航空会社のスターフライヤーは、12月14日、全日本空輸が筆頭株主になったと発表しました。米ファンド、DCMのスターフライヤー保有株式を全日空が約24億円で取得。持ち株比率を0.93%から17.97%に引き上げました。これまでも全日空はスターフライヤーに出資して協力関係にありましたが、約18%となると本格的な出資で、スタフライヤーは事実上全日空傘下に入ったといえます。
スターフライヤーは北九州を拠点とする航空会社です。主力は東京羽田-北九州線で、これを含め国内・国際線で定期便を4路線運航しています。全日空とは羽田―北九州、関西の2路線で共同運航をしています。今回の出資により、全日空は共同運航の対象路線や便数を増やす構えです。全日空の伊東信一郎社長は同日、「提携先の航空会社のネットワークを活用しながら顧客の利便性向上に努めたい」とのコメントを発表しました。
羽田空港では、2013年春に国内線発着枠拡大が行われ、スターフライヤーには5枠が配分されることが決まりました。この5枠は全て福岡線に使われる予定で、羽田―福岡線は毎日10往復に倍増されます。羽田-福岡線は、現在は全日空の共同運航はされていませんが、今後はこの路線も共同運航になる見通しです。これにより、羽田-福岡線での全日空のシェアはかなり拡大しそうです。
全日空は、このほか、エア・ドゥ、ソラシドエア、ピーチ・アビエーション、エアアジア・ジャパンといった新興航空会社を傘下に置いています。これにスターフライヤーが加わったことになります。
ただ、今回の出資のタイミングには批判もあります。羽田の発着枠配分において、スターフライヤーはスカイマークを上回る配分を受け、かなり優遇されたからです。優遇の理由はスターフライヤーの経営規模が小さかったため、その安定化が目的だったようですが、全日空の出資が先に発表されていたら、これだけの配分を受けることができたかは微妙です。