JR西日本「どこでもきっぷ」発売見合わせの意外。たった3日で撤回とは

まん延を織り込んでいなかった?

JR西日本が、「JR西日本 どこでもきっぷ」など3種類の乗り放題きっぷの発売を見合わせると発表しました。発表からわずか3日で撤回するという、意外な展開です。

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新幹線・特急乗り放題

JR西日本が、「JR西日本 どこでもきっぷ」「JR西日本 関西どこでもきっぷ」「西なびグリーンパス」の3種類のフリーきっぷを発売することを明らかにしたのは、2021年4月9日(金)。いずれも、新幹線・特急も含めてJR西日本線が乗り放題になるという破格のきっぷで、ゴールデンウィークに利用可能ということもあり、鉄道ファンの話題をさらいました。

ところが、週明けの12日(月)に、JR西日本はこれら3種類のきっぷ全てについて、当面の発売を見合わせると発表しました。見合わせの理由について、同社は、新型コロナウィルス感染症の感染急拡大やまん延防止等重点措置の適用エリアの拡大等を踏まえた、と説明しています。

発表からわずか3日、営業日では翌日に、プレスリリースの発表を事実上撤回したわけで、盛り上がったファンには失望感が広がっています。

JR西日本どこでもきっぷ
画像:JR西日本

織り込んでいなかった?

まん延防止措置は、4月5日に大阪府、兵庫県、宮城県の3府県に適用し、12日から東京都、京都府、沖縄県にも適用しました。いずれも5月5日までです。

JR西日本が3種の乗り放題きっぷを発表したのが4月9日ですから、これら6都府県のまん延防止措置は織り込んだうえで、発売を決断したとみられていました。しかし、実際はそうでなかったのでしょうか。

3種のきっぷは「地域の皆様と連携」したと謳われていましたし、旅行会社発売分も設定されていましたので、JR西日本単独の企画ではありません。したがって、関係機関とも調整済みと思われていましたので、その点でも意外感がありました。

そのため、突然の発売見合わせの背景には、当局の圧力でもあったのではないか、と想像してしまいそうです。ただ、実際のところは、まん延防止措置だけでなく緊急事態宣言の可能性が出てきたため発売を見合わせた、ということのようです。

大阪府の吉村知事が、まん延防止措置の効果が見られなかった場合に「緊急事態宣言の要請も考えたい」と発言したのは、4月10日のこと。週末にかけて大阪府内の感染者数が激増したという状況の変化もありました。

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「延期」ではなく

「延期」でなく「当分の間、見合わせる」という表現も気になります。「当分の間」には、いずれ発売するという意味合いがありますが、「延期」ではなく「見合わせ」という表現には、このままお蔵入りになる可能性が考慮されていると感じられます。

実際、これらのきっぷの利用期限である6月30日までに、「まん延」が収まる保証はなく、上述のように三度目の緊急事態宣言すら視野に入っています。そう考えると、「見合わせ」のまま利用期限を迎える可能性も小さくありません。

実際に発売されれば、西日本エリアの旅行需要喚起の起爆剤になったはずで、その点では残念です。とはいえ、新型コロナ感染症の状況を見れば、発売見合わせは当然というほかなく、むしろなぜ9日に発表してしまったのか、という疑問が先に立ちます。

とまれ、鉄道ファンの期待を膨らませた夢のきっぷですから、願わくば、新型コロナが収まった後、満を持して発売をしてほしいところです。

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