯温泉★21:00→徒歩+タクシー2,000円+徒歩4km、計13km→22:05朝地駅22:07→23:27大分駅

▽2日目
大分駅06:13→07:30由布院駅→徒歩2.1km→08:00由布院温泉束の間/湯の坪街道☆10:34→徒歩0.9km→10:40由布院駅10:41→11:37大分駅11:52→12:13向之原駅12:18→12:38大分駅13:19→13:31別府駅→タクシー1.7km、900円→別府ラクテンチ★14:50→タクシー8.1km、3,150円→15:15浜田温泉/亀川駅16:10→17:00宇佐駅→タクシー4km、1,600円→17:18宇佐神宮

鉄道チームは、2日目、大分駅で日豊線と久大線を乗り間違えてしまいました。このミスが響き、ゴール時刻は17時18分ごろです。鉄道チームとはわずか8分差ということで、惜しい敗戦となりました。

結果として、バスチームが前回に続き、2連勝。鉄道チームは2連敗となりました。

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バスチームの検証

では、両チームのルートを検証してみましょう。最初はバスチームです。

バスチームは、1日目、熊本空港から特急バス「たかちほ号」に乗り、JA久木野給油所横で降車。歩いて地獄温泉青風荘に至ります。第1チェックポイントでは、食事ミッションを選択しました。

地獄温泉へタクシーを使ったら

ここで気になったのは、JA久木野給油所からの地獄温泉へのアプローチです。急坂を6km以上も歩きました。

仮にここをタクシーで切り抜けていたら、どうなっていたでしょうか。

▽1日目
熊本空港10:10→10:41 JA久木野給油所横→タクシー9.3km、3,000円→11:20地獄温泉青風荘12:40→タクシー7.8km、2,600円→阿蘇山上ターミナル13:20→13:53阿蘇駅前15:01→16:19竹田温泉花水月→徒歩0.2km→竹田駅16:33→17:19道の駅長湯温泉

このように、地獄温泉に約1時間早く到着でき、阿蘇山上からのバスも1本早い便に乗れます。しかし、阿蘇駅前から竹田方面へのバスは、実際ルートと同じになります。

つまり、地獄温泉へタクシーで急いだとしても、疲労を軽減できるだけで、時間短縮の効果はありません。いっぽうで、費やすタクシー代は3,000円です。

JA久木野給油所から地獄温泉へは、歩けば6kmあまりですが、車道は大回りで、道のりは9km以上あり、タクシー代がかさみます。

バスチームは、ここを徒歩で乗り切って、十分なタクシー代を残すことができました。効果の高い「山登り」だったことになります。

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阿蘇駅15時01分に乗れなかったら

バスチームは、第1チェックポイントを終了後、タクシーで阿蘇山上ターミナルに達し、阿蘇駅前を経て、竹田温泉に向かいました。

阿蘇駅前を出発するバスの時刻は15時01分でした。豊後竹田を経て、17時すぎに第2チェックポイントの長湯温泉に到着しました。

阿蘇駅前から長湯温泉に当日中に着くためには、この15時01分発の便に乗らなければなりません。それには、地獄温泉から阿蘇山上へ、タクシーを使って急ぐ必要がありました。バスチームは、その要件をきちんとクリアしたわけです。

つまり、1日目のバスチームは、唯一の「正解乗り継ぎ」をたどって、第2チェックポイントに到達したことになります。

長湯温泉泊の設定に

第2チェックポイントの長湯温泉でのミッションには、時間がかかりました。しかし、早く終わらせていたとしても、その日に長湯温泉から出られるバス便はありません。

したがって、バスチームは、1日目に長湯温泉に泊まる設定だったといえます。

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長湯温泉からタクシーを使ったら

2日目、バスチームは、早朝7時03分に長湯温泉を出発する大分市方面行きのバスに乗り、小野屋駅で降車。タクシーを探すのに一苦労しましたが、なんとか空車を捕まえて、第3チェックポイントの由布院温泉に至ります。

小野屋から由布院温泉までは20km以上ありますので、ここでタクシーを見つけられなければ、行き詰まりかねない局面でした。

万全を期すなら、長湯温泉から由布院温泉まで、タクシーを使うという方法もあったでしょう。その場合は、次のようになります。

▽2日目
道の駅長湯温泉→タクシー40km、12,650円→由布院温泉束の間

タクシー代が12,000円以上かかります。実際ルートより5,000円以上を多く使うことになるので、別府から宇佐に至る最終局面で厳しくなります。

したがって、ここでは小野屋駅までバスを使うのが「正解」といえそうです。

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由布院から別府へ

実際ルートに戻ります。バスチームは由布院温泉でのミッションを終えて、湯の坪を10時39分に出るバスで別府に向かいます。

由布院から別府方面へのバスは毎時1本程度なので、乗り遅れたら1時間後でした。ここで首尾良く10時39分発に乗れたことで、バスチームはゴールへ大きく前進します。

安心院発のバスは走っていた

バスチームは、別府ラクテンチに到着後、ミッションをこなして、別府駅近くのホテル白菊前から、13時52分発のサファリ方面行きのバスに乗車。サファリ手前の別府霊園前にタクシーを待たせて乗り換え、安心院方面に向かいます。

タクシーに乗れるだけ乗って、降りた先にあった九人ケ峠というバス停で、宇佐方面へのバス路線を発見。約1時間後に出発便がありました。どこかで休憩したのか、少し離れた円座という停留所から乗車しました。

じつは、このバスは、安心院支所発です。バスチームは「安心院から宇佐へのバスは土曜日は走っていない」という情報を得て、安心院の中心地をタクシーで通過してしまったようですが、実際には、便数は少ないものの、走っていたわけです。

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安心院支所で降りていたら

となると、バスチームは九人ケ峠までタクシーに乗らず、安心院で降りていたほうが、タクシー代を抑えられたことになります。その場合、以下のようになります。

▽2日目
ホテル白菊前13:52→14:33天間草原別府霊園前14:48→タクシー16.3km、5,300円→安心院支所16:01→16:34法鏡寺

実際には6,000円のタクシー代を使っていますので、安心院支所で降りていれば、700円のタクシー代を浮かせられます。そのタクシー代を、最後の法鏡寺から宇佐神宮で使っていれば、もう少し早くゴールできたでしょう。

法鏡寺の近くには宇佐市役所があり、タクシー会社もいくつかありますので、タクシーを呼んでいれば、速やかに乗れた可能性は高いといえます。

別府発次便に乗っていたら

さらにいえば、もう少しタクシー代を浮かせる可能性もありました。というのも、別府(ホテル白菊前)を出発する次便のバスに乗っていれば、別府霊園やサファリより先の、仙人田まで走るからです。

▽2日目
ホテル白菊前14:52→15:48仙人田→タクシー12.3km、4,050円→安心院支所16:01→16:34法鏡寺

仙人田から安心院支所までの12kmを、タクシーで13分で乗り継げれば、実際ルートと同じバスに間に合います。

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タクシーで乗り継いだら

ただし、12kmを13分というのは、タクシーといえど厳しい乗り継ぎです。別府からのバスが遅れたり、タクシーの乗降に時間がかかったりすると、実現できません。

安心院16時01分発は最終バスなので、これに乗り遅れると、タクシーで行けるところまで行くしかなくなります。

▽2日目
ホテル白菊前14:52→15:48仙人田→タクシー18km、6,000円→両川付近→徒歩9km→宇佐神宮

この場合、最後に9kmを歩くとすれば、ゴールは18時30分を回りそうです。その点で、実際ルートより劣後しますので、一行が仙人田行きのバスを待つ必要まではなかった、といえます。

ただし、一行が、由布院か別府で、一本バスを乗り遅れていたら、この乗り継ぎになっていた可能性が高いといえます。その場合、仙人田から安心院へ巧く乗り継げれば絶妙でしたが、現実には、厳しい最終局面が待っていた可能性が高そうです。


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タクシー代を残せていれば

仙人田までバスを使う場合、仙人田から宇佐神宮までのタクシー代を残していれば、次のようにゴールできます。

▽2日目
ホテル白菊前14:52→15:48仙人田15:50→タクシー27.8m、8,900円→16:30宇佐神宮

このように、タクシー代が概算で8,900円あれば、宇佐神宮に16時30分ごろにゴールできます。

では、8,900円のタクシー代を残せる可能性はあったのでしょうか。

実際にバスチームに残されていたのは6,000円ほどでしたので、あと3,000円を残せたかということです。現実に旅したルートに即して振り返ると、無理でしょう。

ただ、仮に3,000円のボーナスが第3チェックポイント以外に設定されていて、なおかつ、ラクテンチへの上りにタクシーを使わなければ、あと3,600円を残せていた計算です。

つまり、バスチームが16時30分に宇佐神宮にゴールすることは、「展開によってはあり得た」ことになります。

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宇佐神宮へのアプローチ

実際ルートに戻ります。バスチームは法鏡寺バス停で降りた後、歩いて宇佐神宮に向かいました。

しかし、この区間にはバスも走っています。定時運行なら、以下のように乗り継げます。

▽2日目
円座16:15→16:29法鏡寺16:35→16:45宇佐八幡

バスが時刻表通りであれば、最後にタクシー代がなくても、16時50分ごろにはゴールできていました。

バスチームは法鏡寺で降車後、バス路線を探さなかったようで、放送ではわからなかった、知られざる見逃しポイントといえます。

勝ったからよかったものの、僅差で負けていたら、悔やまれることになったでしょう。

【続きはこちら】
バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第22弾 熊本~大分を分析する【2】

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